JST未来社会創造事業① 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2023年05月12日(金) 11:25~14:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構
発表内容一覧
発表内容詳細
- 11:25~11:30
開会挨拶
科学技術振興機構 未来創造研究開発推進部 部長 大矢 克
- 11:30~11:55
- 情報
情報・システム研究機構 国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 准教授 石川 冬樹
新技術の概要
深層学習(ディープラーニング)を用いて構築されたAIにおいて、異なる種類の識別誤りが引き起こす事故や損害のリスクが許容不可能であるときに、各誤りのリスクレベルを踏まえて誤りを抑制するようにAIを修正する技術。
従来技術・競合技術との比較
AIを修正するために、追加のデータを集め再度訓練を行う従来手法は、所要時間・コストが大きいだけでなく、AI内の数百万以上のパラメーターを再設定するため、期待通りの修正のために試行錯誤を要するだけでなく、副作用として意図せず誤りの追加発生につながることが多い。
新技術の特徴
・誤識別の要因分析:ソフトウェアのデバッグ技術を応用し、深層ニューラルネットワークの誤識別の要因を分析
・誤識別の修正:誤識別に対するユーザーからの細かな要望に応え、深層ニューラルネットを狙い通りに修正できる
・効果の実証:安全性要求が極めて厳しい自動運転分野において、産業界とともに定めたベンチマークで効果を実証
想定される用途
・AIの予測性能を、安全性やリスクを踏まえてリリース前に微調整する
・フィールドテストや運用で明らかになったAIの弱点に対して、重要な予測性能を下げずに修正する
- 12:00~12:25
- 環境
京都大学 大学院エネルギー科学研究科 エネルギー社会・環境科学専攻 教授 河本 晴雄
新技術の概要
再重合の抑制技術と触媒変換を組み合わせた「熱分解支援接触分解」により、リグニンから60mol%以上の高収率で芳香族モノマーを得る技術を提案する。また、得られたモノマーを気化させ気相で接触分解し、フェノール類、シクロヘキサノール(ナイロン製造原料)、シクロヘキサン類、BTXなどをオンデマンドで製造する技術を提案する。
従来技術・競合技術との比較
熱分解と接触分解が競合技術である。従来の熱分解技術では、リグニンからの生成物が即座に再重合するためモノマー収率は低いが、本提案技術では再重合抑制技術を導入することでこの問題を解決している。また、200℃以下で行われる従来の接触分解での限界収率20mol%をはるかに凌ぐ収率でモノマーを得ることが可能である。
新技術の特徴
・リグニンからの高いモノマー収率
・熱に安定で比較的低沸点のモノマーが得られることから、引き続いて気相での接触分解を行うことが可能である
・ナイロンやBTX(ベンゼン・トルエン・キシレン)の製造が可能である
想定される用途
・シクロヘキサノール経由のナイロン製造
・反応:シクロヘキサン↔ベンゼンを利用したバイオ水素の貯留・運搬およびバイオBTX製造
・リグニンからのフェノール類の製造・利用
- 13:00~13:25
- 医療・福祉
奈良女子大学 大和・紀伊半島学研究所 共生科学研究センター 協力研究員 尾﨑 まみこ
新技術の概要
まだ言葉によるコミュニケーションが未発達な赤ちゃんが母親との交流のために発している匂いについて、生まれて間もない赤ちゃんの匂いをストレスフリーに採取分析し母親や周りの人々に心地よい癒しの感覚をもたらすことを突きとめた。移ろいゆく赤ちゃんの最もいい時期のスタンダードな匂いを再現した香料組成品を提供し有用な商品化をめざす。
従来技術・競合技術との比較
人間が合成して発散する匂い、いわゆる体臭成分の有効利用について、特に赤ちゃんの匂いの社会実装に関しては見るべき従来技術や競合技術はない。本技術は、赤ちゃんの匂いの化学組成を明らかにし、そのデータをもとに比較的少数の成分で再現調香品を作出し心理・生理的にポジティブな匂い効果を得るものである。
新技術の特徴
・新生児の頭部の匂いの化学組成を再現した香料組成物であり、効果を学術的に証明済み
・アロマ製品に限らず、衛生、衣料・寝具、セラピー等の応用製品に、多角的に展開可能
・周産期母子のストレス軽減、健全な日常生活に、本調香品のポジティブな効果を活用可能
想定される用途
・芳香製品(香水、空間芳香剤、衛生。インバス用品、柔軟剤、洗剤など)
・香りづけ(衣類や寝具、ベビー服、母子向け寝具、育児・マタニティー用品、ティッシュ、おむつなどの衛生用品を含む)
・セラピー用品やストレスや疲労感軽減サプリ
関連情報
・サンプルあり
- 13:30~13:55
- アグリ・バイオ
4)高速化学合成した糖によるバイオものづくり
発表資料大阪大学 大学院基礎工学研究科 附属太陽エネルギー化学研究センター 教授 中西 周次
新技術の概要
ホルムアルデヒドを原料に糖を合成する新規触媒反応プロセス、ならびに触媒化学的に合成した糖を利用する有用有機物のバイオ生産プロセス。このプロセスでは、将来的に、CO2とH2Oを原料として糖が化学合成されるため、従来型バイオリファイナリ技術が抱える諸課題の大幅な緩和が期待される。
従来技術・競合技術との比較
現状、バイオリファイナリ技術で利用される糖は植物栽培(農業)に依存している。この従来技術に比べて、カーボンフットプリントが小さく、高速であり、生産場所を選ばないなどの特徴が備わる。
新技術の特徴
・糖の高速化学合成
・化学合成糖によるバイオものづくり
想定される用途
・化学合成糖によるバイオものづくり
関連情報
・サンプルあり
- 14:00~14:25
- エネルギー
大阪大学 産業科学研究所 産業科学ナノテクノロジーセンター 教授 家 裕隆
新技術の概要
軽量、フレキシブルな有機太陽電池は次世代エネルギー源として期待されている。本発表では、農業におけるハウス栽培とエネルギー創生の完全両立を目的として、『青色と赤色光を農業、光合成への寄与が少ない緑色光を発電』に用いる緑色波長選択型の有機太陽電池(OPV)を紹介する。波長選択型OPVは農業用ハウスに直接搭載することができ、農作物生育を阻害することなく、農地を有効利用して発電することを特徴とする。
従来技術・競合技術との比較
発電と農業の両立に向けた技術として、シリコン太陽電池を用いたソーラーシェアリングが挙げられる。しかし、シリコン太陽電池の発電効率は高いが、重さ、柔軟性の点から農業用ハウスへの搭載には不適であることから、設置するための別の土地が必要となる、また、太陽光エネルギーの波長選択的な利用に限界がある。
新技術の特徴
・農業用途のカラーフィルム
・LED光源など波長選択的な光で発電
・近赤外利用で透明性を付与した発電システム
想定される用途
・農業用ハウス
・生体デバイス
・シースルーデバイス
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
科学技術振興機構 未来創造研究開発推進部
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