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東京工業大学 新技術説明会

日時:2019年11月19日(火) 10:00~15:55

会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)

参加費:無料

主催:科学技術振興機構、東京工業大学

後援:特許庁、関東経済産業局

発表内容詳細

  • 創薬

1)クリプトコッカス酵母を用いた遺伝性乳癌卵巣癌症候群の治療薬のスクリーニング

発表資料

東京工業大学 科学技術創成研究院 細胞制御工学研究センター 教授 岩崎 博史

新技術の概要

BRCA2遺伝子のホモログ(BRH2)欠損クリプトコッカス酵母株に対して、合成致死性を示す遺伝子変異や化合物のスクリーニングを行い、網羅的なパスウエイ解析を通して遺伝子相互作用の全貌を解明することで、ヒトHBOCの分子病態の解明と治療薬のターゲットとなる新規タンパク質の同定や治療薬開発の基盤をはかる。

従来技術・競合技術との比較

クリプトコッカス酵母は、BRCA2遺伝子のホモログ(BRH2)を有している。パン酵母や分裂酵母にはBRCA2遺伝子がなく、単細胞生物のモデル系が存在しなかったが、本欠損クリプトコッカス酵母を用いることで、一般的な酵母遺伝学を利用可能とし、緻密な分子生物学的解析を可能とした。

新技術の特徴

・徹底的な網羅的解析が可能
・安価
・早い

想定される用途

・HBOCの根本原因の解明
・HBOC治療薬ターゲットとなる蛋白質の新規同定
・オラバリブ耐性がんに対する新規治療薬の開発

  • 創薬

2)創薬の専門家の目を代替するAIの開発とその応用

発表資料 プレゼン動画

東京工業大学 科学技術創成研究院 スマート創薬研究ユニットリーダー 関嶋 政和

新技術の概要

我々は、VisINet (Visual Inspection Network)という創薬における visual inspectionを自動化し、活性有無を評価する手法を開発した。本手法では、疾病関連蛋白質と薬候補化合物の結合を画像化し、ディープラーニングを用いて学習することでvisual inspectionの自動化を行っている。

従来技術・競合技術との比較

従来技術は、疾病関連蛋白質と薬候補化合物間の相互作用を直接的に抜き出しAIで学習する方法(例えばRandom Forest)や、疾病関連蛋白質と薬候補化合物が結合した3次元構造そのものをAIで学習する方法(例えば3DCNN)があったが、本研究では結合構造の画像を敢えて2DCNNで学習することで、高い予測精度を実現している。

新技術の特徴

・大規模なディープラーニングが専門家の目を代替可能に
・従来の機械学習手法よりも高い精度で薬候補化合物を予測可能に
・公開データを用いた検証で高い精度を確認

想定される用途

・HTS試験の効率化
・メディシナルケミストの目をAIが代替

  • 材料

3)撥水性と抗菌・抗ウイルス活性を併せ持つ革新的複合酸化物

発表資料 プレゼン動画

東京工業大学 物質理工学院 材料系 教授 中島 章

新技術の概要

自己撥水性とともに、高い抗菌活性(大腸菌、黄色ブドウ球菌)・抗ウイルス活性(ノロウイルス、インフルエンザウイルスの代替ウイルス)を併せ持つ複合酸化物である。本材料は、ありふれた元素で構成されており、活性発現に際し、光や加熱を必要としない。細胞毒性も低い。

従来技術・競合技術との比較

従来技術の問題点:(i) 金属系(Ag, Cuなど)は、コストが高く、妨害イオン(Clなど)の影響を受ける、(ii) 光触媒系は、光が必要、(iii) ZnO等は、そもそもの活性があまり高くない。本材料は貴金属を用いないためコストが安く、光を必要とせず、高い抗菌・抗ウイルス活性を有する。また、撥水性能をも有している。

新技術の特徴

・ありふれた元素による材料
・高い抗菌・抗ウイルス活性
・撥水性を兼ね備え、光や熱の照射が不要

想定される用途

・外壁、壁紙、公共施設や交通機関の部材、フィルム等
・マスク、衣類、カーテン、カーペット等の日曜品
・大規模自然災害の被災地の避難所で使用する各種製品、段ボール等

関連情報

・外国出願特許あり

  • 材料

4)βー二酸化マンガンナノ粒子の合成と触媒反応への応用

発表資料 プレゼン動画

東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 准教授 鎌田 慶吾

新技術の概要

本技術では、様々な結晶構造をもつ二酸化マンガンの中でも最も酸素原子の反応性が高いβー二酸化マンガンのナノ粒子の簡便かつ新しい手法による合成法を確立し、本触媒がバイオプラスチックモノマー合成などの様々な酸化反応をはじめとする触媒反応に高い性能を示すことを見いだした。

