東北大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2025年07月03日(木) 10:00~11:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、東北大学
<お申込み方法・聴講方法>
聴講をご希望される方は、「説明会のお申込みはこちら」よりお申込みください。
申込受付:開催日前日まで
・お申込み完了後、マイページが設定され「事前登録完了のお知らせ」が届きます。
・メールに従いログインIDとパスワードでマイページへのアクセスをご確認ください。
・開催日前日にマイページより聴講用URLをご案内いたします。
・当日はマイページよりご聴講いただけます。
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 計測
1)応答挙動に基づくシングルチャンネルガスセンシング材料の開発
東北大学 多元物質科学研究所 環境無機材料化学研究分野 教授 殷 シュウ
新技術の概要
ガスセンシングに基づく新しい「応答挙動―選択性」概念を提唱する。本技術では、単斜相VO₂(M1)相材料を使用し、元素ドーピングによる電子構造の制御を通じて、混合ガス中のアンモニアや硫化水素などの目標ガスを迅速かつ高精度に識別でき、ヘルスケアなどの分野での利用が期待される。
従来技術・競合技術との比較
これまでのおむつセンサーは、尿の検知には対応しているが、便の識別は困難であった。従来技術は、ほとんどがマルチチャンネルによるマルチガスの検出を行っている。シングルチャンネルマルチガス識別センサーを利用した「便尿同時識別型おむつセンサー」は、既存市場に競合製品が存在せず、スマートホーム分野でのニーズもある。
新技術の特徴
・従来の応答強度依存型センシングを超え、「正方向応答」と「逆方向応答」といった特異な応答挙動に基づき、混合ガス中の特定成分を迅速かつ信頼性高く識別することが可能である
・ガス応答挙動の差異をガス選択性の基準として利用することにより、シングルチャンネルでセンサーを構築し、マルチガスを識別することが可能となる
・室温で動作が可能であり、加熱部を省くことにより小型化が実現し、フレキシブル基板を用いることでウエアラブルなデバイスの構築が期待される
想定される用途
・「便」と「尿」を同時に識別できるおむつセンサー
・VOCガスセンサー
・ヘルスケアシステム
関連情報
サンプルあり
- 10:30~10:55
- 通信
2)ビル影などによる無線通信障害を解消する液晶リフレクトアレイ
東北大学 大学院工学研究科 電子工学専攻 電子システム工学講座 画像電子工学分野
教授 藤掛 英夫
新技術の概要
5G規格以降の無線通信では、使用周波数の増加と共に電波が障害物を回折しにくくなり、通信が途絶えるカバレッジホールが増える。そこで電波の反射方向を任意に制御できるリフレクトアレイを街中に配置して、カバレッジホールに電波を届ける方法が検討されている。液晶を用いたリフレクトアレイは、電波の反射方向をバイアス電圧で自在に制御できるが、基板に挟んで位相変調を担う液晶層が厚くなるため、基板表面から離れた液晶分子配列が不安定になり、立下り応答時間が極端に長くなるという課題があった(数秒~数十秒)。本発明では、上下基板の片方にストライプ上の電極を形成することで、従来の垂直方向の電界印加だけでなく、水平方向にも電圧駆動できるようになり、立下り応答の動作を大幅に高速化できる。
従来技術・競合技術との比較
これまで、バラクタダイオードを位相変調用に用いたリフレクトアレイが開発されているが、反射損失が大きい、高価、嵩張るなどの課題があった。また、液晶層を内蔵したリフレクトアレイも提案されているが、応答が遅いという問題があった。本発明は、それらの課題の克服を図るものである。
新技術の特徴
・厚い液晶層であっても、立上り、立下り応答ともにバイアス電圧の電界で駆動できるため、液晶の応答時間を高速化できる
・リフレクトアレイのデバイス構造がコンパクトかつ安価で、電圧駆動回路もシンプルである
・他の周波数チャネルに妨害となる高調波の発生を懸念する必要がない
想定される用途
・リフレクトアレイ
・位相変調器
・フェーズドアレイアンテナ
- 11:00~11:25
- 製造技術
3)生体・工学応用に向けた多機能ファイバの開発:電気泳動・マイクロミキシング・磁気刺激機構の内蔵化
東北大学 高等研究機構学際科学フロンティア研究所 新領域創生研究部 准教授 郭 媛元
新技術の概要
熱延伸法により、電気泳動、マイクロミキシング、磁気刺激機構を一本のファイバ内に統合する多機能デバイスを開発した。柔軟な構造により、医療・診断、マイクロ流体工学、薬剤混合・細胞操作などへの応用が期待される。
従来技術・競合技術との比較
従来のマイクロ流体チップや電極・コイル単体デバイスは、大型・平面構造で柔軟性や多機能性に乏しく、迅速な診断には限界があった。本技術は、電気泳動・マイクロミキシング・磁気刺激コイルを柔軟ファイバ内に統合することで、空間効率・柔軟性・生体適合性に優れた迅速診断デバイスを実現する。
新技術の特徴
・本技術は、マイクロ流路・電極機構を一体化した多機能ファイバにより、タンパク質や核酸、神経伝達物質などの生体分子をin situで分離・分析できる電気泳動ファイバデバイスである
・本技術は、熱延伸により作製されたファイバ構造内に、ソータ(細胞・粒子選別)およびマイクロミキサー機構を統合した連続フロー型のマイクロ流体デバイスである
・異種材料(導電体・絶縁体・流路・空孔等)を高精度に配置しながら連続延伸できるファイバの製造方法と、それを実現するスウィーピング・回転加熱・延伸制御を備えたファイバ製造装置と、その装置を用いた高性能マイクロコイル内蔵ファイバの製造方法に関する技術である
想定される用途
・ポータブル診断・迅速検査デバイスへの応用、簡易化・小型化・現場即応性の向上が期待
・神経や筋への非侵襲的・局所的な磁気刺激によるニューロモジュレーションデバイスへの応用
・複雑構造を持つ機能性ファイバの生産装置としての産業利用
関連情報
サンプルあり
デモあり
展示品あり
- 11:30~11:55
- 情報
4)事前位置合わせが不要な高速プロジェクションマッピング
東北大学 未踏スケールデータアナリティクスセンター エッジデータ処理研究部門
教授 鏡 慎吾
新技術の概要
素早く動く物体に遅れなく映像をプロジェクションマッピングする技術です。物体への追跡用マーカー設置も、プロジェクタ・カメラ間の事前位置合わせも不要であることが特徴です。投影映像に不可視パターンを埋め込むことにより、投影対象物体と投影映像をカメラ画像上で分離して追跡し、両者のずれを最小化するよう映像を制御します。
従来技術・競合技術との比較
競合技術の多くでは、プロジェクタに対して運動追跡用カメラをあらかじめ精密に位置決めしておく必要があり、設置・維持のコストが大きいという課題がありました。新技術はこれらを不要とし、運動体への高速プロジェクションマッピングを低コストで実現できます。
新技術の特徴
・素早く動く物体上への遅れのないプロジェクションマッピング
・キャリブレーション不要
・マーカー不要
想定される用途
・店舗や広告スペース等における展示・商品アピール
・製造現場等における作業指示
・ゲーミング、エンタテインメント
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
東北大学 産学連携機構
TEL:022-795-5269
Mail:shingi.hoepgrp.tohoku.ac.jp
URL:https://www.rpip.tohoku.ac.jp/jp/aboutus/desk/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp