横浜国立大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2023年06月06日(火) 10:30~15:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、横浜国立大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:30~10:55
- 計測
横浜国立大学 大学院工学研究院 知的構造の創生部門 教授 片山 郁文
新技術の概要
テラヘルツ領域の電磁波やサブピコ秒で変化する超高速の現象をオシロスコープのように可視化することができます。テラヘルツ領域は、次世代の超高速無線通信や、イメージング、分光応用に期待される周波数領域であり、その波形をリアルタイムで検出することができる本手法は、その研究開発の基盤となる技術です。
従来技術・競合技術との比較
従来のテラヘルツ波形計測技術は、同じ条件下で遅延時間を変えながら繰り返し計測を行うことで波形を得る、サンプリング方式の手法が一般的でした。本技術では、リアルタイムの波形検出が可能となり、従来は難しかった、テラヘルツ波形のゆらぎの検出や波形計測の高速化などが可能となります。
新技術の特徴
・リアルタイムにテラヘルツ波の波形を計測できる
・レーザーパルスの繰り返し周波数で高速に測定を行うことができる
・レーザーのパルス幅で決まる帯域で波形検出が可能である
想定される用途
・超高速光変調・テラヘルツ変調のリアルタイム計測
・パルスごとのテラヘルツ波形計測による精密距離計測・分光モニタリング
・テラヘルツ光や超高速応答を用いたイメージングの高速化
関連情報
・デモあり
- 11:00~11:25
- 通信
横浜国立大学 大学院工学研究院 知的構造の創生部門 教授 落合 秀樹
新技術の概要
無線通信伝搬路の特性に基づき誤り訂正符号化を行うことで、暗号化に必要となる秘密鍵を事前に送付することなく無線通信の秘匿性を実現できる新しい物理層セキュリティ技術である。具体的には、正規受信者の通信路状態にあわせてポーラ符号の凍結ビットを最適化することで、盗聴者の受信誤り率を相対的に劣化させることができ、これにより正規受信者以外による情報の正確な復号を困難とする。
従来技術・競合技術との比較
従来技術の無線通信で秘匿性を保つためには、送受信機間で共通鍵を事前に共有しておくか、計算量の大きい公開鍵暗号を用いる必要がある。一方、物理層セキュリティ技術は、物理層のランダム性に着目してこのような事前の鍵共有を不要とするものである。従来の物理層セキュリティ技術では、物理層における送受信端末の通信路の可逆性が成り立つ環境か、もしくは正規受信者の通信路状況が盗聴者よりも良好である必要がある。本発明は、これらの前提を必要とすることなく、正規送受信者間で秘匿性の高い通信を実現する手法である。
新技術の特徴
・無線通信路において秘匿性を担保
・事前の鍵共有が不要
想定される用途
・無線通信路等における秘匿性の高い通信
- 13:30~13:55
- エネルギー
横浜国立大学 大学院工学研究院 機能の創生部門 准教授 上野 和英
新技術の概要
マイナスイオンが高分子鎖上に固定化されたポリアニオンのアルカリ金属塩を支持塩とした有機電解液は比較的高いイオン伝導性とカチオン輸率を示すとともに、アルカリ金属負極上で安定な被膜を形成し、電解液成分の分解を抑制できることを見出した。また、アルカリ金属負極電池のサイクル安定性の向上を確認した。
従来技術・競合技術との比較
Na金属電極上に高分子保護膜を形成し、電解液の分解を抑制することで、優れたNa金属の溶解・析出特性を示す。従来の有機電解液に比べて高いカチオン輸率を示すため、より高いレート性能を示す蓄電池が得られる。また高電圧耐性の高いカーボネート系溶媒を用いることが可能なため、Na金属電池の高電圧化も可能になる。
新技術の特徴
・Na金属電極上に高分子保護膜を形成し、電解液の分解を抑制する
・高いイオン伝導性とカチオン輸率を両立する
想定される用途
・蓄電池の電解質材料
・蓄電池の電解液添加剤
・電極の被覆材料
関連情報
・サンプルあり
- 14:00~14:25
- 環境
