理化学研究所 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2026年06月16日(火) 10:00~14:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、
理化学研究所、株式会社理研イノベーション
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発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- アグリ・バイオ
1)オーバーラップ遺伝子がもつ翻訳制御能を利用した遺伝子発現の制御
理化学研究所 環境資源科学研究センター 技術基盤部門・生命分子解析ユニット
ユニットリーダー 堂前 直
新技術の概要
我々は新規オーバーラップORF(open reading frame)を発見し、これが既存の遺伝子の翻訳を制御することを見出した。ベクター中の遺伝子の上流に短いオーバーラップORF配列を導入すると、下流の遺伝子の翻訳を抑制することができる。この翻訳抑制により、ベクター中の遺伝子の発現量を自在かつ精密に微調整することができる。
従来技術・競合技術との比較
遺伝子の発現は、主に転写レベルで行われてきた。転写による制御を用いることで過剰発現を可能にしてきたが、必要な量をコントロールして発現することができなかった。本技術は翻訳抑制に着目し、”今まで用いてきた転写制御の系”はそのままで、翻訳量を予想される量だけ減らすことで、ファインな遺伝子発現を目指している。
新技術の特徴
・翻訳制御による遺伝子発現系
・ベクター中の遺伝子の発現量を細かく制御
・今までのベクターの設計を大きく変えず、そのまま使える
想定される用途
・基礎研究ツール(例:二つのタンパク質の発現量を正確に1:1にすることができる)
・ライブイメージング(例:複数の蛍光タンパク質の比を変えることで細胞をフルカラーに染め分ける)
・代謝工学・バイオ生産(例:細胞内の代謝酵素比をコントロールして物質生産の最大化と十分に生育する条件を両立させ桁違いの物質生産を行う)
- 10:30~10:55
- アグリ・バイオ
2)レーザー生成ナノ構造のソフト材料表面への転写と物理的効果由来の抗菌性評価手法
理化学研究所 光量子工学研究センター 先端レーザー加工研究チーム
研究パートタイマーⅡ 内山 茂
新技術の概要
レーザー加工により形成した多様なナノ構造を樹脂等のソフト材料表面に転写し、抗菌性や濡れ性等を持つ機能性材料を低環境負荷で実現する技術である。また、薬剤等の化学的作用を最小限に抑制し、材料の表面構造の物理的効果による抗菌性を評価する技術を開発した。これらにより、ナノ構造を持つ機能性材料の製造からその物理的機能性の定量評価までを一体的に可能とした。
従来技術・競合技術との比較
従来のナノ構造形成技術であるリソグラフィ技術は、真空環境や化学処理を要するが、本技術は大気中下のレーザー光照射で形成したナノ構造を高精度転写することで、ソフト材料表面にナノ構造形成を可能とする。
また、従来のISO規格試験は、主に化学的抗菌性を評価するもので、本技術では化学的影響を最小限に抑えた凹凸構造の物理的効果由来の抗菌性を定量的かつ経時的に評価可能とする。
新技術の特徴
・大気中下のレーザー照射のみで形成したナノ構造をPDMS等の軟性樹脂材料に転写可能
・化学的影響を抑制した物理的抗菌性を定量的に評価可能
・ソフト材料表面の濡れ性の制御や光反射特性の制御等の表面機能を付与可能
想定される用途
・付着抑制・抗バイオフィルム、抗菌材料の開発とその性能評価
・医療機器・衛生用品の開発
・食品・医薬品製造ラインの衛生管理技術
関連情報
・サンプルあり
- 11:00~11:25
- デバイス・装置
3)原子精度ナノ物質による次世代オンチップ光デバイス:低エネルギー高速光スイッチと決定論的量子光源作製
