九州工業大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2021年12月09日(木) 10:00~14:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、九州工業大学
発表内容一覧
- モーターの小型化を促進する高磁束密度を示す圧粉鉄心用偏平鉄粉 発表資料 プレゼン動画
- 薄さ250ミクロン、幅1.7ミリのフレキシブル電流プローブ 発表資料 プレゼン動画
- 低コストで外部から測定可能なインバータ寿命診断技術 発表資料 プレゼン動画
- SBCを用いた放電パルス信号の検出!とスマホ電波に基づく人流計測 発表資料
- 1チャネルの信号中の不規則成分波形の実時間挙動分析 発表資料 プレゼン動画
- グラスレスディスプレイのための画像生成法 発表資料 プレゼン動画
- 超微小ロボットなどに使える微小変位変換器(小さな往復運動を大きな回転運動に変換する) 発表資料 プレゼン動画
- マルチタスク学習を達成するレザバーコンピューティングの構成と学習法 発表資料 プレゼン動画
- 爆発性のないユニークなジアゾ化剤およびアジド化剤の開発 発表資料
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 材料
九州工業大学 大学院工学研究院 物質工学研究系 准教授 本塚 智
新技術の概要
偏平な形状を有し、偏平な面に対して磁化容易軸である結晶の方向を平行に配向させた鉄粒子を開発した。この鉄粒子は磁束密度が高いことを特徴とし、モーターの鉄心の様な電磁気部品に応用することで、電磁気応用製品の小型化を促進する。さらに本鉄粉は、特殊な工程や生産設備を必要としない。
従来技術・競合技術との比較
モーターの鉄心材料としては、電磁鋼板が圧倒的なシェアを持ち、ポスト電磁鋼板としてナノ結晶合金が注目されている。ナノ結晶合金の低損失性は圧倒的であるが、磁束密度は電磁鋼板並みとなっている。我々は純鉄粉に着目し、結晶方位を制御することでこれら2つの競合材を上回る磁束密度の達成を目指している。
新技術の特徴
・磁気的性能に優れた{001}集合組織を持つ世界で唯一の鉄粉
・特殊な生産設備、添加元素を必要としない
・高い磁束密度
想定される用途
・モーター用鉄心
・各種リアクトルコア
・インダクタ
関連情報
・サンプルあり
- 10:30~10:55
- 計測
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 生体機能応用工学専攻 教授 大村 一郎
新技術の概要
厚さ250ミクロンの超薄型かつ幅2mm未満のフレキシブル電流プローブです。IGBTやパワーMOSFETのボンディングワイヤやモジュール電極端子の隙間に挿入して電流を計測。250ミクロン厚のイミド結束バンド形状なので、細かい配線や端子の電流を計測できるようになります。フレキ基板の工程で量産可能であり非常に低コストです。ポリイミドを用いているので計測部分の温度が200度以上でも計測可能です。
従来技術・競合技術との比較
市販されているセンサに比べて厚さが1/10、汎用インバータに組み込み可能なレベルの低コスト、磁気飽和しないため大電流に対応、ポリイミドを用いているため高温200度でも動作。
新技術の特徴
・非常に薄型(250ミクロン)
・低コスト
・耐高温
想定される用途
・計測器電流プローブ
・短絡保護、予知保全用のモニタ
・パワーエレクトロニクス用の電流センサ
関連情報
・サンプルあり (連携希望企業等からの要望があれば提供できる)
・デモあり
・展示品あり
- 11:00~11:25
- エネルギー
九州工業大学 大学院工学研究院 電気電子工学研究系 准教授 長谷川 一徳
新技術の概要
インバータは産業用モータ駆動などのインフラを支える根幹技術であり、省エネルギー効果とコスト低減の達成に加え、従来とは桁違いの高い信頼性が要求されている。本技術はインバータの最大の故障要因であるキャパシタを高価なセンサを使用することなく、かつ回路の改造も必要とせず実現する。
従来技術・競合技術との比較
従来技術ではインバータ停止時にキャパシタの容量を測定し寿命診断を実現している。本技術はインバータ動作中にオンラインで劣化診断が可能であり、インフラ設備用インバータなど運転停止ができないインバータにも適用可能である。オンラインモニタリング可能であるため、キャパシタの経時変化を捉え予知保全が実現できる。
新技術の特徴
・オンラインモニタリングが可能
・寿命の指標である等価直列抵抗とキャパシタンス双方を診断可能
・インバータ外部情報からセンサレスで診断可能
想定される用途
・電力設備用冷却装置
・石油・ガス分野におけるコンプレッサ駆動
・水処理施設のポンプ駆動
- 11:30~11:55
- 計測
4)SBCを用いた放電パルス信号の検出!とスマホ電波に基づく人流計測
発表資料九州工業大学 大学院工学研究院 電気電子工学研究系 准教授 大塚 信也
新技術の概要
2つの新技術を紹介する。一つはラズベリーパイのようなシングルボードコンピュータ(SBC)を用いた放電パルス信号の検出技術で、安価で安全性に貢献する技術。もう一つはスマホ電波として4G/LTEのアップリンク信号検出に基づくプライバシーに配慮した人流計測技術です。
従来技術・競合技術との比較
前者は、市販のオシロスコープやアンテナなどを用いた一般の装置構成と比べて非常に安価で実現できる。後者は、従来技術のないリアルタイムスペアナを用いた新技術であり、競合技術となるビデオカメラなどの画像解析と比べてプライバシー保護の利点がある。
新技術の特徴
・現象より遅いサンプリング時間のADとSBCを用いてパルス信号を安価に検出
・非接触で放電信号を検出できる
・プライバシーに配慮してスマホの電波を選択的に検出し評価
想定される用途
・工場やオフィス、家庭などで放電信号を選択的に検出評価する異常診断
・駅や広場あるいは人の混み具合を可視化したい場所での人流計測
・スマホ使用が禁止されている場所でのスマホ電源オンの検出
- 12:00~12:25
- 計測
九州工業大学 大学院情報工学研究院 知能情報工学研究系 助教 永井 秀利
新技術の概要
単一チャネルの解析対象信号中で不規則に発生、変動し、複数の周波数成分で構成される成分波形を実時間処理で検出・分析する技術を開発した。一例として1チャネルのみの表面筋電信号を解析し、筋動作を司る基本単位(運動単位)の活動波形を速筋/遅筋に大別して抽出し、対象の筋の疲労度や発揮力等を高精度に評価した。
従来技術・競合技術との比較
成分波形の出現が規則性を欠く時、従来技術では抽出が難しく、多チャネルでの計測データや解析モデルでの推定分析が多く見られる。本技術は1チャネルの計測データかつ実時間で、そのような成分波形の抽出を可能にする。表面筋電では、1チャネルで多数の運動単位の情報を同時取得でき、従来技術以上の高精度評価を行える。
新技術の特徴
・単発で不規則に発生する成分波形を、十分な特徴差があれば複数種同時に、リアルタイムで抽出・分析
・解析対象信号が不規則成分波形の重畳で形成されている時、成分波形の発生状況や特徴に基づいて信号全体の特徴を分析可能
・単チャネル表面筋電への適用で、運動単位の挙動の可視化や活動波形の抽出、及び高精度な疲労度や発揮力評価が可能
想定される用途
・成分波形を含む信号波形一般(例えば、心電図、心音、駆動音、騒音、振動等)において、成分波形の挙動分析や異常検知、あるいは成分波形観点での信号特性分析
・筋の活動や状態の高度な分析や、筋電義手、パワーアシスト等の筋電活用機器の精度向上
・リハビリテーションやスポーツ科学等の分野において、筋の挙動に基づく運動分析や運動指導、筋の状態の実時間把握に基づく負荷調整等の運動管理
- 12:30~12:55
- 情報
九州工業大学 大学院工学研究院 電気電子工学研究系 准教授 河野 英昭
新技術の概要
老眼、近視、遠視、乱視などの屈折異常に伴う視覚の衰え見えの劣化をサポートするものとして、裸眼で正常に閲覧可能とする画像を生成する技術を開発した。
従来技術・競合技術との比較
グラスレスディスプレイの方策として、ディスプレイ自体に物理的な細工を施す方法と、通常のディスプレイに対して表示する画像を調整する方法とがある。本技術は、表示媒体の汎用性と性能の面で優位性がある。
新技術の特徴
・汎用ディスプレイでの屈折異常者向けの表示を想定している
・屈折異常の種別・強度に応じて個別対応が可能
・写真、図形等の画像だけでなく、文字画像に対する処理も可能
想定される用途
・PC、スマートフォン、タブレットでの画像提示
・電子書籍での文字の提示
- 13:00~13:25
- 機械
九州工業大学 大学院情報工学研究院 知的システム工学研究系 准教授 石原 大輔
新技術の概要
アクチュエータからの微小な変位を大きな回転角に変換する微小変位変換器。具体的には、1㎝程度以下の大きさであり、圧電バイモルフなどの100μm程度以下の入力変位から、数10°の出力角を得ることができる。弾性ヒンジを利用して摩擦レスであり、かつ、感光性ポリイミドのエッチングプロセスだけで作成できる。
従来技術・競合技術との比較
約1㎝の試作品では、圧電バイモルフによる入力変位+-100μmから、ストローク角約40°の出力を得ることができる。原理的に摩擦が発生せず、加工や組み立てが不要であるため、試作品よりもはるかに小さく作成することが可能である。
新技術の特徴
・微小な変位を大きな回転角に変換する
・MEMS技術で作成するので、サイズを非常に小さくできる
・ポリイミドといった高分子材料で作成する
想定される用途
・超微小ロボットの関節(従来のロボット関節用サーボモーターの代替)
・超小型ドローンの羽ばたき機構
・マイクロマニピュレータ
関連情報
・サンプルあり
- 13:30~13:55
- 情報
九州工業大学 ニューロモルフィックAIハードウェア研究センター 助教 田中 悠一朗
新技術の概要
本技術はレザバー計算に自己組織化するマルチリードアウトを導入し、タスクに応じたリードアウトの切り替えにより、破滅的忘却を回避してマルチタスク学習を達成するものである。自己組織化の効果により、未経験のタスクもある程度の精度で達成可能で、少量の追加学習を行うことで、そのタスクの高精度な達成を可能とする。
従来技術・競合技術との比較
現行AIの主流である深層学習は、その膨大なパラメータを最適化するために膨大な回数の学習が必要になる。またマルチタスク学習の達成ため、遺伝的アルゴリズムを用いる競合技術があるが、この方法も膨大な回数の学習を必要とする。一方、本技術は比較的少ない学習回数でマルチタスク学習を達成する。
新技術の特徴
・単一のタスクではなく複数のタスクをひとつのネットワークで学習できる
・学習コストが低く,少量データでの学習に適する
想定される用途
・低計算コスト・少量データ学習のため,エッジAIへの応用
・時系列予測,時系列生成,時系列分類,強化学習の応用
- 14:00~14:25
- 材料
9)爆発性のないユニークなジアゾ化剤およびアジド化剤の開発
発表資料九州工業大学 大学院工学研究院 物質工学研究系 教授 北村 充
新技術の概要
有機ジアゾ化合物(>C=N+=N–)や有機アジド(R–N=N+=N–)は、内在する窒素の放出を駆動力に多様な反応性を示し、ケミカルバイオロジーや高分子・材料分野においても重要性が増している。本技術によりこれまで合成例がなかった1段階でのフェノールのジアゾ化やアジド化、カルボニル化合物のジアゾ化を具現化した。
従来技術・競合技術との比較
従来のジアゾ移動剤(ジアゾ基導入剤)は爆発性があり、取り扱いにくかったが、爆発性のない取り扱いやすいジアゾ化剤を開発した。このジアゾ化剤を用いれば、従来不可能もしくは困難であったフェノール類やカルボニル化合物、アミンのジアゾ化が容易に実現できるようになった。
新技術の特徴
・芳香族合成
・安全な有機合成
・合成の短行程化
想定される用途
・物質変換
・医薬品合成
・材料合成
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
九州工業大学 九州工業大学オープンイノベーション推進機構 産学官連携本部
TEL:093-884-3499
Mail:chizai jimu.kyutech.ac.jp
URL:http://www.ccr.kyutech.ac.jp/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp