JST戦略的創造研究推進事業 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2024年12月06日(金) 13:25~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:25~13:30
開会挨拶
科学技術振興機構 戦略研究推進部 調査役 内田 信裕
- 13:30~13:55
- 材料
1)ありふれた酸化物を原子数個厚みのナノシートコロイドにする新技術
名古屋大学 未来材料システム研究所 材料創製部門 助教 山本 瑛祐
新技術の概要
現在、多くの産業で使われている、セリアやジルコニア、シリカなどを含む多様な酸化物やオキシ水酸化物を原子数個分厚み(1nm程度)のナノシートにする新しい技術を開発しました。本手法では、市販のありふれた界面活性剤であっても、あえて溶かさずに固体のまま鋳型にすることで、これまでに得られなかった多様なナノシートの合成をすることが可能になります。非常に高品質なコロイドとして得られるために、二次元集積による超薄膜や自立膜などの構築も可能です。
従来技術・競合技術との比較
多くの極薄膜は通常気相法にて合成がされますが、基板の種類や結晶性などに大きな制約があります。また、層状物質からの剥離でもナノシートは合成されてきましたが、安定な結晶として得られる層状化合物が存在する組成の物質に限られます。本手法では、基板の制約や層状化合物の制限にとらわれず、多様な酸化物のコロイドナノシートを得ることができます。
新技術の特徴
・液相法で1nmの酸化物を構築可能
・アモルファスや単結晶などの制御も可能
・高分子フィルムなどの耐熱性の低い機材も適応可能
想定される用途
・ポリマーフィルムなどへの超薄膜塗布
・比表面積を極限まで増加させた触媒
・凹凸表面への極薄膜コーティング
関連情報
・サンプルあり
- 14:00~14:25
- 材料
2)自己修復とケミカルリサイクルがともに可能な光学樹脂の開発
九州工業大学 大学院工学研究院 物質工学研究系 准教授 吉田 嘉晃
新技術の概要
本発明は、室温で硬化可能な樹脂組成物であり、自己修復性だけでなく、解重合によってケミカルリサイクルも可能な材料です。その樹脂組成物から成形されたフィルムは、高い屈折率と透明性を有し、柔軟性にも優れます。また、破損した場合は破損部の自己修復が可能で、性能が劣化した場合に再生することができます。
従来技術・競合技術との比較
これまで、傷や破断を自身で修復可能な自己修復性材料は数多く開発されています。また、ある環境下で容易に分解し、再生可能なプラスチック材料やリサイクル技術も報告されています。一方、リサイクルが容易な自己修復性材料の報告例はあまり多くありません。本発明は従来材料よりもリユースおよびリサイクルが容易な機能性材料として優れています。
新技術の特徴
・多少の傷や割れは自己修復される
・激しく損傷あるいは性能が劣化した場合はリサイクルできる
・高い屈折率や透明性などの優れた光学物性を示す
想定される用途
・メガネやカメラ等のレンズ材料
・液晶保護シート等のフィルム材料
・ガラス用の粘着剤
関連情報
・展示品あり
- 14:30~14:55
- エネルギー
3)新材料「熱電永久磁石」に基づく次世代発電・冷却技術
物質・材料研究機構 磁性・スピントロニクス材料研究センター スピンエネルギーグループ
上席グループリーダー 内田 健一
新技術の概要
永久磁石でありながら、熱から発電したり、電流を流すことで冷却したりできる新しい機能性材料「熱電永久磁石」を開発した。本技術は、磁石という身近な材料で環境発電や熱マネジメントを行う新たな手段を提供するものである。
従来技術・競合技術との比較
試作品の段階で、熱電永久磁石の熱電変換性能は市販品の熱電モジュール(ペルチェ素子)に匹敵する水準に達している。加えて、永久磁石として磁性体に吸着する機能や堅牢な素子構造を有しており、放熱機構を素子内に組み込みエネルギーハーベスティング性能を高めることもできる。
新技術の特徴
・強い磁力と高い熱電変換性能の両立:永久磁石が使用されている至る所に電子冷却・熱発電機能を付与
・シンプルな素子構造:従来の熱電モジュールよりもはるかに高い堅牢性
・放熱機構を組み込んだ新構造
想定される用途
・IoT機器のオフグリッド電源
・小型温度制御デバイス
・既存の熱電モジュール、永久磁石の代替
関連情報
・展示品あり
- 15:00~15:25
- エネルギー
4)CO2をメタンへ還元する分子性触媒と電極化技術の開発
京都大学 化学研究所 教授 大木 靖弘
新技術の概要
発表者独自の金属-硫黄錯体(分子)が、分子触媒としては世界最高の活性でCO2をメタンへ直接還元できることを見出した(論文未発表)。電子源として還元剤を用いて検討してきた本反応を電解反応へと展開すれば、再生可能エネルギー等に由来する電気エネルギー(電力)を化学エネルギー(化学結合)の形で長期間保存しつつ、社会的要請度の高いCO2削減と燃料再生を両立する手段を提供できる。そこで、電極表面で錯体を重合させ、電極触媒化した。
従来技術・競合技術との比較
(1) 銅ナノ粒子を担持した電極が、関連技術の中で最も高効率で注目を集めている。ただし強塩基条件が必要なため、反応装置等が劣化しやすい問題があり、またこの点は学術論文ではほとんど論じられない。
(2) SOECメタネーション技術やCO2の直接水素化は、高温高圧で実施するため、大型設備を必要とする。主なH2供給源は化石燃料であり、実質的なCO2削減に繋がり難い。電解H2とCO2の反応よりは本技術の方が直裁的である。
新技術の特徴
・分子触媒(溶液中で用いる触媒)の性質を反映した電極触媒を開発できる
・CO2還元はじめ様々な還元反応用の触媒材料を開発する方法論になる
・目的反応の開発に向けた最適化(チューニング)が可能になる。反応点として用いる金属元素を任意に選択できる。
想定される用途
・再エネ等の小規模エネルギー貯蔵技術
・小規模で初期投資が少なく常温で実施できるメタネーション代替ー補完
・公知の銅触媒技術を回避するCO2還元技術
- 15:30~15:55
- 機械
5)瞬発的な動作を実現する燃焼駆動型人工筋肉アクチュエータ
中央大学 理工学部 精密機械工学科 准教授 奥井 学
新技術の概要
人と機械の安全な協働に向けてソフトロボット技術が注目されていますが、柔らかいがゆえに応答速度に課題があり、人の動作を代替するには至っていません。我々はジメチルエーテル(DME)の燃焼を利用して、ヒトと同等の応答速度を持つソフトアクチュエータ、【燃焼駆動型人工筋肉アクチュエータ】を開発しました。流体駆動アクチュエータの内部でDMEを燃焼し、急激に圧力を上昇させることで従来の流体駆動アクチュエータの短所であった応答性を改善し、瞬発的な動作を可能にします。さらに流体圧駆動アクチュエータという観点では、コンプレッサーを必要としないため携帯性の改善が期待できます。
従来技術・競合技術との比較
燃焼により化学エネルギを運動エネルギに変換する発想はエンジンを代表例として多く存在しますが、汎用的に利用できるソフトアクチュエータ駆動への応用技術は特許出願時の国内外の技術調査において例がありませんでした。基本的な駆動原理に関する特許に加えて、社会実装に不可欠な燃焼駆動型人工筋肉の安定的な繰り返し駆動技術についても特許出願をしています。
新技術の特徴
・軽量かつ柔軟でありながら、瞬発的な動作が可能
・コンプレッサなどの圧力源不要で駆動可能
・燃焼に加えて従来同様の圧縮空気の供給でも駆動でき、2つの駆動方法を併用可能
想定される用途
・瞬発的な動作が必要な作業の代替.たとえばインフラの打音診断など
・跳躍や投擲といった瞬発的動作を行うロボットや装着型アシスト装置
・VRやAR技術における瞬発的力覚の提示
関連情報
・デモあり
・展示品あり
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