【一部オンライン開催】東京工業大学 新技術説明会
日時:2020年11月17日(火) 10:00~15:25
会場:Zoomビデオウェビナーによるオンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、東京工業大学
発表内容一覧
- 【オンライン開催】胸装着型小型全天周カメラによる3次元動作計測および視線計測装置 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】狙った相手だけにアイコンタクトができる平面ディスプレイ 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】結晶絶縁膜を利用したSiCパワーデバイスの性能向上 発表資料
- 【オンライン開催】ホウ化水素シート: 軽量・安全・光応答性の水素キャリア材料 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】超安定な不揮発性有機分子メモリーの誕生 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】ナノギャップ電極を用いたガスセンサ 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】光の減算を駆使した、次世代の光学シースルーディスプレイ技術 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】電源不要で接触位置を検出するフレキシブル人工皮膚 発表資料 プレゼン動画
- 【オンライン開催】超小型IoT・生体埋め込みデバイスを実現する電源システム 発表資料 プレゼン動画
- 【Webサイトでの技術紹介】水と空気からの純過酸化水素水の電解合成 発表資料
- 【Webサイトでの技術紹介】冷却水を必要としないマグネトロンスパッタカソード 発表資料
- 【Webサイトでの技術紹介】不特定多モデルに対応可能なクラウド環境上のVR基盤 発表資料
発表内容詳細
- 情報
東京工業大学 情報理工学院 情報工学系 教授 小池 英樹
新技術の概要
本技術は胸に装着した1台の小型カメラ映像を深層学習器に入力とすることで、3次元姿勢を正確に推定することが可能である。同時に、頭部の3次元姿勢の推定も可能となり、これを用いて視線の方向を推定することが可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来の動作計測は部屋に固定した複数台のカメラを使用するためユーザの動作範囲が制限された。
新技術の特徴
・1台のウェアラブルカメラでの姿勢・視線推定
・計測範囲が広い
・装置のコストが安い
想定される用途
・スポーツ科学
・コンピュータアニメーション
・リハビリテーション
- デバイス・装置
東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 助教 三武 裕玄
新技術の概要
一般的な平面ディスプレイに顔を表示すると、見た人全員が自分が見られたと感じてしまい(モナリザ効果)、アイコンタクトを用いたコミュニケーションが成立しません。透明液晶を2枚重ねにし黒目のみ手前に表示するというシンプルな方法で、狙った方向にいる相手だけに注視感が生じる平面ディスプレイを実現しました。
従来技術・競合技術との比較
視線提示に特化している分、Light Field Display等の多視点ディスプレイを用いるより大画面・高精細・広視野角の映像を安価に実現できます。顔形状の立体スクリーンに映像投影する方法もありますが、表示する顔ごとにスクリーンが必要・顔動作にロボット機構が必要等の手間があります。
新技術の特徴
・同時に多人数で見ても、狙った相手だけが目があったと感じる平面ディスプレイ
・安価で単純な構造ながら大画面・広視野角・高精細で顔画像の美観を保った表示が可能
・背後の映像が手前の映像を遮蔽する「遮蔽関係の前後逆転」を可能にする高速時分割表示
想定される用途
・画面越しでアイコンタクトの成立するビデオ通話、遠隔会議、遠隔接客等のテレプレゼンス環境
・アイコンタクトにより人を惹き付け対話感をもたらすことで広告・集客・案内等をこなすキャラクタサイネージ
・テーマパーク、アミューズメント機器等でのキャラクタ提示
関連情報
・デモあり
- 電子
3)【オンライン開催】結晶絶縁膜を利用したSiCパワーデバイスの性能向上
発表資料東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 特任准教授 松下 雄一郎
新技術の概要
SiC-MOSデバイスの性能律速の原因の1つがSiC/SiO2界面における界面構造揺らぎであることを見出した。界面構造揺らぎを抑制する為に、SiC基板のオフ角制御と、結晶絶縁膜を利用したSiC-MIS構造デバイスを開発した。
従来技術・競合技術との比較
SiC基板のオフ角とデバイス性能との相関、さらには結晶絶縁膜の利用は既に報告済みであるが、それら両方を組み合わせた際に、SiCパワーデバイスに本質的に異なる性能向上が見込まれる。
新技術の特徴
・SiC基板のオフ角調整
・結晶絶縁膜
・界面の平坦化
想定される用途
・SiC-MISデバイス
・パワーデバイス
・車載半導体
- エネルギー
東京工業大学 物質理工学院 材料系 教授 宮内 雅浩
新技術の概要
