広島大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2026年11月26日(木) 10:00~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、広島大学
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発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 創薬
1)新規T細胞活性化抑制ペプチドが拓く免疫制御技術
広島大学 大学院統合生命科学研究科 生物工学ユニット 教授 河本 正次
新技術の概要
ヒトIgG抗体の一次配列から新規T細胞活性化抑制ペプチドを発見した。本ペプチドは細胞内で作用する従来の低分子免疫抑制剤とは異なり、細胞外で作用するため、細胞内シグナルへの非特異的な影響を抑えられる可能性がある。この作用特性とペプチドの利点を活かし、医薬、動物薬、食品、化粧品など幅広い分野への応用が期待される。
従来技術・競合技術との比較
従来の免疫抑制剤は細胞内分子を標的とするため、副作用や長期使用に課題がある上に用途も医薬品に限られる。本技術はペプチドにより細胞外からT細胞の活性化を制御する新たなアプローチにより、従来技術よりも安全かつ多様な用途に展開できる可能性を有する。
新技術の特徴
・生体由来ペプチドを用いた新たなT細胞免疫制御技術
・従来型免疫抑制剤の課題(副作用・長期使用制限)克服への可能性
・医薬から動物薬・食品・化粧品まで幅広いアグリ・バイオ分野への応用展開が可能
想定される用途
・炎症性免疫疾患を対象とした医薬品・動物用医薬品
・免疫機能の調節を目的とした機能性食品・サプリメント
・肌の恒常性維持・炎症制御を目的とした化粧品・スキンケア製品
- 10:30~10:55
- 材料
2)脱炭素社会を支える高断熱かつ高耐久な次世代エアロゲル材料
広島大学 持続可能性に寄与するキラルノット超物質国際研究所 特任教授 佐藤 弘志
新技術の概要
エアロゲルに、エアロゲルとの親和性が高い官能基を持つカテナンを約1%添加することで、内部構造を維持しながら弾性を従来比3倍以上に向上させる技術です。末端基の設計により、ポリウレタンやシリカなど多様なエアロゲル材料への展開も可能です。
従来技術・競合技術との比較
従来のエアロゲルは高い断熱性能を持つ一方で、脆く破損しやすい点が課題でした。本技術は、少量のカテナン添加により断熱構造を保ったまま弾性を大幅に高められる点が特徴です。さらに、材料ごとに末端基を設計することで、幅広いエアロゲルへ適用できます。
新技術の特徴
・少量添加でエアロゲルの弾性を大幅向上
・「高断熱=脆弱」というトレードオフを克服し、高断熱性と耐久性を両立
・カテナン末端基の設計により、多様な材料系へ展開可能
想定される用途
・自動車の断熱・軽量化材料
・建築用高性能断熱材
・宇宙・航空分野の極限環境断熱材
関連情報
サンプルあり
- 11:00~11:25
- デバイス・装置
3)慢性腎障害を処置する装置
広島大学 原爆放射線医科学研究所 再生医療研究開発 教授 東 幸仁
新技術の概要
慢性腎障害の進行を十分に抑える有望な治療法がなく、人工透析を受けている患者の多くにとっての原疾患が分かっているに過ぎない。
したがって、本発明は、ヒトの慢性腎障害(特に高血圧による腎硬化症、または糖尿病性腎症)の改善またはその進行の抑制に役立つ、新たな提案を行うことを目的としている。当該目的のために、本発明の一態様は、ヒト患者の慢性腎障害を処置する超音波照射装置を提供する。
従来技術・競合技術との比較
慢性腎障害の進行を抑える処置として、アンジオテンシン阻害剤またはアンジオテンシンII受容体拮抗剤の投与と、生活習慣病への対処との組み合わせが、慢性腎障害の患者に対して、主に実施されている。しかし、当該処置だけでは、慢性腎障害の進行を十分に抑えることができず、有望な治療法が他に開発されていないのが現状である。
新技術の特徴
・腎臓照射に特化した低周波超音波発生装置である
・当該装置からの超音波は腎臓全体に到達しうる
・当該装置による有効性を示す基本的な機序が解明されている
想定される用途
・腎障害患者での腎臓線維化抑制
・腎障害患者での蛋白尿抑制
・腎障害患者での炎症細胞浸潤抑制
- 11:30~11:55
- アグリ・バイオ
4)酸に強い納豆菌で腸内環境健全化を保つ
広島大学 大学院統合生命科学研究科 食品生命プログラム 教授 中山 達哉
新技術の概要
広島大学構内の紅葉葉楓から、従来株より強い耐酸性と高いPGA産生能を併せ持つST4型納豆菌TN32-3を新規分離。腸管到達性と機能性向上が期待でき、地域由来菌を活用した新たな発酵食品開発に資する技術。
従来技術・競合技術との比較
従来株などは耐酸性やPGA産生量に限界があり、腸管到達性や機能性向上に課題が残る。一方、本技術で得たTN32-3は低pH環境で高い生存率と高PGA産生能を併せ持ち、機能性納豆菌として競合株を上回る性能を示す。
新技術の特徴
・強耐酸性を示すST4型納豆菌(TN32-3)を新規分離(プロバイオティックス食品・サプリ分野で応用可能)
・高PGA産生能を有し、機能性素材として利用価値が高い(化粧品・バイオマテリアル・農業用被膜剤など異分野展開が可能)
・広島大学構内の植物由来という“地域性”を持つ独自株(地域ブランド食品、観光資源との連携)
想定される用途
・機能性発酵食品・サプリメント
・化粧品・バイオマテリアルへのPGA応用
・地域ブランド食品・観光資源との連携
- 13:00~13:25
- アグリ・バイオ
5)細胞内へのビオチンの迅速・局所供給
広島大学 大学院統合生命科学研究科 教授 佐藤 明子
新技術の概要
ビオチンメチルエステル (BME) はビオチンのカルボキシル基がメチル化された、電荷を持たない小分子であり、容易に細胞膜を通過する。小胞体内腔において、カルボキシルエステラーゼの働きで加水分解されてビオチンとなる。小胞体膜は電荷を持った小分子も容易に通すため、BME投与により細胞質ゾル・核・小胞体のいずれの領域にもビオチンを迅速に供給でき、バイオテクノロジー技術を改良できる。
従来技術・競合技術との比較
ビオチンとアビジンの強力な結合を利用した様々なバイオテクノロジー技術が発達している。ビオチンはカルボキシル基を持ち、中性条件では電荷を持つため、細胞膜に入るにはナトリウム依存性マルチビオチントランスポーター(SMVT)を必要としているため、細胞種によりビオチンの取り込み速度は異なっている。多くの細胞種でのビオチンの取り込みはバイオテクノロジー技術を使用するには十分な速度でない。
新技術の特徴
・膜透過性の高いビオチン誘導体 ビオチンメチルエステル (BME) によるビオチン迅速供給
・光開裂型ビオチン誘導体を用いた局所ビオチン供給
・ビオチン代謝異常症の治療に役立つ可能性
想定される用途
・迅速な生体へのビオチン供給によるバイオテクノロジー技術の利用
・光照射による局所供給によるバイオテクノロジー技術の利用
・マルチビタミン反応性遺伝性代謝異常症(multivitamin-responsive inherited metabolic disorder)の治療薬としての可能性
関連情報
サンプルあり
- 13:30~13:55
- 計測
6)安全で快適な視覚環境を実現~光のストレスを測る新しい評価法~
広島大学 大学院人間社会科学研究科 人間総合科学プログラム 助教 吉本 早苗
新技術の概要
本技術は、視覚効果として広く用いられるフリッカ(光の点滅)がもたらす視覚的ストレスを、ヒトの視覚特性に基づいて定量的に評価する手法です。光による視覚的ストレスを定量化することで、「目に優しい」ユニバーサルデザインに配慮した製品設計の支援や、映像・照明等の安全性評価への活用が期待されます。
従来技術・競合技術との比較
従来の映像技術に関するガイドラインでは、主にフリッカの点滅回数や輝度変化が扱われており、色の変化が視覚的ストレスに及ぼす影響については十分に考慮されていませんでした。本手法は、フリッカの輝度変化だけでなく、色調や彩度の変化が視覚的ストレスに及ぼす影響を定量的に評価できる点に特徴があります。
新技術の特徴
・フリッカによる視覚的ストレスを、ヒトの視覚特性に基づいて定量的に評価
・フリッカの輝度、色調、及び彩度の時間的変化による視覚的ストレスを評価
・光の物理的特徴とヒトの視覚的ストレスとの関係を定量化し、製品開発段階における視覚的快適性を評価
想定される用途
・ディスプレイ、映像機器、照明機器等の「目に優しい」製品設計・性能評価
・VR/AR、デジタルサイネージ、映像コンテンツ等における視覚的安全性・快適性の評価
・オフィス、教育施設、医療・福祉施設、公共空間等における視覚的快適性やウェルビーイングを考慮した視覚環境の評価・改善
- 14:00~14:25
- 創薬
7)RNA結合タンパク質による病的凝縮体制御と創薬応用
広島大学 大学院統合生命科学研究科 数理生命科学プログラム 助教 安田 恭大
新技術の概要
病的なRNA・タンパク質凝縮体を抑制するRNA結合タンパク質群を見出しました。異なるRNA処理経路に属する因子が、培養細胞でALS関連変異型FUSの凝縮体形成を抑えます。この抑制作用を利用し、病態解析や創薬候補物質の探索への応用を目指します。
従来技術・競合技術との比較
従来のFUS発現抑制型の創薬では、正常FUSも減少させることによる生理機能への影響が懸念されます。一方、本技術はRNA結合タンパク質群の凝縮体抑制作用を利用します。FUS自体の発現抑制に依存せず、正常機能の温存と病的凝縮体の制御を両立する創薬への応用が期待されます。
新技術の特徴
・病的凝縮体を形成する因子を対象とするのではなく、抑制に働くRNA結合タンパク質群を利用
・スプライシング、核マトリックス、リボソーム生合成に関わる異なる経路の因子で抑制効果を確認
・変異型FUSを用いた培養細胞で、凝縮体を持つ細胞の割合により抑制効果を評価
想定される用途
・ALS関連FUS凝縮体を対象とする病態解析・制御機構の研究
・RNA結合タンパク質の凝縮体抑制作用を利用した創薬候補物質のスクリーニング
・凝縮体形成を抑えた研究用細胞・発現ベクターの開発
- 14:30~14:55
- エネルギー
8)中温度域で良好なプロトン伝導率を示す新規非晶質リン酸塩材料
広島大学 大学院先進理工系科学研究科 応用化学プログラム 助教 福岡 宏
新技術の概要
本材料はアルカリ金属、ランタンおよびルテニウムを含有する非晶質リン酸塩である。我々は燃料電池スタックの作成に不可欠である薄膜化に成功した(150~450 μm 厚の試料を安定的に作成)。また、中温度で作動する燃料電池(単セルおよびタンデム)を作成し、200℃で単セル当たり 20 mW cm⁻²程度の出力密度を実現した。
従来技術・競合技術との比較
本材料は、比較的低温で合成され、かつ合成手順が簡便であるため、製造コストを低く抑えることができる。また、250℃から良好なプロトン伝導率(10⁻³ S cm⁻¹台)を示し、350℃以上では、報告例のあるプロトン伝導体のなかで、最高に近いプロトン伝導率を示す。
新技術の特徴
・中温度領域(特に200~350℃)で良好にプロトンを伝導する薄膜材料
・成形性が良い
・中温度領域で作動する燃料電池の電解質として使用可能
想定される用途
・固定式燃料電池ユニット
・車載型燃料電池
関連情報
サンプルあり
展示品あり
- 15:00~15:25
- 製造技術
9)電着塗装を応用したCFRPの効率的な生産技術
広島大学 大学院先進理工系科学研究科 輸送・環境システムプログラム 教授 片桐 一彰
新技術の概要
炭素繊維を電極として用い、水系ウレタン樹脂を電着により繊維内部へ均一に含浸させることでCFRPを製造する技術である。従来困難であった緻密な樹脂浸透と高繊維体積率を両立し、高強度かつ環境負荷の低い複合材料の製造を可能とする。
従来技術・競合技術との比較
従来の樹脂含浸法では、樹脂流動性の不足による含浸不良やボイド発生が課題であった。本技術は水系樹脂の電着を利用することで繊維束内部まで均一に樹脂を供給でき、低温・低エネルギーで成形可能であり、繊維長などが不均一な再生炭素繊維であっても、有効活用できる点で優位性を有する。
新技術の特徴
・電着法により樹脂を炭素繊維束内部まで均一に含浸できる
・低温・低粘度プロセスにより、ボイドの少ない高品質な含浸が得られる
・再生炭素繊維を活用でき、資源循環及び環境負荷低減に貢献する
想定される用途
・ドローン、航空機及び宇宙機器向けの軽量複合材料部材
・自動車・鉄道車両向けの軽量構造部材
・建築・土木分野における補強材及び補修用部材
- 15:30~15:55
- 医療・福祉
10)IP3受容体制御因子を用いた歯髄炎の炎症制御
広島大学 大学院医系科学研究科 歯髄生物学研究室 講師 武田 克浩
新技術の概要
IP3受容体は、小胞体ストレス、オートファジー、アポトーシスなどの細胞内プロセスを制御しており、家族性脊髄小脳失調症などの脳疾患や認知症の原因となる神経変性への関与が報告されている。本発明はIP3受容体のアクチベーター、インヒビターが炎症性サイトカイン発現制御に関与することを提案し、特に歯髄炎に対する抗炎症作用に着目した。
従来技術・競合技術との比較
現在、齲蝕などによって発症した歯髄炎に対し、水酸化カルシウム製剤を用いて歯髄の保存を試みる方法が一般的に行われているが、選択毒性が低く歯髄組織そのものを傷害する問題点が指摘されている。本発明は歯髄における炎症制御因子としてIP3受容体に着目する唯一の研究である。
新技術の特徴
・IP3受容体を介した新規の炎症性サイトカイン制御:IP3受容体のアクチベーター等により、IL-6やIL-8などの炎症性サイトカインの発現を双方向にコントロールできる革新的な技術
・高い安全性と細胞生存性に基づく安全なアプローチ:有効成分は実用濃度で細胞生存率に悪影響を与えず、歯髄等の組織を温存したまま安全に炎症を抑制可能
・多彩な細胞種における普遍的な炎症抑制効果:ヒト歯髄細胞だけでなく、歯周靭帯細胞やマクロファージなど幅広い組織・細胞において効果を発揮
想定される用途
・歯髄炎や歯周炎を標的とする次世代の歯科用抗炎症製剤
・慢性炎症性疾患に対する新規抗炎症医薬品:関節リウマチ、喘息、全身性エリテマトーデスなど、マクロファージが関与する慢性炎症疾患向けの治療薬
・免疫増強用アジュバントおよび炎症促進剤:IP3受容体インヒビターを活用し、ワクチンの免疫増強やがん免疫療法・アレルゲン免疫療法等で免疫を高める用途
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広島大学 産学連携部 産学連携部門
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