千葉大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2024年09月26日(木) 10:00~14:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、千葉大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 材料
1)使用後に肥料に分解できるプラスチックと可塑剤
千葉大学 大学院工学研究院 総合工学講座 准教授 青木 大輔
新技術の概要
生分解性を有する糖由来ジオールであるイソソルビド(ISB)からなるポリカーボネート(PIC)はアンモニア水で処理するとISBと尿素に分解でき、使用後に肥料として利用できる。本技術ではPICの材料としての利用を目的とし、PIC同様にアンモニア水で分解可能であり、その分解生成物が肥料として利用可能な可塑剤についてその効果やアプリケーションについて紹介する。
従来技術・競合技術との比較
使用後にアンモニア水で分解して、分解生成物をそのまま肥料として利用できる技術は他にはなく、新しい循環型高分子材料として期待できる。
新技術の特徴
・物性のチューニングが有用物へ分解可能な可塑剤の添加量で調整できる
・分解生成物が肥料
・既存のプラスチックに対しても可塑剤効果が期待できる
想定される用途
・従来のプラスチック材料の代替
・農業用フィルム
関連情報
サンプルあり
- 10:30~10:55
- 医療・福祉
2)肌カラー画像からの色素成分分離技術とその応用
千葉大学 大学院情報学研究院 総合情報学講座 准教授 津村 徳道
新技術の概要
カラー画像から、メラニン・ヘモグロビン・陰影分布を分離する色素成分分離技術は、顔動画像に適用することで、わずかなヘモグロビンの変化を計測し、ヘモグロビンの変化から心電図に相関の高い顔面脈波を計測することをこれまで実現してきている。今回は、色素成分分離技術をビデオに適用するのでなく、iPhoneで計測された3次元形状(3次元点群)や様々なカラー画像に応用するものである。これにより陰影を除去した計測(点群の正確な色)が実現され、肌に関しては3次元形状などにおける色情報を正確に計測できることとなった。
従来技術・競合技術との比較
血行の計測は、従来はレーザースペックル血流分布計測システムなどが用いられたが、価格的にどうしても高価になる問題があった。しかし、本技術は簡易なiPhoneなどのRGBカメラ(カラーカメラ)を用いることで実現できるため安価である。また、連続的に計測できる場合は血流の分布の変化(パルス)も計測することで血液の量だけでなく血液の流れ具合も計測することができる。
新技術の特徴
・iPhoneで計測された3次元形状(3次元点群)での色素成分分析
・照明の変化の影響を受けない血液分布の計測
想定される用途
・糖尿病の足の血行計測による疾患早期発見
・体の様々な部位の血行のモニタリングによる疾病の早期発見
・体の様々な部位の血流パルスのモニタリングによる疾病の早期発見
- 11:00~11:25
- 製造技術
3)重ねて一体化できる持ち運びに適したダンボール製容器
千葉大学 デザイン・リサーチ・インスティテュート 准教授 田内 隆利
新技術の概要
新技術は、同じ展開図を折るだけで製作可能な、複数個重ねて片手で持ち運べるダンボール製容器である。重ねて一体化でき、持ち手がついているため、この容器の上からさらにレジ袋等を使用する必要がなく効率的で、省資源である。ピザや寿司、弁当などできるだけ水平に持ち運びたい内容物の容器に適している。
従来技術・競合技術との比較
既存のダンボール製ピザ容器は、複数重ねることは可能だが、一体化できない。また、持ち手がついていない。この2点によりポリ袋に入れて持ち運ぶ必要があるが、傾けずに運ぶことが困難であるとともに、持ち運ぶためのポリ袋が必要になる。また、従来の持ち手がついた紙製容器は、一体化して複数重ねることが困難である。
新技術の特徴
・省資源
・持ち運びやすさ
・箱を閉じた状態で持ち手を平らにできる
想定される用途
・食品(ピザ、寿司、弁当など水平を保ちつつ運びたいもの)
・キット用包装(おままごとセットなどの小型玩具やミールキットなど、要素を分けて包装したいもの)
関連情報
サンプルあり
デモあり
展示品あり
- 13:00~13:25
- 建築・土木
4)深層学習と進化的アルゴリズムで◯◯っぽいデザインを作る
千葉大学 大学院工学研究院 総合工学講座 助教 加戸 啓太
新技術の概要
形状生成アルゴリズムを用い建築やインテリアなどのデザインを行う際に、人工知能(深層学習)による評価を行うことでパラメーターの探索を行う技術。強度が強い、省エネルギーといった従来の軸に加え、「木漏れ日っぽい」といった定性的な評価軸を含めて最適化を行うことができる。
従来技術・競合技術との比較
これまでの進化的アルゴリズムなどを用いた最適化では、計算可能な強度やコストなどの評価のみが扱われていたが、この技術により「〇〇っぽい」といった意匠などに関する抽象的な評価も適用できるようになる。形状生成アルゴリズムによりデザインに要求される機構的制約を担保できる点も特長としてあげられる。
新技術の特徴
・深層学習の適用によりルールでは表現しにくい定性的な評価を含めた最適化が行える
・デザインの生成そのものは形状生成アルゴリズムで行うため、機構的な制約の担保がしやすく、これまでのノウハウも援用できる
想定される用途
・建築物の内装やインテリアなどのデザイン
- 13:30~13:55
- 材料
5)イオン液体-ワンポット合成法で創るナノ粒子担持炭素材料
千葉大学 大学院工学研究院 総合工学講座 教授 津田 哲哉
新技術の概要
イオン液体は高い熱安定性、難揮発性およびナノ粒子の凝集を抑制する性質を有し、ナノ粒子調製の反応媒体として有用です。イオン液体に炭素担体と金属塩を添加して撹拌するだけで、多種多様な金属ナノ粒子を炭素担体の種類を問わず、その表面に担持することができます。プロセスが簡便ですので、工業スケールにも対応できます。
従来技術・競合技術との比較
イオン液体をナノ粒子調製用の反応媒体とした研究は既に存在しますが、そのナノ粒子を担体に担持するには、担体を加えた後、加熱撹拌する必要があります。本技術は簡単にナノ粒子の生成と担持を一度に行うことのできるワンポット合成法です。
新技術の特徴
・炭素材料の種類を問わず、ナノ粒子が担持できます
・プロセスが簡便であり、工業スケールにも対応できます
・イオン液体の種類によっては、材料に新たな機能性を付与できます
想定される用途
・燃料電池用電極触媒
・水電解用電極触媒
関連情報
展示品あり
- 14:00~14:25
- 計測
6)使いやすさの科学-ユーザビリティを高めたメジャーテープを例に-
千葉大学 デザイン・リサーチ・インスティテュート 教授 下村 義弘
新技術の概要
人間工学は、ユーザが所定の目的を達成できるように、人間と環境ー物ー運用からなるシステムを最適設計する。人間工学を用いて、円錐台のような物体の周囲長をマニュアルで測ることができるメジャーテープを開発した。
従来技術・競合技術との比較
従来のメジャーテープは、伸縮しない単一の素材で作られている。そのため、円錐台のような物体の周囲長を測るときは、メジャーを巻き付けるとその縁の一方が対象物体に接触して、もう一方は浮き上がり、測ることができない。
新技術の特徴
・テープの本体をなす薄い透明の柔軟素材の中央に、伸縮しない細いワイヤーが内蔵されている。
・周囲長を計測するときは、計測対象部にワイヤーを巻き付ける。柔軟素材は滑りにくい素材でできており、円錐台の側面に密着してワイヤーを固定する。
・一周したワイヤーの長さを目盛りから読み取る。
想定される用途
・足の浮腫の測定
・乳幼児の頭囲の測定
・直径が一定ではない円柱状物体の周囲長の汎用的な測定
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
千葉大学 研究推進部産学連携課
TEL:043-290-3048
Mail:ccrcufaculty.chiba-u.jp
URL:https://imo.chiba-u.jp/index.html
新技術説明会について
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TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp