生体のセンシングと計測 ~首都圏北部4大学連合~ 新技術説明会【対面開催】
日時:2023年11月16日(木) 10:00~15:25
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、
茨城大学、宇都宮大学、群馬大学、埼玉大学
発表内容一覧
- 植物内在分子を用いたヒト型遊離セラミドの生産技術 発表資料 プレゼン動画
- 皮膚の光老化を止められるか? ―水に溶けやすいチロシナーゼ阻害剤の開発― 発表資料
- バイオ・医療・化学等の分野で普及が期待できる衝撃付与型攪拌装置 発表資料
- グルコシル化リン脂質の新規合成法 発表資料 プレゼン動画
- 緑藻による化粧品・健康医療向け新素材の生産技術 発表資料 プレゼン動画
- タンパク質のビオチン標識剤 発表資料
- NAFLDイメージングのための蛍光性試薬の開発 発表資料 プレゼン動画
- うつ病の早期発見が可能なバイオマーカーの開発 発表資料 プレゼン動画
- 体外における哺乳動物胚を選別する方法 発表資料 プレゼン動画
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- アグリ・バイオ
埼玉大学 大学院理工学研究科 分子生物学PG 准教授 石川 寿樹
新技術の概要
遊離セラミドはヒト肌バリア機能の主体であり、化粧品や健康食品の有効成分として市場規模が拡大している。本技術では、植物に含まれる酵素と複合型セラミドを用いて、ヒト肌型の遊離セラミドを高効率に生産する。また、植物セラミド関連代謝物の網羅分析手法を確立し、セラミド生産の迅速な化学的評価が可能となった。
従来技術・競合技術との比較
化粧品に汎用される化学合成品と異なり、機能性が高い極長鎖型セラミドを生産できる。また、食品に利用されるグルコシルセラミドに比べ、消化性や肌への浸透性に優れる。これら機能的に優位な遊離セラミドを植物由来成分として生産することができ、また原材料の幅が広いため量産化が可能である。
新技術の特徴
・特殊な装置を必要とせず、簡便な工程で遊離セラミドを生産可能
・様々な植物を原料として利用できるため、既存原料の遊離セラミド含量の向上や、植物性廃棄物の資源化など、幅広いアプローチが可能
・植物由来セラミドの化学構造および含量を網羅的に化学分析することにより、セラミドの生産性や機能性を評価することができる
想定される用途
・既存の化粧品原料の高付加価値化
・食品および食品原料の遊離セラミド増強による機能性付与
・植物性廃棄物のアップサイクリング
- 10:30~10:55
- アグリ・バイオ
2)皮膚の光老化を止められるか? ―水に溶けやすいチロシナーゼ阻害剤の開発―
発表資料宇都宮大学 農学部 応用生命化学科 教授 二瓶 賢一
https://agri.mine.utsunomiya-u.ac.jp/hpj/deptj/chemj/npc/index.htm
新技術の概要
紫外線を浴びすぎると、日焼けを起こし、皮膚が褐変します。その現象のもととなる酵素がチロシナーゼです。したがって、その酵素を阻害することで、シミやそばかすなどの皮膚の光老化を防ぐことができます。本発明では、新しいチロシナーゼ阻害剤を開発しました。特に、化粧水などに配合しやすい水溶性阻害剤について説明を行います。
従来技術・競合技術との比較
アスコルビン酸誘導体やシステイン誘導体などの機能性成分は、チロシナーゼにより、分解される可能性があります。それに対して、本発明で見い出された阻害剤は、チロシナーゼの影響を受けにくい化合物です。また、構造改変により、活性を保ったまま、水溶性および脂溶性など、化合物の物性を変化させることができます。
新技術の特徴
・チロシナーゼおよび関連する酸化還元酵素の強力な阻害
・水溶性と脂溶性を切り替えられるコンパーチブルな構造
・食品の褐変,昆虫のクチクラ形成およびカビの付着を防止できる可能性あり
想定される用途
・化粧品の機能性成分
・食品の褐変防止剤
・農薬(殺虫剤および抗カビ剤)
- 11:00~11:25
- アグリ・バイオ
3)バイオ・医療・化学等の分野で普及が期待できる衝撃付与型攪拌装置
発表資料茨城大学 理工学部 工学野 機械システム工学専攻 助教 上杉 薫
新技術の概要
医療、医薬品、化学、化粧品、食品、細胞培養、分子ロボット等様々な分野の研究開発現場において、液体や物質を混合・撹拌し、またドロップレットやベシクルを作製する際にも利用する装置。タッピングやスクラビングでは実験者によるばらつきが生じるが、一連の動作を機械化することによりばらつきを防ぐ。
従来技術・競合技術との比較
容器に触れた回転体の偏芯を利用して、容器内に渦を作り攪拌する方法(ボルテックス)があるが、大きな衝撃を伴った攪拌ができず、使用者による容器の支え方によって攪拌具合がばらつく。また、容器内に磁性を持った攪拌子を入れて回転磁場で回すことで攪拌する方法(スターラ)が存在するが、やはり大きな衝撃が与えられず、攪拌子を容器内に入れるためコンタミの危険性がある。
新技術の特徴
・ドロップレットやベシクルの安定した作製(実験者が行うことが多く、バラツキがあった)が可能となり、医療、再生医療、バイオ、化学、化粧品、食品、分子ロボットなどの分野に応用可能
・遠心分離によって形成された、細胞やタンパク質などのペレットをほぐし、攪拌する作業(これまで実験者が行ってきたためバラツキがあった)を安定的に行えるようになる
・ホモジェナイザーの様な激しい破砕では、壊れてしまうようなデリケートな破砕に対応できる可能性(細胞膜破壊によるプラスミド抽出等)
想定される用途
・攪拌
・ドロップレット、ベシクル作製
・破砕
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 11:30~11:55
- 材料
群馬大学 理工学府 分子科学部門 教授 松尾 一郎
新技術の概要
水溶液中、無保護の糖を2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムクロリドで活性化、リン脂質と反応させることで糖リン脂質の簡便合成が可能となった。さらにアジド基修飾糖を用いて糖リン脂質を合成、リポソーム化することで、クリック反応により任意の置換基のリポソーム表面への導入が可能となった。
従来技術・競合技術との比較
これまで糖とリン酸基を反応させるためには糖残基への保護基の導入、反応後の脱保護反応が必要で煩雑で工程数が多かった。また、精製や合成には有機溶媒を使う必要があった。本反応は一段階かつ水溶液中で糖部分を修飾することなく糖リン脂質の合成を可能にした。
新技術の特徴
・水溶液中で無保護の糖とリン脂質を結合させて糖リン脂質合成する
・糖リン脂質の固相法
・修飾糖鎖含有リポソームの調製が可能
想定される用途
・デタージェント
・糖修飾リポソーム調製用材料
・安定同位体標識糖リン脂質を利用した質量分析用標準品
関連情報
・サンプルあり
- 13:00~13:25
- アグリ・バイオ
茨城大学 農学部 食生命科学科 教授 朝山 宗彦
新技術の概要
緑藻を培養し、有用物質(育発毛剤材料、抗炎症剤材料)を生産する方法
従来技術・競合技術との比較
「屋内外大規模培養」 が可能である 「新奇緑藻(特許株)」 による新しい化粧品・医薬品等の原料」 の生産技術
新技術の特徴
・緑藻(2種の特許株)
・菌体外多糖(育発毛効果、高粘度、乳化安定性、環境ストレス耐性能付与などを有する)
・色素エキス(抗炎症効果、抗酸化効果を有する)
想定される用途
・化粧品
・医薬品
・飲食品
- 13:30~13:55
- アグリ・バイオ
6)タンパク質のビオチン標識剤
発表資料埼玉大学 大学院理工学研究科 物質科学部門 物質機能領域 助教 松下 隆彦
新技術の概要
タンパク質のシステイン残基を標的としたビオチン標識剤を提案する。タンパク質内のジスルフィド結合を還元して生成するスルフヒドリル基に効率的に化学反応して架橋構造を形成するとともに、反応部位にビオチンを付与する。
従来技術・競合技術との比較
一般的なシステイン標的ビオチン標識剤に、マレイミド基を含む化合物がある。これらの試薬を使用すると、もともとジスルフィド結合で結ばれていた構造が失われるという問題があった。本標識剤を使うことにより、架橋構造が形成されるため、安定な修飾体を得ることができる。
新技術の特徴
・ジスルフィド結合部位に選択的にビオチン標識される
・ジスルフィド結合部位に架橋構造がもたらされる
想定される用途
・免疫染色
・免疫検査試薬
- 14:00~14:25
- 計測
群馬大学 大学院理工学府 分子科学部門 准教授 吉原 利忠
新技術の概要
