JST未来社会創造事業① 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2022年05月13日(金) 09:55~13:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構
発表内容一覧
発表内容詳細
- 09:55~10:00
開会挨拶
科学技術振興機構 未来創造研究開発推進部 部長 大矢 克
- 10:00~10:25
- エネルギー
1)電気で色が変わる窓の超低消費電力駆動と普及に向けて
発表資料物質・材料研究機構 機能性材料研究拠点 電子機能高分子グループ グループリーダー 樋口 昌芳
新技術の概要
エレクトロクロミック(EC)調光ガラスは電気で色が変わる次世代ガラスとして注目されている。メタロ超分子ポリマーを用いたEC調光ガラスデバイスにおいて対極材料を最適化することで0.8Vの低電圧駆動を実現した。
従来技術・競合技術との比較
窓からの遮光と遮熱を自在に制御できるEC調光ガラスは、オフィスなどの空調にかかるエネルギーの削減に寄与すると期待される。酸化タングステンなどの従来のEC材料は真空下での製膜が必要であるなどデバイス製造に必要な設備投資が大きく、現在広い普及に至っていない。
新技術の特徴
・超低電圧駆動化(0.8V)を実現
・電源を切っても表示状態が続くメモリ性
・調光フィルムデバイス化も可能
想定される用途
・調光ガラス(オフィスの窓など)
・調光フィルム(オフィスの窓、及び車載)
・不揮発性表示デバイス
関連情報
・サンプルあり
- 10:30~10:55
- デバイス・装置
自然科学研究機構 分子科学研究所 社会連携研究部門 特任教授 平等 拓範
新技術の概要
中間層を介した表面活性接合(inter-layer surface activated bonding, il-SAB)では、レーザーや非線形光学結晶、ヒートシンクなど様々な素子を、熱損傷、歪みを避けて原子レベルで接合できる。このil-SABによりパワーレーザーの集積化、小型化が可能になるなど高性能小型レーザーの開発が可能になる。また高強度パルスレーザーの小型化、マイクロチップ化が望めるため、これまでパワーレーザーが大型で環境変化に敏感、取り扱いが不便で、かつ大電力を要するなどのために利用が進まなかった様々な分野(製造、移動体、インフラ、医療、セキュリティ)への適用が可能となる。
従来技術・競合技術との比較
・ピーク出力が同等のパルスレーザーと比較して、桁違いの小型・軽量化を達成
・レーザー媒質やミラー等を接合して一体化することにより、小型で堅牢なレーザーを実現
・レーザー媒質に熱伝導率の高い透明基板を接合して排熱を促進することで、世界最高のレーザー出力密度を達成
新技術の特徴
・パワーレーザーの小型集積化が可能となる
・手のひらサイズ、ロボットアーム搭載のパワーレーザーが望める
・様々な光学素子の常温接合が可能となる
想定される用途
・レーザー含めた光学素子
・製造、移動体、インフラ、医療、セキュリティ
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 11:00~11:25
- 材料
物質・材料研究機構 統合型材料開発・情報基盤部門 デバイス材料設計グループ 主任研究員 木野 日織
新技術の概要
第一原理計算AkaiKKRは非ストイキオメトリ合金の計算を高速に行える特徴を持る。一方でAkaiKKRはグリーン関数法であるため電子状態計算時に結晶構造に依存するセミコア状態の計算パラメタを人手で与えねばならない困難があり、元素を網羅的に変える計算には向いていなかった。今回、AkaiKKR法でsemicore順位を自動的に認識する手法と自動計算のための一連のPythonライブラリを開発した。
従来技術・競合技術との比較
VASPやQuantumEspresso用の第一原理計算のPythonによる自動化ツールとしてpymatgen, fireworks, AFLOW, AiiDA-quantum espressoなどが存在する。また、Julich KKR用にaiida-kkrが存在するが、電気伝導度計算が可能な日本発のAkaiKKR用のPythonライブラリを公式に開発した。
新技術の特徴
・AkaiKKR法実行の自動化を行ったことにより網羅第一原理計算が可能になった
・AkaiKKRの公式なPython自動化ライブラリである
・cif,POSCARなどの構造からAkaiKKRの入力に変換が可能である
想定される用途
・自動網羅計算による磁性及び電気伝導度の材料探索
- 11:30~11:55
- エネルギー
大阪大学 大学院工学研究科 応用化学専攻 准教授 (現職 千葉大学 大学院工学研究院 先進理化学専攻 教授) 津田 哲哉
新技術の概要
アルミニウム金属負極は、塩化アルミニウム系イオン液体・溶融塩電解液中において、高いクーロン効率を示す。そのため、これらの電解液で使用できる正極の開発が活発化している。新たに開発したイオン液体電解液は硫黄正極とのマッチングが良好であり、リチウムイオン二次電池を超える容量の電池系の構築が見込めるようになった。
従来技術・競合技術との比較
今回開発した塩化アルミニウム系無機イオン液体は安価な塩を使って合成できるだけでなく、高いイオン伝導度も有するため、アルミニウム電池用電解液としてよく使用される塩化アルミニウム系有機イオン液体と比較して、低価格かつ高性能なアルミニウム蓄電池系が構築できる。
新技術の特徴
・安価で地球に優しい
・高容量・高出力
・安全性が高い
想定される用途
・電力系統用(定置用)蓄電池
・電気自動車用蓄電池
・電鋳プロセス用蓄電池
- 13:00~13:25
- エネルギー
北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 融合科学共同専攻 教授 松見 紀佳
新技術の概要
本研究においては、シリコン粒子に代わり、充放電時の体積膨張・収縮を大幅に抑制し、極めて安定な充放電サイクルを汎用のバインダー材料使用時においても示すシリコンカーバイド系活物質を開発した。300サイクルにわたって安定した高容量を示した。
従来技術・競合技術との比較
従来のようにシリコン粒子を活物質とした系では、充放電に伴う体積変化が非常に大きく、特殊なポリマーバインダー等を使用しなければ安定した挙動を得ることが困難であった。体積変化が小さいベータシリコンカーバイドの採用により制御された高容量の発現が可能となった。
新技術の特徴
・ベータシリコンカーバイド/窒素ドープカーボンコンポジットの簡易合成法を開発
・1195 mAhg-1の放電容量を300サイクルまで示す
・汎用のバインダー材料を用いても高放電容量と長期サイクル耐久性を同時に発現させることが可能
想定される用途
・車載用電池
・ドローン用電池
・ポータブルデバイス用電池
関連情報
・サンプルあり
- 13:30~13:55
- エネルギー
広島大学 大学院先進理工系科学研究科 応用化学プログラム 教授 尾坂 格
新技術の概要
有機薄膜太陽電池は、有機半導体を塗って作れる低環境負荷な次世代太陽電池であり、軽量、フレキシブル、透明性といった特長を持ちます。当グループでは、高効率有機薄膜太陽電池を目指し、新しい有機半導体を開発研究を進めています。
従来技術・競合技術との比較
有機薄膜太陽電池の変換効率は従来10%程度でしたが、当グループで開発した材料を用いると、有機薄膜太陽電池としては非常に高い15〜16%程度の変換効率が実現できます。
新技術の特徴
・塗って作れる太陽電池
・フレキシブル・軽量な太陽電池
・透明な太陽電池
想定される用途
・外壁・窓(ZEB/ZEH)
・エネルギーハーベスティング
・農業
関連情報
・サンプルあり
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連携・ライセンスについて
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