ホウ化水素シートは、ホウ素と水素の組成比が1:1の二次元状物質で理論的に存在が予測されていたが、2017年に近藤准教授の研究グループが初めて合成に成功した。今回、このホウ化水素シートが室温・大気圧下という穏やかな条件において、光照射のみで水素を放出できることを見出した。ホウ化水素シートの質量水素密度は8.5%と極めて高く、爆発のリスクある水素ガスボンベに代わる軽量で安全な水素キャリアとして応用が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
現行の水素燃料電池自動車には高圧水素ガスボンベが搭載されているが、衝突時の安全性ならびに燃費向上に向けた重量減が大きな課題であった。高圧ボンベに代わる安全な水素キャリアとして、有機ハイドライドや水素吸蔵合金が知られるが、前者は脱水素の工程で300℃以上の加熱が必要で、後者の水素貯蔵密度は2wt%にも満たず、重すぎて実用化には堪えない。
新技術の特徴
・軽い(質量水素密度8.5%)
・安全(爆発の恐れが無い)
・利便性(常温・大気圧下で紫外線照射のみで水素放出)
想定される用途
・水素キャリア
・燃料電池
・自動車など各種移動媒体
関連情報
・サンプルあり
・外国出願特許あり
- 材料
東京工業大学 理学院 化学系 助教 大津 博義
新技術の概要
酸化還元活性なp型有機物を新規に設計合成し、その基板上への配列制御により素子サイズが分子サイズである不揮発性メモリーの開発に成功した。無機化合物では実現が難しい柔軟かつ低電力消費型で簡便な構造の分子性メモリーを実現し、優れた繰り返し特性および耐久性により従来の有機材料にはない特性が得られた。
従来技術・競合技術との比較
不揮発性メモリはTaOxなど無機物では優れた特性をもつものがあるが、無機物では物理的柔軟性に欠ける。フレキシブルな有機物による不揮発性メモリのなかでは本技術は群を抜いて安定であり実用に十分な性能を持っている。特に、有機物で問題になっている劣化がほとんど起こらない。
新技術の特徴
・分子レベルサイズの不揮発性メモリ素子によるメモリの高密度集積
・フレキシブルなデバイス
・物質の特性(酸化還元)変化を使った安定なメモリ動作
想定される用途
・フレキシブルReRAM
・ウェアラブルデバイス用メモリ
・ウェアラブルセンサ用極小スイッチング素子
- 環境
東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 教授 真島 豊
新技術の概要
抵抗型酸素センサは、その高感度性、高速性、低消費電力、及び携帯性に優れることから次世代デバイスとして注目されている。特に、ナノギャップ電極ベースのガスセンサは際立った特性を有する。本発明は、白金ナノギャップ電極間に、セリアナノ粒子あるいはセリア薄膜を特定の膜厚に被覆することにより高速な酸素センサとして動作することを見出したものである。
従来技術・競合技術との比較
本発明によるギャップ長20nmの白金ナノギャップ間にセリア膜を形成した酸素センサは、ギャップ長12μmの白金ギャップ間に同様のセリア膜を形成した酸素センサと比較して、1000倍程度速い応答速度を示す。従来技術では、フォトリソグラフィにより10数μmのギャップ長の電極を用いていることから、従来技術と比較して、高速、低温動作を実現可能である。
新技術の特徴
・高速応答
・低温動作
・ロバスト
想定される用途
・エンジン用酸素センサ
・呼気センサ
関連情報
・サンプルあり
- デバイス・装置
東京工業大学 情報理工学院 情報工学系 助教 伊藤 勇太
新技術の概要
本発明は、拡張現実感(Augmented Reality, AR)における光学シースルー頭部搭載型ディスプレイ(OST-HMD)技術に関係する。視界の一部を部分的に【暗く】する、光学遮蔽に関するディスプレイ技術、および色の減算を用いたディスプレイ技術、の2つの新規の光学シースルーディスプレイ技術を紹介する。
従来技術・競合技術との比較
既存のARディスプレイは、視界に映像を足し合わせる加算的なディスプレイである。屋外等は大変明るいため、既存のディスプレイでは映像が見えにくい。提案技術は光を立体的に遮蔽できる技術と、プログラマブルなカラーフィルタにより映像を再現する技術、の2つである。周囲の明るさが高くても、低消費電力で高輝度な映像を再現できる。
新技術の特徴
・技術1:光の空間的遮蔽により、視界の一部に任意のマスクを生成できる
・技術2:視界に、ハイパースペクトルな映像をビデオレートで生成できる
想定される用途
・ARディスプレイ
・スマートなハイパースペクトル計測カメラ
・スマートサングラス
関連情報
・サンプルあり
- 計測
東京工業大学 工学院 機械系 准教授 土方 亘
新技術の概要
ロボットや人への適用を想定して、半永久的に電荷を内部に保持するエレクトレットと誘電エラストマーを薄膜状に積層した人工皮膚を開発しました。フレキシブルなため、曲面や複雑形状への貼り付けも可能です。電源不要で接触位置検出が可能なだけでなく、接触点から膜の四隅までの電気抵抗の差から、接触位置計測も実現しました。
従来技術・競合技術との比較
圧電素子を使用した人工皮膚と比較し、柔軟性に優れ柔らかい素材や複雑な形状との親和性が高いです。また、静電容量式と異なり、人工皮膚に電圧を印加する必要が無く、配線や電源の低減が可能です。接触位置検出も可能なため、皮膚に貼り付け指でタップすれば、スマホ等への入力が可能な膜状タッチパッドとしても応用できます。
新技術の特徴
・電源不要で接触位置検出
・膜状でフレキシブル
・柔らかい素材や曲面,複雑な形状への貼り付けが可能