横浜国立大学 大学院工学研究院 機能の創生部門 教授 本倉 健
新技術の概要
太陽光パネルからの廃棄シリコンを還元剤として、CO2の還元反応を行い、ギ酸やメタノールへと変換する。フッ化物塩をこの反応の触媒として用いる。排気ガス中のCO2量の削減や、廃棄太陽光パネルの有価値リサイクルに貢献する。
従来技術・競合技術との比較
シリコンを還元剤とするCO2還元反応の報告例は少なく、既存の報告はいずれも独自に調製したシリコンナノ粒子と大量のフッ化水素が必要である。本研究では触媒量のフッ化物塩を用いて、廃棄パネル由来のシリコンが使用可能である。加えて、太陽光パネルからのガラス・アルミ等のリサイクルは実施されているが、シリコンに関しては未だ検討されていない。
新技術の特徴
・ガス中のCO2削減が可能
・太陽光パネル由来のシリコンが使用可能
・CO2をギ酸等へ温和な条件で変換
想定される用途
・製造業、鉄鋼業、発電所等からのCO2排出量削減
・太陽光パネルの有価値リサイクル
・CO2由来ギ酸・メタノールの生産
- 14:30~14:55
- 製造技術
横浜国立大学 大学院工学研究院 システムの創生部門 准教授 大野 直子
新技術の概要
液体金属を冷却材に使用するための配管構造材として、高温で保護性アルミナ被膜を形成するFeCrAl合金を既存のオーステナイト系ステンレス鋼に接合するクラッド技術を開発した。これにより、500℃以上でオーステナイト鋼の高温強度とFeCrAl合金の耐腐食・耐酸化性を同時に得ることができる。
従来技術・競合技術との比較
FeCrAl合金は高温で耐酸化性をもつが、フェライト系なのでそのままでは強度が保てない。高温強度を得る方法には析出強化や分散強化技術があるが、コストの観点から大量生産が難しい。本技術はFeCrAl合金をオーステナイト鋼のクラッドの合わせ材にすることで、高温強度と耐腐食・耐酸化性の両方を担保する。
新技術の特徴
・真空中での仮接合→熱間圧延という2段工程によって、酸化被膜が接合の妨げとなる難接合材料でも強固なクラッドが得られる
・酸化・腐食が問題となる環境側に予備酸化処理したFeCrAl合金を対面させて、壁面や配管の減肉を防ぐ
・FeCrAl合金が使われる高温の環境で、安価にオーステナイト鋼レベルの強度を保てる
想定される用途
・液体金属冷却高速炉および核融合炉の、液体金属に触れる部分の構造材
・900℃以上の水蒸気酸化環境に晒される壁面・配管構造材
・その他、α-アルミナ(Al2O3)が必要とされる高温酸化・腐食環境での壁面構造材
関連情報
・サンプルあり
- 15:00~15:25
- デバイス・装置
横浜国立大学 大学院工学研究院 システムの創生部門 准教授 大竹 充
新技術の概要
微弱な振動などのエネルギーを活用する環境適合型の発電技術(環境発電、エネルギー・バーべスト)は、IoTで必要となる無線通信機能を備えたセンサの自立型電源への応用に向けて注目されている。本発明技術は、電磁誘導現象を利用した新たな振動発電の方式とそのデバイス構造・材料に関するものである。
従来技術・競合技術との比較
振動発電には、電磁誘導式に加え、圧電式や静電誘導式があるが、電磁誘導式は内部抵抗が小さく、高出力化が可能で、また、耐久性が高く、動作可能温度域が広いという特徴がある。そして、電磁誘導方式の中でも、永久磁石搖動式や磁歪式があるが、本発明方式は、更なる高出力化を実現でき、加えて、使用できる磁性材料の選択幅も広く、また、低コスト化も図れるといった特徴がある。
新技術の特徴
・従来の電磁誘導方式より5倍程度以上の高出力化が可能
・高透磁率材料を使用するため、材料選択の幅が広い
・多結晶や非晶質材料を用いるため、低コスト化が図れる
想定される用途
・振動/衝撃による発電装置
・ワイヤレスIoTデバイスの自立型電源
・振動/衝撃のセンサ
関連情報
・デモあり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
横浜国立大学 研究推進機構産学官連携推進部門
TEL:045-339-4450
Mail: sangaku-cd ynu.ac.jp
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