理化学研究所 光量子工学研究センター 量子オプトエレクトロニクス研究チーム
チームディレクター 加藤 雄一郎
新技術の概要
二次元物質とシリコン共振器を融合した低エネルギー(<1pJ)高速(<100ps)全光スイッチと、カーボンナノチューブに単一光子源を決定論的に形成する量子光源技術を紹介する。原子精度で構造を特定可能なナノ物質を活用した次世代のオンチップ光デバイスにより光通信および量子情報デバイスの高機能化が期待される。
従来技術・競合技術との比較
オンチップ光スイッチについては、従来技術と比較して低エネルギー高スイッチング速度を実現している。量子光源については、従来は発光中心がランダムに形成されるため位置制御が困難であったが、本技術は化学反応により単一発光中心を決定論的に形成し、位置制御可能な量子光源を実現する。
新技術の特徴
・原子精度ナノ物質を用いた次世代オンチップ光デバイス基盤技術
原子レベルで構造制御されたナノ物質をナノフォトニクスと融合することで、従来材料では実現が難しい強い光物質相互作用を実現。光通信、量子デバイス、光センシングなどへの展開が可能。
・低エネルギー高速動作オンチップ光スイッチ
二次元半導体と光共振器を組み合わせることで、小さなエネルギーで高速に動作する光スイッチを実現。シリコンフォトニクス回路や光インターコネクトなどへの応用が期待される。
・位置制御可能な通信波長単一光子源作製技術
カーボンナノチューブに単一発光中心を決定論的に形成することで、位置制御可能な通信波長帯量子光源を実現。量子通信デバイスや量子フォトニクス回路への応用が可能。
想定される用途
・光情報処理・光通信デバイス
低エネルギー高速光スイッチを用いた光インターコネクト、シリコンフォトニクス回路、データセンター向け光情報処理デバイス
・量子通信・量子暗号デバイス
通信波長帯の単一光子源を用いた量子通信装置、量子鍵配送(QKD)光源、量子フォトニクス回路
・高感度光センシング・計測技術
ナノフォトニクスと原子精度ナノ物質の強い光物質相互作用を利用した高感度光センサー、分光計測デバイス
- 13:00~13:25
- 製造技術
4)光学素子金型製造技術の大規模な中性子線集束システムへの展開
理化学研究所 光量子工学研究センター 先端光学素子開発チーム 上級研究員 細畠 拓也
新技術の概要
精密金型製造技術が、量子ビーム科学に革新をもたらそうとしている。本発明は、非球面レンズ金型等に用いられる精密加工技術を用い、多数の金属基板を筒状に組み立てた内面を一括で加工することによって、超大型の「中性子集束ミラー」を実現し、中性子散乱実験による物質構造解析の効率を劇的に改善するものである。
従来技術・競合技術との比較
従来手法では、多数の金属ミラーを個別に切削・研磨加工し、これらを組み立てて一つの回転対称形ミラーとするため、完成までに膨大な工数を要し、また全ての部品が揃うまで利用できないという欠点がある。一方、全周分を組み立てた状態で一括加工する本手法では、工数は大幅に削減され、全部品が同時に完成し、即利用可能である。
新技術の特徴
・内面が精密な曲面となっている、複数部品からなる筒状アセンブリの一括加工
・筒状アセンブリのフランジ部分での精密アライメント・接続による軸方向への拡張
・分解して筒状内面を平面状に展開することによる、内面への一括成膜
想定される用途
・中性子集束ミラー・中性子導管
・X線集光ミラー
・X線宇宙望遠鏡
- 13:30~13:55
- 電子
5)メモリスタ回路 ~シンプルな電子回路でニューロン動作を実現~
理化学研究所 開拓研究所 専任研究員 大島 勇吾
新技術の概要
本技術は、メモリスタの履歴特性を利用し、「電気をためて、閾値で一気にスパイクを放出する」というニューロン動作を、極めてシンプルな回路構成で実現する。
外部インダクタを用いずに発振およびスパイク状信号の生成が可能であり、ニューロモーフィック(脳模倣)デバイスへの応用が期待される。
従来技術・競合技術との比較
従来の発振回路やニューロモーフィック回路では、トランジスタや外部インダクタなど複数の能動素子を必要とし、回路構成が複雑であった。本技術はメモリスタと受動素子のみで発振およびスパイク生成を実現でき、回路の簡素化と低消費電力化を同時に達成できる点に優位性がある。
新技術の特徴
・メモリスタの非線形応答により自己発振を実現
・抵抗付加のみでスパイク状発振(人工ニューロン動作)が可能
・低消費電力・簡素構成でニューロモーフィック応用に適用可能
想定される用途
・スパイク型人工ニューロン素子(脳型コンピューティング)
・低消費電力エッジAIデバイス(センサ信号処理・異常検知)
・発振機能を利用したセンサ・信号生成デバイス
- 14:00~14:25
- 情報
6)プロセス番号置換による通信回数の削減と量子回路分割への適用
理化学研究所 計算科学研究センター 技師 青木 尚登
新技術の概要
本発明は、量子コンピュータのシミュレーション手法の一つである状態ベクトル法に関する。状態ベクトル法では、データ通信が処理時間を律速することが課題であった。本技術は、X, CX等の単項行列で表現されるゲートの作用する量子ビットがグローバルビットの場合は、プロセス番号置換をすることにより、データ通信を行わずに処理が可能であり、量子回路シミュレーションの処理時間の大幅な削減に貢献する。
従来技術・競合技術との比較
従来技術であるQubit Reordering (QR)は通信量を半減させるが、依然として通信が処理を律速する。本技術は、条件が合致する場合にはQRを行わずにプロセス番号置換で次のステップに進むことができるため、処理時間の大幅削減が可能となる。また、従来技術である回路分割も通信回数を削減する技術であるが、本技術適用により分割条件を緩和させ、さらなる処理時間削減が可能となる。
新技術の特徴
・量子回路シミュレータを高速化する技術
・量子回路シミュレータの実用化の壁(量子ビット数、処理時間)のうち、処理時間の問題を解決
・30量子ビット級の壁を突破!CPU、GPUどちらでも実装可能、富岳利用も可能
想定される用途
・実機では難しい深い量子回路の計算シミュレーション
・量子回路の正当性検証、デバッグ、基準値生成
・誤り耐性型量子コンピュータ(FTQC)の計算シミュレーション
- 14:30~14:55
- 製造技術
7)旋回ガスジェットで真空とガスを隔てる透明窓技術
理化学研究所 仁科加速器科学研究センター 加速器基盤研究部
次世代加速器システム開発チーム チームリーダー 今尾 浩士
新技術の概要
旋回ガスジェットを用いて、開口を保ったまま真空とガスを隔てる透明窓技術です。固体膜や機械的な窓を用いずに差動排気を行うことを特徴とし、真空装置、分析装置、成膜装置などにおいて、通過経路を遮らずにガス領域を形成する手法として応用が期待されます。
従来技術・競合技術との比較
従来は、固体膜で真空とガスを隔てる方法や、小開口と多段排気で差圧を稼ぐ方法が主流でした。これらは通過経路の制約、膜の損傷や熱負荷、装置の大型化が課題でしたが、本技術は開口を保ったまま高い差動排気性能を実現できます。
新技術の特徴
・固体膜や機械的な窓を使わず、開口を維持したまま真空とガスを隔てられる
・旋回ガス流を用いて、高い差圧に対応する差動排気を実現できる
・分析、成膜、真空プロセスなど、通過経路を遮れない装置へ展開しやすい
想定される用途
・成膜、表面処理、プラズマ処理など、真空装置内で高圧ガス領域を形成する各種プロセス装置
・質量分析、表面分析、電子線検査など、通過経路を遮らずに差動排気が必要な分析、検査装置
・粒子、光、微粒子、試料搬送体などを開口部から通過させつつ、真空とガスを隔てたい各種装置
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