ライフイノベーション 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2023年10月24日(火) 10:00~14:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、
横浜市立大学、岐阜薬科大学、
静岡県立大学、名古屋市立大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 医療・福祉
横浜市立大学 先端医科学研究センター コミュニケーションデザインセンター 助教 西井 正造
新技術の概要
呼吸機能、嚥下機能、及び発声機能の少なくとも1つの機能に関するトレーニングを効果的、継続的に行えるよう、レールの幅が任意の大きさに変わることに対処するため、タブレット備え付けのマイクを通じてプレイヤーの声の大きさ(口すぼめ呼気も可)を認識し、音声(呼気)の大小に比例して対象物の大きさが変わり、その対象物がレールの隙間から落ちないようにすることで、対象物がレール上を転がり、ゴールを目指す仕組みを実装したゲーム装置。
従来技術・競合技術との比較
呼吸訓練には腹式呼吸、口すぼめ呼吸、インセンティブ・スパイロメーターを用いた方式などがあるが、単純な繰り返し作業であるため、それらを指導通り、必要な回数、長期に継続してもらうことは非常な困難を伴う。これらの課題に対応し得る先行特許には、(特開平10-43430号公報)呼吸法の訓練を目的として、プレーヤーの呼吸信号に基づき、バリヤーが飛翔体の速度または破壊強度に与える影響を設定するゲームが存在しているが、脈拍計や呼吸計を接続して行うものであり、ゲームが有利になる要素として、脈拍や呼吸を安定させ、冷静や安静の度合いに連動するようになっているため、術前・術後の負荷をかけるような呼吸トレーニングには不向きであった。本技術はタブレット端末やスマートホン上で付属品等不要で簡易に機能する。
新技術の特徴
・声や呼気に反応するゲーム
・タブレット端末やスマートホン上で機能するアプリケーション
・ジャイロゲーム上のレールの幅や長さが任意設計できることで、プレイヤーにして出してもらいたい声(呼気)の大きさや長さを規定可能
想定される用途
・肺切除等に伴う要呼吸訓練患者の長期呼吸機能トレーニングに資するゲーム装置
・呼吸に使う筋力をアップさせ、痰や食べ物が気管に入ったときに強い咳で排出できるようにするための嚥下機能トレーニングに資するゲーム装置
・息を吹きかける、または声を出すことでゲームが進行する新しいエンターテインメント用途のゲーム装置
関連情報
・デモあり
- 10:30~10:55
- 創薬
静岡県立大学 食品栄養科学部 栄養生命科学科 教授 三浦 進司
新技術の概要
ロコモティブシンドロームの原因である筋萎縮には、未だ有効な予防・治療法は見出されていない。これまでに転写因子FOXO1の活性阻害が、不活動、疾病等による二次性筋萎縮を抑制すると報告されている。我々は独自のスクリーニング系を構築し、FOXO1阻害低分子化合物を見出し、筋萎縮抑制効果があることを認めた。
従来技術・競合技術との比較
筋萎縮の予防には、運動トレーニングや適切な栄養素摂取が重要とされてきた。しかし、栄養療法は一貫した有効性が証明されておらず、運動療法については高い脱落率が問題となっている。さらに、わが国において二次性筋萎縮を適応症とする薬剤はない。
新技術の特徴
・FOXO1活性を抑制する低分子化合物
・BCR-Abl阻害剤の新規用途
想定される用途
・廃用性筋萎縮などの二次性筋萎縮の抑制
・がん悪液質による筋萎縮の抑制
- 11:00~11:25
- 創薬
3)プロテアソーム機能代償機構を標的とした新規がん治療戦略の開発
発表資料岐阜薬科大学 薬学部 生命薬学大講座 生化学研究室 准教授 遠藤 智史
新技術の概要
プロテアソーム阻害薬の適用は血液がんに限られ、易耐性化の解決も課題である。この一因にDDI2によるNF-E2-related factor 1 (Nrf1) の活性化によるプロテアソーム機能代償機構が挙げられる。今回、新規DDI2 阻害剤を開発し、プロテアソーム阻害薬の作用増強効果を明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
新規DDI2阻害剤は抗がん剤耐性固形がん細胞におけるプロテアソーム阻害薬の作用を増強することが可能である。唯一知られる既存DDI2阻害剤がプロテアソーム機能代償機構を亢進させてしまう一方で、本化合物はプロテアソーム機能代償機構を阻害できる点で優位である。
新技術の特徴
・DDI2阻害剤
・プロテアソーム阻害剤の作用増強効果
想定される用途
・がんアジュバント薬
・DDI2阻害剤
関連情報
・サンプルあり
- 11:30~11:55
- 創薬
名古屋市立大学 大学院薬学研究科 臨床薬学分野 准教授 岩尾 岳洋
新技術の概要
本技術では、ヒトiPS細胞から生体腸管の構造に近い三次元構造を有する腸管オルガノイドを大量かつ簡便に作製する方法を開発した。また、この腸管オルガノイドを生体腸管にみられるような絨毛様構造を有したまま二次元的に培養できる方法も開発した。このモデルは創薬研究において広く利活用されることが期待できる。
従来技術・競合技術との比較
生体腸管にみられる絨毛様構造を有したまま二次元的に培養可能な腸管細胞をヒトiPS細胞から作製することを可能にしたことは本技術の優位性である。また、浮遊培養を適用することで大量かつ簡便にヒトiPS細胞から腸管オルガノイドを作製できることも大きな利点である。
新技術の特徴
・セルカルチャーインサート内での二次元的な培養で絨毛様構造を有することができる
・疾患特異的iPS細胞を使用することで病態モデルへの展開も期待される
・2次元培養系を元にしたOrgan-on-chipの開発も可能
想定される用途