想定される用途
・ロボット用電子スキン
・人工皮膚
・膜状タッチパッド
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
- 電子
東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 教授 德田 崇
新技術の概要
超小型太陽電池などで得られる電力を蓄積して利用する超小型エレクトロニクスシステムの電源システムに利用できる制御システムです。限られた電力により複数の電圧ゾーンを駆動できる仕組みです。
従来技術・競合技術との比較
得られる電力が小さく、駆動対象をパルス駆動することを前提としたプラットフォームです。情報処理用のコア電圧、センサ等の高電圧部、およびバッテリの充電など複数の電圧域の駆動に対応します。
新技術の特徴
・光などによって駆動する超小型デバイスの実現に利用できます。
・複数電圧レベルのエレクトロニクスシステムを駆動できます。
・IoTや生体埋め込みに利用できます。
想定される用途
・IoT、IoE(Internet of Everything)のための超小型ノード
・超小型生体埋め込みセンサデバイス
- 環境
10)【Webサイトでの技術紹介】水と空気からの純過酸化水素水の電解合成
発表資料東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 教授 山中 一郎
新技術の概要
水と空気(酸素)のみを原料として、濃度の高い純過酸化水素水を直接合成できる電解ユニットを開発した。本電解ユニットは、過酸化水素合成用電極触媒膜(カソード)、固体高分子電解質膜、水分解用電極触媒膜(アノード)から構成された非常にシンプルな素子である。本系は濃い純過酸化水素水をその場合成できる。
従来技術・競合技術との比較
工業的過酸化水素合成法であるアントラキノン法は大規模合成法であり、分離精製等のプロセスも必要とする完成されたプロセスであるが、小規模合成やその場合成には向かない。本系は、水、空気、電気があれば、濃い純過酸化水素水をその場合成でき、また非常にコンパクトな素子である特徴を有している。
新技術の特徴
・水と空気と電気だけで過酸化水素合成
・生成する過酸化水素は、酸、塩基、塩、有機溶媒を含まない水溶液
・過酸化水素合成素子は非常にコンパクト
想定される用途
・各種個別機器等の殺菌、消毒
・化学合成用酸化剤
・精密機器の表面洗浄
- 製造技術
11)【Webサイトでの技術紹介】冷却水を必要としないマグネトロンスパッタカソード
発表資料東京工業大学 物質理工学院 材料系 材料コース 助教 春本 高志
新技術の概要
マグネトロンスパッタカソードに、熱を一時的に溜める熱容量の大きな熱バラストを付加することで、薄膜成膜中におけるカソードの急激な温度上昇を抑制し、それにより、冷却水などの冷却媒体による冷却を実質的に不要とした。
従来技術・競合技術との比較
冷却水などの冷却媒体の引き回しが不要であるため、従来品と比べ、脱ガス量の少ない良好な仕様のマグネトロンスパッタカソードを容易かつ安価に組むことができる。加えて、薄膜作成装置の設計に対する自由度を飛躍的に高めることができる。
新技術の特徴
・冷却水などの冷却媒体の引き回しが不要
・超高真空での使用に最適な極低脱ガス仕様
・薄膜作成装置の設計自由度の向上
想定される用途
・超高真空中における極薄膜の成膜
・多層薄膜形成プロセスにおける保護膜の成膜
・分析装置中におけるキャップ層の成膜
関連情報
・展示品あり
- 情報
12)【Webサイトでの技術紹介】不特定多モデルに対応可能なクラウド環境上のVR基盤
発表資料東京工業大学 情報理工学院 情報工学系 知能情報コース 准教授 齋藤 豪
新技術の概要
多種多様な形状詳細度や描画の反射モデルを持った多量の三次元モデルをリアルタイムに描画するクラウドVRレンダリング手法です。多数のクラウドサーバに描画処理を分散させ、サーバ間では描画中間画像が伝送がされ、クライアントにはそれらの合成像が送信されます。三次元モデル数、クライアント数に応じたサーバの増強が容易、描画品質の選択とデータ漏洩保護が三次元モデル毎に容易という特徴があります。
従来技術・競合技術との比較
描画処理の分散並列処方法が、従来多くある分散描画法と仕方が異なります。その結果、描画コストの異なる物体を適切な計算能力のあるサーバにて描画処理をさせることが可能です。また形状情報の局在化を実現でき、データ保護が容易です。
新技術の特徴
・多様な描画コストの三次元モデルを適切な能力の描画サーバにて描画
・部品等の形状データを各所有者が公開せずに、それらを統合した景観や製品のCGを生成する映像シミュレータ
・広大な世界のコンピュータ・グラフィクスレンダリング
想定される用途
・モデルの詳細度の許容度の高い多人数参加型のVR世界の計算基盤
・多層薄膜形成プロセスにおける保護膜の成膜
・分析装置中におけるキャップ層の成膜
関連情報
・サンプルあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
東京工業大学 研究・産学連携本部
TEL:03-5734-3817 FAX:03-5734-2482
Mail:sangakusangaku.titech.ac.jp
URL:https://www.ori.titech.ac.jp/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp