情報通信研究機構 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2025年10月02日(木) 10:00~11:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、情報通信研究機構
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 通信
1)量子アニーリングあるいはデジタルアニーリングを活用して無線通信同時接続数を10倍へ
情報通信研究機構 ネットワーク研究所 レジリエントICT研究センター
サステナブルICTシステム研究室 テニュアトラック研究員 世永 公輝
新技術の概要
本技術は、5G NR等で利用されている多数入力多数出力-直交周波数分割多重(MIMO-OFDM)を用いた通信方式を対象とした受信信号処理手法である。多数の端末と同時に接続するため、基地局で量子アニーリングあるいはデジタルアニーリングを活用した高速・高精度な信号検出により、6Gで想定される大規模多数接続(端末密度で5G比10倍)を可能とする。
従来技術・競合技術との比較
MIMO-OFDMでの信号検出では、線形フィルタを用いた近似アルゴリズムが用いられている。これらは高速だが、アンテナ数に対し端末数が過剰に増加すると検出性能が劣化する。本技術は、量子アニーリングあるいはデジタルアニーリングによる高速な演算とアニーリング結果を用いた効率的な近似アルゴリズムにより、計算速度と検出性能を両立可能な信号検出手法である。
新技術の特徴
・無線通信の物理層仕様を変更することなく、基地局信号処理にアドオンすることで、多数接続性を向上
・アンテナ数に対し接続端末数の方が多い場合(劣決定問題)において、従来手法をはるかに凌ぐ検出性能を示す
・量子アニーリングマシンに限らず、現在のデジタルアニーリングマシンでも実装可能
想定される用途
・Centralized RAN構成を採用する移動通信システム、特に各基地局で受信された上り回線非直交多元接続信号を集中基地局において分離処理を行うシステム
- 10:30~10:55
- 情報
2)シンプルな運転危険予知AI
情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所 統合ビッグデータ研究センター
研究マネージャー ダオ ミンソン
新技術の概要
本発明の警告信号生成システムでは、単眼の車載カメラから取得した映像信号を用いて自車両の速度、安全距離、物体追跡処理結果データ並びに、走行レーン情報を取得し、これらのデータをフレーム画像上で解析することで、自車両が危険な状況になる可能性を示す情報を提示する警告信号を生成することができる。
従来技術・競合技術との比較
競合技術である自動運転や先進運転支援システムは複数のセンサー・カメラを必要とするため、高コストかつ配線が複雑化し、メンテナンス頻度も高くなるが、本発明ではシンプルな構成となることで、それらの課題を解決し、かつ高精度に走行環境を認識し、更に危険な走行状況になる可能性を示す警告信号を生成する。
新技術の特徴
・危険な走行状況となる可能性を示す警告信号を、高精度かつ低コストにて実現可能
・シンプルな構成により、メンテナンスが容易
想定される用途
・運転支援機能付きドライブレコーダー
・車両運行管理システム
- 11:00~11:25
- 通信
3)IoTにも有効な省電力化・エリア拡大のための無線方式
情報通信研究機構 オープンイノベーション推進本部 ソーシャルイノベーションユニット
主管研究員 児島 史秀
新技術の概要
提案技術は、スリープ状態の活用による省電力動作と、中継通信によるエリア拡大を両立することで、モノたちだけで自律的な動作を行うことが必要とされうるIoTシステムの機能性向上、可用性向上を実現する。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では、中継通信ネットワークにおいて、複数の無線機が連携なしにデータフレーム交換を行うことによるフレーム衝突が発生し、通信効率の低下や、省電力動作性能の劣化することがあった。提案技術は、その問題を解決する特徴を有する。
新技術の特徴
・省電力の無線中継ネットワークを構築
・複数無線機間で時間的な連携を確立
・Wi-SUN等の国際標準規格の枠組みで実装可能
想定される用途
・農業、漁業用無線ネットワーク
・工場用無線ネットワーク
・多数端末IoTネットワーク
- 11:30~11:55
- 情報
4)誤差逆伝搬法を用いた音場制御およびマルチスポット再生方式
情報通信研究機構 ユニバーサルコミュニケーション研究所
先進的音声翻訳研究開発推進センター・先進的音声技術研究室 研究マネージャー 岡本 拓磨
新技術の概要
従来の音場制御やマルチスポット再生においては音場の最小二乗誤差に基づく方式が広く用いられているが、この方式は誤差がガウス分布に従うと仮定している。それに対して提案方式は音場の最小絶対値誤差を誤差逆伝播によって最小化することにより従来方式より高精度な音場制御を実現した。
従来技術・競合技術との比較
従来法である音場の最小二乗誤差に基づく方式が広く用いられているが、この方式は誤差がガウス分布に従うと仮定している。それに対して提案方式は音場の最小絶対値誤差を最小化するため誤差はラプラス分布に従う。そのため、高い周波数領域においては提案法の方が高精度な制御性能を実現できる。さらに、誤差逆伝搬を用いることにより最小絶対値誤差以外の任意の誤差関数も導入することが可能である。
新技術の特徴
・誤差逆伝搬により任意の誤差関数を設計した音場制御が可能となる
・音場の最小絶対値誤差を用いた場合は従来の最小二乗誤差を用いた方式よりも高精度な制御性能を実現できる
・それぞれの場所で別々の音が聞こえるマルチスポット再生にも応用可能
想定される用途
・ある場所の音空間と物理的に同じ音空間を再現する音場再現
・ある領域にのみ音が聞こえそれ以外の場所では音が聞こえない局所再生
・それぞれの場所で別々の音が聞こえるマルチスポット再生
関連情報
デモあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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