従来技術・競合技術との比較

従来の合成手法の多くは特殊な試薬を用いた多段プロセスであるのに対し、本技術では原料を混ぜて焼くだけで大きな表面積をもつ高活性βー二酸化マンガンナノ粒子触媒を高収率で合成できる。また、本技術を用いることで貴金属触媒フリーな高効率バイオプラスチックモノマー合成などの触媒反応への応用が可能である。

新技術の特徴

・簡便な手法によるβー二酸化マンガンナノ粒子の合成
・表面積・細孔径・モルフォロジーの制御が可能
・バイオプラスチックモノマー合成をはじめとする触媒反応への応用

想定される用途

・触媒
・電極材料
・スーパーキャパシタ

関連情報

・サンプルあり
・外国出願特許あり

  • 機械

5)ペンギンロボット - 小型で俊敏な水中ドローンを実現する電動羽ばたき翼運動機構

発表資料

東京工業大学 工学院 機械系 准教授 田中 博人

新技術の概要

水中を俊敏に移動する小型ロボットの推進および姿勢制御のための機構として、3自由度の回転運動からなる羽ばたき翼運動を能動的に制御可能な電動機構を開発した。この機構を機体の左右に設置すると、ペンギンのように自在に翼を動かして俊敏に遊泳する水中ドローンとなる。

従来技術・競合技術との比較

従来の1自由度回転翼(プロペラ)に対して、3自由度羽ばたき翼は適切な翼運動を選択することで瞬間的に大きな力を発生でき、力の向きも大きくに変えられる。さらに比較的高効率な定常推進も期待できる。過去に提案された羽ばたき翼機構は自由度が小さく、このような力の大きさと向きの自在な制御はできない。

新技術の特徴

・自由度の大きい羽ばたき翼運動による高い機動性と効率性を両立した水中ドローン
・高速回転する従来のプロペラに対して、巻き込み事故や接触時の切断事故の恐れが無い安全性
・水中での力強い羽ばたきを可能とする、差動歯車を介した2つのモータの協調による、大きな羽ばたきトルク

想定される用途

・高機動性と安全性を生かして入り組んだ環境(港湾施設や貴重な海洋地域)で運用できる水中ドローン
・港湾施設や船舶の点検。潜水士不要で短時間に目的の場所まで自他ともに安全に移動
・動植物や地形を傷つけない海洋調査。たとえば、ペンギンとともに泳いでペンギンの生態調査など

関連情報

・デモあり
・展示品あり

  • 環境

6)カルコゲン添加による強酸性水溶液からの貴金属直接回収法

発表資料 プレゼン動画

東京工業大学 科学技術創成研究院 先導原子力研究所 准教授 鷹尾 康一朗

新技術の概要

都市鉱山などにおける強酸性貴金属溶解液から、容易に直接貴金属を回収する技術である。パラジウム、金、 白金などの貴金属元素が電気化学的に「貴」であることに加え、カルコゲン半導体微粒子上でヒドラジンなどによる化学還元が促進されることに基づき、溶解液からの直接回収を実現する。

従来技術・競合技術との比較

従来の貴金属回収技術は、溶解・分離後に蒸発乾固・脱硝・再溶解・中和・酸化還元・沈殿など、多種多様な処理、操作を必要とするため効率低下および廃棄物量増大が課題である。本技術は、カルコゲン添加、化学還元、貴金属とカルコゲンの分離の3工程のみで構成されており、高効率で、廃棄物の少ない貴金属直接回収が達成できる。

新技術の特徴

・強酸性水溶液からの貴金属直接回収
・添加したカルコゲンによる貴金属還元反応促進
・熱分解等による貴金属とカルコゲンの分離も可能

想定される用途

・都市鉱山からの貴金属リサイクル(酸廃液からの貴金属徹底回収)
・貴金属ナノ粒子合成、触媒
・長寿命核種を含むPd回収など放射性廃棄物処理

  • 通信

7)第5世代移動通信システム用ミリ波高機能アンテナ3種

発表資料 プレゼン動画

東京工業大学 工学院 電気電子系 教授 廣川 二郎

新技術の概要

?@2次元方向に複数のビームを独立かつ同時に放射する回路
?A放射部を複数の開口を有する多層の平行平板で実現したアンテナ
?B同一周波数・同一偏波・送受同時伝送時の送受間アイソレーションを向上させたアンテナ

従来技術・競合技術との比較

?@従来は水平方向、垂直方向へ放射する回路を縦続接続。同一機能を半分の長さで実現。
?A従来は側壁を有し、電気的完全接続が必要。同一機能を非接触構造で実現。
?B従来はアンテナ素子指向性によりアイソレーションが低い。指向性変換構造により改善。

新技術の特徴

・構造の簡素化による軽量化
・中空構造による低損失化
・複数独立ビーム,高アイソレーションによる空間・周波数の有効利用

想定される用途

・第5世代移動通信基地局用アンテナ
・ドローンを用いた無線ネットワーク
・大容量高速データ伝送

関連情報

・展示品あり

  • デバイス・装置

8)全焦点レンズレスカメラ

発表資料 プレゼン動画

東京工業大学 工学院 情報通信系 助教 中村 友哉

新技術の概要

既存のレンズレスカメラは画像再構成処理に対象距離情報を要する。距離情報は多くの場合未知であるため、推定や計測が必要となり、処理コスト増加や誤差が問題となる。提案するカメラでは、対象距離を未知としたまま全ての対象物体に合焦した画像を再構成できる。

従来技術・競合技術との比較

デジタルリフォーカスや三次元画像再構成の実現を特徴としたレンズレスカメラが多く提案されている。本技術は対象の三次元情報は計測しない代わりに、対象距離を未知としたまま高速に全焦点画像を再構成できる。

新技術の特徴

・画像再構成処理に対象距離情報を必要としない
・高速に全焦点画像を取得できる
・レンズレス光学系であるため撮像系が薄い

想定される用途

・生体内部計測
・狭小空間の検査
・ロボティクス

  • エネルギー

9)高性能・高耐久な担体フリー・ナノ粒子連結触媒:燃料電池・水電解への展開

発表資料 プレゼン動画

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 准教授 田巻 孝敬

新技術の概要

ナノ粒子連結触媒は、数nmの大きさのナノ粒子同士が部分的に融着し、数珠上のネットワークを形成した中空構造の触媒である。このため、カーボン等の担体を用いなくても導電パスが形成され、高表面積な担体フリー触媒として利用できる。燃料電池の酸素還元触媒や水電解の酸素発生触媒への展開例を紹介する。

従来技術・競合技術との比較

従来の電極触媒は、カーボン等の電子導電担体の上に担持することで高表面積化が実現されている。しかし、燃料電池の酸素還元や水電解の酸素発生が起こる電極では高電位がかかり、カーボン等の導電担体が腐食・劣化する。ナノ粒子連結触媒は担体フリーであるため高耐久性であり、かつ高表面積・高活性を示す。

新技術の特徴

・担体フリーで中空構造を有する高表面積・高耐久・高性能な触媒
・Pt系合金(Pt-Fe, Pt-Co等), Ir, Ruでの合成実績
・原子配列規則構造(超格子構造)の高規則度化が可能

想定される用途

・燃料電池触媒
・水電解触媒
・その他触媒

関連情報

・外国出願特許あり

  • 材料

10)常圧大気下で簡便に合成できるホウ素二次元シートの機能開拓

発表資料

東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 助教 神戸 徹也

新技術の概要

ボロフェンに類似するホウ素二次元シートを常圧大気下で簡便に合成することに成功した。この構造体では、ホウ素と酸素からなる単原子層がカリウムカチオン層と交互に積層しており、層間に働く結合力が弱いため、ホウ素と酸素の原子層を簡単に取り出せることが分かった。特殊な電気伝導特性や誘電特性を示した。

従来技術・競合技術との比較

ボロフェンが、ホウ素によるグラフェンのような単原子層物質として報告され、グラフェンを超える強度や高いフレキシビリティから注目されている。しかしながらボロフェンは大気下で直ちに分解することから実用化は不可能と考えられていた。本技術は、常圧・大気下で合成でき、さらに液相合成法による大量合成も可能となる。

新技術の特徴

・常圧・大気下でホウ素と酸素からなる原子層物質の合成に成功
・多積層結晶の異方的な電気特性を解明により新機能の発現
・原子層間に導入されたカチオンにより簡単な原子層剥離が可能で単層化しやすい

想定される用途

・ディスプレ-、調光フィルム
・電子デバイス材料(半導体材料、コンデンサ、コイル)
・誘電体

関連情報

・外国出願特許あり

お問い合わせ

連携・ライセンスについて

東京工業大学 研究・産学連携本部
TEL:03-5734-2445 FAX:03-5734-2482
Mail:sangakuアットマークsangaku.titech.ac.jp
URL:http://www.sangaku.titech.ac.jp

新技術説明会について

〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町

TEL:03-5214-7519

Mail:scettアットマークjst.go.jp

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