・薬効・薬理試験、安全性試験、薬物動態試験などの創薬研究のためのモデル
・腸管の病態モデルの作製による病態機序解明や治療薬開発などのためのモデル
・実験動物の代替となる消化管モデル
関連情報
・サンプルあり
- 13:00~13:25
- 創薬
静岡県立大学 薬学部 薬学科 助教 渡邉 正悟
新技術の概要
ヒトに感染したウイルスは、ヒトの細胞が持つDNAやRNAを作る機能を利用して増殖します。核酸構成要素のピリミジン生合成に関わるジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)の働きを抑えることはウイルスの増殖抑制につながりますが、私たちはこの酵素を阻害する化合物を発見しました。
従来技術・競合技術との比較
今回の発明では、宿主であるヒトの酵素を標的とした新しい作用機序を持つ抗ウイルス薬の開発が可能であり、従来の薬剤とは異なり様々な種類のウイルスへの効果が期待されます。既存のDHODH阻害剤では宿主への毒性が懸念されますが、我々の化合物ではヒトの細胞に毒性が出ない低濃度でウイルス増殖を強く阻害します。
新技術の特徴
・この化合物は、ヒトの細胞に毒性が出ない濃度でもウイルスの増殖を強く阻害し、将来的に起こり得る新興・再興感染症に備えることができます。
・DHODH阻害を起点とした創薬展開が期待できます。
・ユビキノン結合部位を標的としたツール分子として利用できる可能性があります。
想定される用途
・様々なウイルス感染症(コロナウイルスやサル痘ウイルス)に対する治療薬
・感染症の重症化に関わる免疫の暴走を抑えることから、他の抗ウイルス剤との併用での利用
・DHODH阻害剤は、異常な細胞増殖を抑えることから、自己免疫疾患やがんの治療薬としても期待できる
- 13:30~13:55
- 創薬
6)化学療法における口内炎予防を目的とした口腔内粘膜付着フィルム製剤の開発
発表資料岐阜薬科大学 薬学部 製剤学研究室 教授 田原 耕平
新技術の概要
口内炎は、がん化学療法においてがん患者が最も苦痛と感じる有害事象の一つであり、重篤化すると治療継続が困難となる。我々はこれまでに、ポラプレジンクの懸濁剤やトローチ剤が優れた口内炎予防効果を示すことを明らかにした。しかし、本製剤は味や服用感の問題から、小児や口腔機能が低下した患者への適応は困難であった。そこで本検討では、服薬が容易であり口腔内で適切に滞留する口腔粘膜付着フィルム製剤を開発した。
従来技術・競合技術との比較
製剤中の薬物成分割合を20%以上とする必要があり、一般的なフィルム製剤としてはかなりの高含量である。製剤処方を検討した結果、ヒドロキシプロピルセルロース単独をフィルム基剤とすることで、薬物結晶を20%以上含み、かつ粘膜付着性を示すフィルム製剤の開発に成功した。
新技術の特徴
・高含量の薬物を含む口腔粘膜付着フィルム製剤
・フィルム製剤の品質管理システム
・予防薬としての開発チャレンジが可能
想定される用途
・化学療法全般において副作用として発現する薬物性口内炎の予防薬
・口腔粘膜付着フィルム製剤のプラットフォームとして、ポラプレジンクや口内炎以外の他の薬物や疾患治療にも応用可能
関連情報
・サンプルあり
- 14:00~14:25
- 医療・福祉
名古屋市立大学 大学院医学研究科 加齢・環境皮膚科学分野 教授 森田 明理
新技術の概要
皮膚に紫外線照射することで、制御性T細胞が誘導されることは知られていたが、自己抗原に対する末梢性免疫寛容を誘導・維持するthymus-derived Treg (tTreg)を誘導する紫外線波長として、UVCであることを見いだした。
従来技術・競合技術との比較
多くは外来抗原に反応するperipherally-generated Treg (pTreg)、もしくはinducible Treg (iTreg)は、容易にサイトカイン等で誘導されるが、tTregを容易に誘導する方法は知られていない。今回は、皮膚にUVCの特定波長を用いて誘導することは、非常に簡便であり、臨床応用するにしても容易であり、将来性が高い。
新技術の特徴
・UVCによる自己抗原に対する末梢性免疫寛容を誘導・維持するthymus-derived Treg (tTreg)を誘導
・皮膚に、特定のUVC波長を照射することで、容易にtTregが誘導
想定される用途
・皮膚疾患の治療
・自己免疫疾患・アレルギー疾患の治療(抗原特異的な免疫抑制)
・臓器移植の際のステロイドもしくは免疫抑制剤の減量
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
横浜市立大学 研究・産学連携推進課
TEL:045-787-2061
Mail:sangakuyokohama-cu.ac.jp
URL:https://www.yokohama-cu.ac.jp/res-portal/contact.html
岐阜薬科大学 事務局 庶務会計課
TEL:058-230-8100
Mail:syomuk gifu-pu.ac.jp
URL:https://www.gifu-pu.ac.jp/research/collaboration.html
静岡県立大学 教育研究推進部 地域・産学連携推進室
TEL:054-264-5124
Mail:renkei u-shizuoka-ken.ac.jp
URL:https://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/cooperation/
名古屋市立大学 産学官共創イノベーションセンター
TEL:052-853-8309
Mail:ncu-innovation sec.nagoya-cu.ac.jp
URL:https://www.nagoya-cu.ac.jp/science/cooperation/ura/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp