東京工業大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2021年11月02日(火) 10:00~14:55
会場: オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、東京工業大学
発表内容一覧
- 新材料による革新的強誘電体メモリの創製 発表資料
- ①高感度バイオセンシングデバイス用の自立超薄膜の製造法、②マイクロ流路内の生体組織のまるごと割断方法 発表資料 プレゼン動画
- 脳波とAIを用いた音声合成とデータ拡張手法 発表資料 プレゼン動画
- 活性化剤内包型ポーラスガラス上での核酸合成法の開発と光制御 発表資料 プレゼン動画
- 筋電図を用いた技能の可視化とインタフェース 発表資料
- タンパク質を安定化する化合物の開発 発表資料
- 手首装着型カメラを用いた手の甲の画像からの三次元手指姿勢推定 発表資料
- 電気化学的手法を用いたタンパク質化学修飾法 発表資料 プレゼン動画
- 制振性能・生産性を同時に高めた戸建住宅用ダンパーの開発と商品化 発表資料 プレゼン動画
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- デバイス・装置
1)新材料による革新的強誘電体メモリの創製
発表資料東京工業大学 工学院 電気電子系 准教授 大見 俊一郎
新技術の概要
本技術は、1トランジスタ型強誘電体メモリへの応用を目的として、反応性スパッタ法によりSi基板上に堆積した窒化ハフニウム(HfN)薄膜を熱処理により結晶化させることで、強誘電性を示すHfN薄膜のSi基板上への直接形成を実現したものである。
従来技術・競合技術との比較
強誘電性酸化ハフニウム(HfO2)はSi基板上にHfO2を形成した場合、界面に低誘電率の二酸化シリコン層が形成されるため、動作電圧の低減が困難でメモリ特性が劣化する。強誘電性HfNの場合、窒化Siの生成熱が大きく界面層が形成されないため、動作電圧を低減でき、データの保持特性を向上できる。
新技術の特徴
・酸素を含まず、シリコン集積回路と整合性の高い材料であるHfとNのみで強誘電性薄膜が形成可能。
・10ナノメートル以下への薄膜化が可能。
・400℃以下の熱処理で強誘電性薄膜の形成が可能。
想定される用途
・不揮発性メモリ
・ユニバーサルメモリ
- 10:30~10:55
- 製造技術
東京工業大学 工学院 機械系 准教授 石田 忠
新技術の概要
①バイオセンシング応用の自立超薄膜をダメージを与えずに製造する方法を開発した。窒化シリコン超薄膜の作製において、シリコンウエットエッチングの保護膜として通常用いられるシリコン酸化膜の代わりに、ポリジメチルシロキサン(PDMS)チャンバを保護層に使った。②マイクロ流路内での組織実験後に、組織を流路ごと割断可能とするために、包埋剤の一種であるエポキシを材料としたマイクロ流路の作製技術を開発した。三次元培養細胞や組織を導入・実験し、流路ごとスライスすることで割断面や数mm厚の観察標本を作製できた。
従来技術・競合技術との比較
①従来シリコンウエットエッチング法はシリコン表面にシリコン酸化膜を保護層としてパターニングすることで行われていたが、デバイス面を数百度の高温にさらすことや直接シリコン酸化膜がデバイス面に触れること、シリコン酸化膜の除去にはフッ酸が不可欠であることなど課題が多くあった。②流路内で実験した三次元培養細胞や組織は流路外に取り出してエポキシ樹脂などを使ってを包埋し、割断面や数mm厚の観察標本を作製しており、マイクロ流路内で三次元培養細胞や組織をそのまま割断した例がない。
新技術の特徴
・液中試料の電子顕微鏡観察に用いる電子線透過膜をダメージなく極めて薄く作ることができる
・薄膜にナノ孔を設けてDNAを通過させると、DNAの塩基配列を決定できる超高感度次世代シーケンサとなる
・マイクロ流路で実験した腫瘍組織等の組織切片を容易に作ることができる
想定される用途
・液中試料の電子顕微鏡観察のための超薄電子線透過膜
・超高感度次世代シーケンサ
・組織等の生体組織標本作製装置
関連情報
・サンプルあり
- 11:00~11:25
- 情報
東京工業大学 科学技術創成研究院 バイオインタフェース研究ユニット 准教授 吉村 奈津江
新技術の概要
1. 人が音を聞いたり思い出している時の脳波をから、信号処理と深層学習を用いてその音声を実際の音として再現できる技術。音声合成機の解析により、脳のどの部分の情報を用いたかも可視化可能。
2. 1の手法や他の深層学習の際に、少ないデータを水増しして学習性能の向上を可能にするデータ拡張技術。
従来技術・競合技術との比較
1. 頭皮にセンサーを貼り付けて脳活動を計測する手法を用いて、ヒトが聞いたり思い出している音声を音として再現し、さらに脳のどこを使って聞いていたかを把握できる技術はこれまでにない。
2. カオス的振動子の同期現象を利用したアルゴリズムを用いて時系列信号のデータ拡張を行うアルゴリズムはこれまでに存在しない。
新技術の特徴
・頭の中にある音を第三者に音声として提示できる。
・脳のどこでその音を処理していたか調べられる。
・少ないデータを拡張し、深層学習に取り入れられる新たなコンセプト。
想定される用途
・難聴者などの聞こえ方と脳活動を客観的に可視化し、診断やコミュニケーション手段に活用する。
・言語を介したコミュニケーションができない人の意思抽出に利用する。
・サンプル数に制限のあるデータを用いて深層学習を行う際のデータ数のかさ増しに用いる。
関連情報
・デモあり
- 11:30~11:55
- アグリ・バイオ
東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系 准教授 大窪 章寛
新技術の概要
「多種のDNAオリゴマーを高効率に合成できる手法」の開発において、活性化剤を導入したポーラスガラスを用いれば、縮合反応の効率が大幅に向上するということを見出した。また、板状ポーラスガラスを特定の有機溶媒に浸潤させUV光の透過性を高めることで、ポーラスガラス上での核酸合成の光制御を可能にした。
従来技術・競合技術との比較
HOBt誘導体を内包した合成担体を用いることで、汎用されている手法に比べ、合成効率は2倍以上に向上する。また、200nm以上の細孔径を有する板状ポーラスガラスは厚さが1mmになると、365nmのUV光をほとんど透過させないが、特定の有機溶媒に浸潤させることで、90%ものUV光を透過できる。
新技術の特徴
・長鎖核酸合成の高効率化が可能
・高純度核酸プールの低コスト化が可能
・三次元核酸合成が可能
想定される用途
・高純度長鎖DNAプールを用いたゲノム合成
・高純度長鎖RNAプールを用いたRNA医薬の開発
・高効率のオンチップ合成型のマイクロアレイ
関連情報
・サンプルあり
- 12:00~12:25
- 情報
5)筋電図を用いた技能の可視化とインタフェース
発表資料東京工業大学 科学技術創成研究院 バイオインタフェース研究ユニット 教授 小池 康晴
新技術の概要
本技術は、多数の筋活動をタスクに応じて同時に活動する筋肉群の活動に分離し、動きや力との対応をわかりやすくするもので、熟練者の技能を可視化し初心者に伝えやすくすることが可能である。また、筋電図を用いた新しいヒューマンインタフェースに応用が可能で、リハビリテーション機器の開発にも応用が可能である。
従来技術・競合技術との比較
筋肉の活動を電気刺激などにより伝えることも可能であるが、複数の筋肉を精度良く刺激することは難しい。また、筋肉一つ一つの活動を可視化しても、タスクとの関係を説明するのが難しかった。本技術は、タスクと関係のある筋肉群の活動を可視化し比較できるもので、技能の保存、学習、伝達、また、多自由度のロボット制御にも利用可能である。
新技術の特徴
・筋肉レベルで体の使い方の特徴を可視化
・筋肉レベルで体の使い方を、人やロボットと通信が可能
・自分では分からない技能の上達具合を可視化や保存可能
想定される用途
・技能伝承
・義手などのロボット制御・ヒューマンインタフェース
・リハビリテーション
関連情報
・デモあり
- 13:00~13:25
- 創薬
6)タンパク質を安定化する化合物の開発
発表資料東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系 教授 金原 数
新技術の概要
ポリエチレングリコール(PEG)が温度変化により親水性を変化させる性質を利用して、低濃度でタンパク質の熱安定性向上効果と凝集抑制効果を示す両親媒性PEG誘導体を開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来技術よりも低濃度でタンパク質の熱安定性を向上。ポリマーではないので、溶液の粘度上昇を抑えることができる。分子設計が容易なので、目的タンパク質や使用環境に応じたチューニングが可能。
