九州大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2025年08月07日(木) 10:00~14:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、九州大学、
九大OIP株式会社
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発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 電子
1)環境発電システムをアジャイルに構築するための電源回路技術
九州大学 大学院システム情報科学研究院 情報エレクトロニクス部門 准教授 矢嶋 赳彬
新技術の概要
環境発電素子が効率よく電力を給電するには、それに適した電源回路が必要である。しかし市販の回路では相性が合わないことも多く、一方でチップ開発するほどのコストもかけられないなど、環境発電システムの開発環境が整っているとは言えないのが現状である。本技術は、独自に分散設計技術を用いることで、個々の発電素子に適した高性能な電源回路を迅速に開発することを可能にする。
従来技術・競合技術との比較
様々な発電素子に利用できる汎用電源回路を目指す動きもあるが、コストが高く差別化もできないため、ユーザー企業からは評判が悪い。本技術は、分散設計によって作られた各機能ブロックのチップを、発電素子や使用環境に合わせて組み合わせることで、最小限のコストで発電素子に適した電源回路を構築することができる。また機能ブロックのうち一つだけを独自にチップ開発することで、最小限のコストで差別化を行うことも可能である。
新技術の特徴
・分散設計で作られた個別の機能チップは、一般的な電子部品のような細かい接続ルールや配線が不要であり、レゴのように電力の入出力ラインを接続するだけで最適な電源回路を構築できる
・独自の電源回路で差別化したければ、機能チップ1つだけを開発すればよく、開発コストを下げられる
・スイッチング回路の周波数等の制御パラメータは、数uWの調停消費電力な学習回路チップを組み合わせて自律的に適応制御することができ、電源回路設計者は様々なイレギュラーを気にする必要がない
想定される用途
・多様な環境発電システムを活用したいときの、アジャイルな開発環境の構築
・発電素子や設置環境が経時変化してしまう場合の自律補償機能や、初期設置時の自律カリブレーション機能の実現
・多様な環境発電に対する電源回路レパートリーの構築
- 10:30~10:55
- 環境
2)CO2マイクロ波プラズマ/バイオマス流動層によるCO製造
九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 准教授 山本 剛
新技術の概要
本法では、マイクロ波プラズマとバイオマス流動層を融合し、プラズマの形成エネルギーのみで二段階の反応を行い、CO2から高濃度COを製造する。具体的には、プラズマによりCO2をCOとOに電離し、CO2由来のCOを製造する。また、同時に生成したOをバイオマスと反応させ、バイオマス由来のCOを製造する。
従来技術・競合技術との比較
CO2は主に化石燃料の燃焼により生成されSOX等の不純物を含むが、先行技術は触媒を使用するため硫黄により被毒される。また、先行技術はH2を消費してH2OにすることでCO2からOを奪ってCOに変換する。これに対し、本法は触媒およびH2を使用せずCO2からCOを製造し、不純物含有CO2にも対応可能である。
新技術の特徴
・より均一なプラズマ流を形成することでより均一な反応場を形成
・伝熱・撹拌・混合特性に優れた流動層と反応を大幅に促進するプラズマの融合
・CO2+C という吸熱反応を O+C という発熱反応に変換
想定される用途
・CO2カーボンリサイクル技術
・マイクロ波プラズマを用いた支援燃焼
・アンモニア合成(充填層)
- 11:00~11:25
- 計測
3)ドローン+アクティブ3次元計測によるインフラの効率的な検査システムの開発
九州大学 大学院システム情報科学研究院 情報知能工学部門 教授 川崎 洋
新技術の概要
水中や狭い配管内など、アクセスが困難な環境における構造物やインフラの経年劣化の検査・修復は、近年ますます重要性を増している。特に、最近の埼玉で発生した排水管破裂事故に代表されるように、確立された検査手法の必要性が強く認識されている。発表者はこれまでに、水中およびドローンを用いたアクティブな三次元計測技術を開発しており本発表ではこれらの技術を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
競合する三次元再構成技術には、画像のみを用いるVisual OdometryやSfM、構造化光やレーザーによるアクティブ手法、ToFカメラ、音響センサ(ソナー)などがある。これらに対し、テクスチャへの依存度の低さ、広い計測範囲、高い計測密度、水中での適合性といった複数の要件を同時に満たせるのは、提案手法のみである。
新技術の特徴
・既存のドローンに設置可能
・ロバスト&高精度
・2026年打ち上げ火星探査衛星に搭載予定
想定される用途
・排水管検査
・水中インフラ検査
・高速動物体計測
- 11:30~11:55
- 製造技術
4)マイクロ波によるバイオ材料の精密プロセッシング
九州大学 大学院農学研究院 生命機能科学部門 准教授 椿 俊太郎
新技術の概要
半導体発振器を用いたマイクロ波の精密制御によって、熱に不安定なバイオ材料の精緻に加熱することができる。本発表では、DDS用リポソームのマイクロ波凍結乾燥技術、およびハイドロゲルの3Dバイオプリンティングについて紹介する。
従来技術・競合技術との比較
従来のマグネトロン搭載の電子レンジ型マイクロ波加熱装置は、庫内のマイクロ波の分布が不均一かつ不安定であり、熱に繊細なバイオ材料への適用は限定的であった。一方、近年普及の進む半導体式のマイクロ波発振器を用いることで、周波数、位相、出力を精密に制御することが可能となった。これにより、熱に繊細な試料についてマイクロ波条件を精密に制御することができる。
新技術の特徴
・微弱マイクロ波の制御によるバイオ材料の精密加熱
・高品質かつ迅速な凍結乾燥への応用
・3Dバイオプリンターへの応用
想定される用途
・製剤(凍結乾燥)
・医用材料(3Dバイオプリンター)
・食品や菓子(3Dバイオプリンター)
- 13:00~13:25
- アグリ・バイオ
5)運動・認知機能の低下を伴う加齢性疾患の新奇予防・治療法の展望
九州大学 大学院農学研究院 資源生物科学部門 動物・海洋生物科学講座 教授 辰巳 隆一
新技術の概要
加齢性筋萎縮・再生不良の新奇要因として、筋幹細胞活性化因子HGFのニトロ化・不活化を見出した(Elgaabari et al. 2024)。アルツハイマー型認知機能低下症やパーキンソン病などの神経変性疾患とニトロ化との関係も指摘されている。生体内物質でもあり安価に入手可能な化合物の低濃度飲水投与により、ニトロ化が抑制できることを見出したので、上記の加齢性疾患の発症や進行を予防・治療するサプリメントなどへの適用が期待される。
従来技術・競合技術との比較
タンパク質のニトロ化と運動・認知機能低下との因果関係は最新の知見であるので従来技術・競合技術はない。発表者はこれまでに、ニトロ化を抑制するモノクローナル抗体を開発した他(Tanaka et al. 2024)、特殊な化合物2種を見出している。これに続く研究成果が本発表であるが、安全性や生産コストは勿論、活用方法の簡便さの点で特に優れている。
新技術の特徴
・効果が実証済み(動物実験も含めて)
・高い安全性(生体内物質;医薬品、食品、化粧品などで長く使用実績あり)
・安価
想定される用途
・ヒト・伴侶動物のサプリメント
・化粧品
・薬剤
関連情報
サンプルあり
- 13:30~13:55
- 医療・福祉
6)B細胞腫瘍に対するCAR-T治療の副作用(神経毒性)を予測する髄液中タンパク質マーカーの同定と実用化
九州大学 病院 検査部 助教 瀬戸山 大樹
新技術の概要
B細胞腫瘍患者においてCAR-T療法に伴う神経毒性ICANSの発症を予測するため、治療前の髄液中から複数タンパク質を用いた高精度なバイオマーカー群を同定した。
従来技術・競合技術との比較
従来は臨床症状や単一因子に基づくリスク評価が主流で精度が不十分だったが、本技術は複数項目の髄液タンパク質の組み合わせにより予測精度を大幅に向上させた。
新技術の特徴
・CAR-T治療前に神経毒性の発症リスクを予測可能
・通常の臨床検査機器で測定可能なタンパク質群を利用
・複数マーカーの組み合わせによる高い予測精度
想定される用途
・CAR-T療法の適応判断および事前リスク評価
・重篤副作用を未然に防ぐためのモニタリング体制の構築
・製薬企業による治療計画や新規製剤の治験設計への活用
- 14:00~14:25
- アグリ・バイオ
7)誘導体化LC-MS/MSを用いた新規ペプチドミクス技術の確立
九州大学 大学院農学研究院 生命機能科学部門 食料化学工学講座 准教授 田中 充
新技術の概要
クマリン誘導体化したペプチドをLC-MS/MS解析に供することで、そのフラグメントパターンからde novoシーケンスすることが可能な技術である。本法を高性能LC-qTOF/MSと組み合わせることで、ノンターゲットなペプチドミクス解析が可能となる。
従来技術・競合技術との比較
プロテオミクス等で用いられるペプチド解析法は、約10残基以上の長いペプチドを主として対象としており、データベースとのマッチングによる配列決定が可能となっている。したがって、10残基未満の短鎖ペプチドについては、その存在を知ることすらできないのが現状である。
新技術の特徴
・ノンターゲットなペプチドミクス解析が可能
・プロテオミクスとメタボロミクスの中間的な解析が可能となる
・ノンターゲットメタボロミクスで大きな障壁となっている、対象分子の同定が容易
想定される用途
・発酵代謝プロセスの制御
・生体内代謝変化の高精度モニタリング
・代謝異常関連疾患の早期診断やバイオマーカーの同定
- 14:30~14:55
- 創薬
8)高効率分子創製技術の開発と応用
九州大学 先導物質化学研究所 教授 友岡 克彦
新技術の概要
本発表は二つの独自技術、
① 分子連結の新手法:高機能クリック反応素子DACN(ダックン)、および、
② キラル分子を光学活性体として得る新技術:DYASIN(ダイアシン)に関するものである。
従来技術・競合技術との比較
① 分子連結技術:従来、無触媒クリック反応素子としてシクロオクチン誘導体が多用されてきたが、それらは様々な副反応を起こし、また、機能多様性に乏しかった。それに対してDACNはそれらの問題を解消した無触媒クリック反応素子として有用である。
② キラル分子を光学活性体として得る新技術:従来法の光学分割もしくは不斉合成とは一線を画す効率的手法、DYASINの開発に成功した。
新技術の特徴
・分子連結技術:クリック反応素子 DACN(ダックン)
・キラル分子を光学活性体として得る新技術:DYASIN(ダイアシン)
想定される用途
・抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugate: ADC)の合成
・ハイブリッド医薬品の合成
・光学活性なキラル医薬品の合成
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
九州大学 学術研究・産学官連携本部 知財・ベンチャー創出グループ
TEL:092-400-0494
Mail:transferairimaq.kyushu-u.ac.jp
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九大OIP株式会社 サイエンスドリブンチーム
TEL:092-400-0494
Mail:transferairimaq.kyushu-u.ac.jp
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