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)モデルマウスの肝臓の脂肪滴と、類洞血管を蛍光イメージングするための試薬を提供します。脂肪滴イメージング試薬は、青、緑、赤、近赤外蛍光を示し、生きた細胞・組織に加えて、固定細胞・組織においても使用可能です。また、血管イメージング試薬と併用することで、組織構造の詳細な情報が得られます。
従来技術・競合技術との比較
現在の脂肪滴イメージング試薬は培養細胞での使用を想定しています。しかしながらNAFLDの研究では、疾患モデルマウスを利用することが多いため、個体内で機能する試薬の開発が求められています。本技術は、試薬をマウスの静脈に投与することで、簡便に脂肪滴と血管をイメージングすることが可能です。
新技術の特徴
・培養細胞・組織・個体での使用が可能
・生細胞、固定細胞での使用が可能
・生体毒性が低く、長時間における観察が可能
想定される用途
・培養細胞内の脂肪滴イメージング
・小動物組織内の脂肪滴および血管イメージング
関連情報
・サンプルあり
- 14:30~14:55
- アグリ・バイオ
茨城大学 農学部 食生命科学科 教授 豊田 淳
新技術の概要
人間関係のトラブルを模した社会的敗北ストレスモデルマウス(うつ病モデル)の血液、糞便、肝臓から、うつ病バイオマーカーの候補(代謝物、腸内細菌)を発見した。これを利用してうつ病の早期発見を可能とする技術を開発する。
従来技術・競合技術との比較
うつ病の診断を可能とするバイオマーカーは世の中に存在しないため、客観的にうつ病を診断することが困難である。本開発により、うつ病を低侵襲、非侵襲で、かつ客観的に数値化することが可能である。
新技術の特徴
・非侵襲、低侵襲で採取可能なサンプルのバイオマーカー
想定される用途
・ストレス対策ための機能性食品
・ストレスチェック用診断キット
・抗うつ薬等の創薬
- 15:00~15:25
- アグリ・バイオ
宇都宮大学 農学部 生物資源科学科 教授 松本 浩道
https://agri.mine.utsunomiya-u.ac.jp/hpj/deptj/anij/page/ikuhan.html
新技術の概要
本発明の課題は、着床能力の高い哺乳動物胚を、比較的簡便に選別する方法を提供します。
哺乳動物胚において、胚の着床能力にガスバイオロジー因子の影響が考えられ、蛍光ライブイメージングアッセイで測定することにより判定する直接評価法を樹立しました。
従来技術・競合技術との比較
通常行われている培養液の改善は間接的な手法です。これまでに着床率を改善する培養方法を報告していますが、良好胚と判定された胚を移植しても全ては着床しません。
胚の着床能力を直接評価することで、体外受精で得られる胚の低い着床能力改善への貢献が期待できます。
新技術の特徴
・哺乳動物胚の生理活性状態を把握し、着床能力の高い胚を判定できる技術
・体外受精卵の着床能力を改善
想定される用途
・家畜の受胎率および産子率の改善による畜産業界への貢献
・ヒトにおける生殖補助医療(不妊治療)への貢献
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
茨城大学 研究・産学官連携機構(日立オフィス)
TEL:0294-38-5005
Mail:iric ml.ibaraki.ac.jp
URL:http://www.iric.ibaraki.ac.jp/
宇都宮大学 社会共創促進センター
TEL:028-649-5502
Mail:uu.cpsc cc.utsunomiya-u.ac.jp
URL:https://www.sic.utsunomiya-u.ac.jp/
群馬大学 産学連携・知的財産活用センター
TEL:0277-30-1173
Mail:innovation jimu.gunma-u.ac.jp
URL:https://www.ccr.gunma-u.ac.jp/
埼玉大学 オープンイノベーションセンター
TEL:048-858-3849
Mail:coic-sangaku ml.saitama-u.ac.jp
URL:http://www.saitama-u.ac.jp/coalition/coic/access/
新技術説明会について
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TEL:03-5214-7519
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