新技術の特徴
・温度により親水性疎水性が切り替わる
・生体親和性が高い
・高分子でない化合物を用いる
想定される用途
・バイオ医薬品の安定化
・コールドチェーン問題の解決
・機能性タンパク質の安定化
- 13:30~13:55
- 情報
7)手首装着型カメラを用いた手の甲の画像からの三次元手指姿勢推定
発表資料東京工業大学 情報理工学院 情報工学系 教授 小池 英樹
新技術の概要
本発明は、腕時計やスマートリストバンドなど手首装着型デバイスに内蔵された小型カメラを用いて撮影した手の甲の皮膚、筋肉、血管などの変形を画像情報として深層ネットワークに学習させ、それから実時間で手指の三次元姿勢を推定するシステムである。
従来技術・競合技術との比較
従来の手指姿勢認識技術は、カメラにより指を撮影する必要がある。一方、本発明は手の甲の画像だけを使用して手指の3次元姿勢の推定が可能。しかも、普通の単眼カメラを使い手の甲を観察するだけなので、腕時計やスマートリストバンドなどの既存の腕装着型デバイスに埋め込みが容易。
新技術の特徴
・手指の3次元姿勢(角度)の認識が可能
・腕時計やスマートリストバンド等の手首装着型デバイスに埋め込みが可能
・異なる照明条件で、高精度で3次元姿勢の認識が可能
想定される用途
・スマートフォンや家電機器のジェスチャー操作
・VR/AR環境での操作入力
・手話認識
- 14:00~14:25
- 創薬
東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 教授 中村 浩之
新技術の概要
我々は、電気化学的手法を用いて、タンパク質を化学修飾する技術を開発した(「電気化学的手法による修飾タンパク質の製造方法」特願2018-124834(出願人:国立大学法人東京工業大学)2018年6月29日出願)。この方法では、タンパク質の化学修飾剤(低分子有機化合物)を電気化学により電極上で活性化させ、タンパク質を共有結合により化学修飾することができる。
従来技術・競合技術との比較
従来法では、タンパク質の化学修飾剤を活性化させるための活性化剤を添加する必要があった。そのため、反応後は、タンパク質を再度精製する必要があり、煩雑な工程が必要であった。本技術は、電極間に化学修飾剤とタンパク質を通すだけでよく、フロー合成にも適応可能である。
新技術の特徴
・反応副生成物を出さない
・ペプチドにも適応できる
・高分子を含む生体関連材料にも適応できる
想定される用途
・タンパク質医薬開発
・抗体センサー
・生体関連材料開発
- 14:30~14:55
- 建築・土木
東京工業大学 科学技術創成研究院 特任教授 笠井 和彦
新技術の概要
Kブレース型の制振架構に関する技術であり、ダンパーに複数の角型鋼管を採用することで、安価でエネルギー吸収能力の高い建物の制振構造及び制振装置を提供します。また、ブレース材とホールダウン金物の結合部の位置関係を規定することで、柱への局所的な荷重を低減することができます。
従来技術・競合技術との比較
ダンパーとして、従来のH型鋼材に代わり、角型鋼管を採用することで、弾性変形面を上下2面得ることが出来、少ない個数で高いエネルギー吸収が可能です。また、加工も円孔を形成するのみであり、容易に製造でき、コスト低減が出来ます。
新技術の特徴
・柱への局所的な荷重集中を防止する
・容易に製造でき、低コストで高いエネルギー吸収能力を持つ制振装置及び制振構造
・戸建木造及び軽量鉄骨住宅の耐震性を高める
想定される用途
・新築、既存の木造住宅及び軽量鉄骨住宅
・本ダンパーは、Kブレース型以外の制振架構にも適用可能
・ダンパーの量によって、住宅の安全性と財産保持性を様々に高める
関連情報
・デモあり
・展示品あり
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東京工業大学 研究・産学連携本部 産学連携部門
TEL:03-5734-3817
Mail:sangaku sangaku.titech.ac.jp
URL:https://www.ori.titech.ac.jp/
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