環境・エネルギー&ライフサイエンス~南日本ネットワーク~ 新技術説明会【対面開催】
日時:2024年12月03日(火) 09:55~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構 、
琉球大学、鹿児島大学、宮崎大学、大分大学、
佐賀大学、北九州市立大学、山口大学
<お申込み方法・聴講方法>
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・本説明会は、【対面開催参加】、【見逃し配信視聴】(開催日の翌日より2週間)
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発表内容一覧
- 1方向画像からの血管内治療デバイス形状の3次元再構築
- 肝病理組織画像から脂肪滴分布を捉える検出法の開発
- 接着・増殖に最適なコラーゲンでの新細胞カプセル技術
- 廃棄建材表面の石綿の可視化による迅速検出・画像解析法の開発と現場実証
- 難溶性塩の水溶性化処理による農業への養分循環効率向上
- 希薄なアルコール水溶液からアルコールを選択的に吸着・濃縮できる吸着剤
- マドラー型飲み物の栄養成分チェッカー
- カスタマイズ型連結ノズルを用いたファインバブル発生器
- ミストを用いた高効率冷却~濡らさず蒸発潜熱を利用~
- 細菌、ウイルス、リン酸を吸着する火山灰土壌を用いた環境浄化への応用
- 温故知新~超分子と汎用性高分子が織りなす未来
発表内容詳細
開会挨拶
山口大学 大学研究推進機構 機構長 上西 研
- 10:00~10:25
- 医療・福祉
1)1方向画像からの血管内治療デバイス形状の3次元再構築
山口大学 大学院創成科学研究科(工学系学域) 機械工学系 教授 森 浩二
新技術の概要
本技術は、1方向の画像から、血管内に挿入されたワイヤー状デバイスの3次元形状を再構築するものである。1方向から撮影された画像には、奥行方向の情報が欠落しているので、それを物理的な条件である変形エネルギーの最小化を利用して、最も確からしい形状を推測する。
従来技術・競合技術との比較
同様のコンセプトの技術が過去に3件報告されており、ハウスドルフ距離と呼ばれる指標をつかって、デバイスの実際の3次元形状と推測された形状との誤差を調べている。先行研究でのハウスドルフ距離は1.1-5.5 mm程度と報告されているのに対して、本技術のそれは0.3 mm程度であった。
新技術の特徴
・シンプルな理論だけで構成されている
・1枚の画像だけで良い
・形状推定精度が高い
想定される用途
・血管内治療デバイスのナビゲーション向け
・ワイヤー状の物体の3次元形状推定
・特徴点がはっきりしない物体の3次元位置の推定
- 10:30~10:55
- 医療・福祉
2)肝病理組織画像から脂肪滴分布を捉える検出法の開発
大分大学 医学部 臨床医工学センター 客員研究員 原田 義富
新技術の概要
脂肪滴検出のために、強化学習を用いて脂肪滴の大きさとコントラストに応じた複数のフィルタからなる組み合わせを最適化することで、脂肪滴を大きさごとに階層化して取り出す。強化学習にはQ学習を、報酬には脂肪滴同士の重なりを用いた。
従来技術・競合技術との比較
従来研究の多くでは正確な脂肪滴の検出を目標としているが、脂肪滴の多様な大きさや形状に対応する安定した画像処理手法の確立は困難である。また、希少疾患が対象では症例を集めにくい。そこで本研究では、少数の画像と少ない学習量を用いた強化学習から脂肪滴を例に検出する。
新技術の特徴
・少数の画像と少量の学習量で脂肪滴を抽出する
・脂肪滴サイズに応じた階層化による定量的評価
・脂肪滴の組織内での分布(位置)を捉えた定性的評価
想定される用途
・病理学的診断の支援
・脂肪滴やその他の脂質異常症の研究
・薬剤効果の評価
関連情報
・サンプルあり
- 11:00~11:25
- 医療・福祉
3)接着・増殖に最適なコラーゲンでの新細胞カプセル技術
佐賀大学 理工学部 理工学科 化学部門 准教授 成田 貴行
新技術の概要
コラーゲンを細胞足場に利用した細胞カプセルは、細胞デリバリーシステムの担体として細胞生存と機能維持の点で最適です。しかし、従来の細胞封入法では細胞に強いストレスを与える課題がありました。細胞にストレスを与えずにコラーゲンゲルの内腔に簡便に細胞を播種・カプセル化する手段を開発しました。
従来技術・競合技術との比較
この技術は、純粋なコラーゲンのみを使用し、有害な架橋剤を必要としません。空孔構造により細胞の足場と栄養供給を確保し、細胞生存率を向上させます。また、簡便な製造方法で、カプセルの物理的特性を細かく制御できる点が、従来の細胞カプセル化技術と比べて優れています。
新技術の特徴
・純粋なコラーゲンのみを使用し、空孔構造を持つ細胞包埋用担体を作製できる
・細胞足場となるコラーゲンゲルカプセルの物理的特性(空孔サイズ、硬さなど)を細かく制御できる
・細胞に優しい環境で簡便にカプセル化でき、長期間の細胞生存と機能維持が可能である
想定される用途
・再生医療:損傷した組織や臓器の修復に使用できます。例えば、軟骨細胞をカプセル化して関節炎治療に応用したり、神経細胞をカプセル化して脊髄損傷の治療に利用したりすることが考えられます。
・ドラッグデリバリーシステム(人工臓器としての利用):薬物産生細胞をカプセル化することで、長期間にわたって安定的に薬物を放出するシステムを構築できます。例えば、インスリン産生細胞をカプセル化して糖尿病治療に応用することが可能です。
・毒性試験・薬効評価:肝細胞などをカプセル化して、新薬の毒性試験や薬効評価に使用できます。従来の2D培養と比べて、より生体内に近い環境で細胞の反応を観察することができ、より正確な評価が可能になります。
関連情報
・サンプルあり
- 11:30~11:55
- 環境
4)廃棄建材表面の石綿の可視化による迅速検出・画像解析法の開発と現場実証
佐賀大学 理工学部 理工学科 特任教授 田端 正明
新技術の概要
廃棄建材を粉砕せずに表面を色素染色して石綿を直接検出する方法を確立した。本法を災害時や家屋解体現場で廃棄建材に適用することで、石綿建材の迅速な識別と処理ができるようにする。これによって、作業従事者の石綿による健康被害を防ぎ、さらに廃棄物処理と廃棄建材のリサイクルを促進する。
従来技術・競合技術との比較
石綿の公定分析法は分析費用が高く(8万円/検体)、日数もかかるので、災害地や解体現場ではほとんど使われていない。
我々の方法では、色素染色によって石綿を検出できるので、建材を破砕せずに、迅速・簡単に現場で石綿の検出が可能である。
新技術の特徴
・建材表面を直接色素で染色し、顕微カメラや実体顕微鏡で建材を観察する
・公定法の位相差顕微鏡法よりも高感度に石綿画像を直接観察できる
・市販の色素を使うので材料代は安く、観察はUSB顕微鏡(約5万円)で可能である
想定される用途
・災害地や解体現場での廃棄建材中の石綿検出
・解体前の家屋の建材中の石綿の検出
・石綿建材の分別の徹底化による健康不安解消と石綿未含有建材のリサイクル
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
- 12:30~12:55
- 環境
5)難溶性塩の水溶性化処理による農業への養分循環効率向上
佐賀大学 総合分析実験センター 准教授 兒玉 宏樹
新技術の概要
本水処理装置は難溶性塩の構成イオン対のいずれかをイオン交換することにより、難溶性塩イオン対の片方を含む水溶性塩溶液ともう片方のイオン型のイオン交換体を生成し、引き続きイオン交換体に保持されたもう片方のイオンを水溶性塩として溶出回収する処理装置である。
従来技術・競合技術との比較
従来の難溶性塩の水溶性化は薬剤での添加処理工程を含み、不要な副産物が混入することが多いが、本技術では純粋な水溶性塩として回収が可能である。また、有用な成分の組み合わせで不溶化した塩の場合でも、有用な成分の両方を水溶性塩として回収可能である。
新技術の特徴
・産業廃棄物削減
・難溶性塩の水溶性化
・養分吸収効率の増大
想定される用途
・廃棄物処理
・農業資材開発
・材料改質処理
関連情報
・サンプルあり
- 13:00~13:25
- 材料
6)希薄なアルコール水溶液からアルコールを選択的に吸着・濃縮できる吸着剤
北九州市立大学 国際環境工学部 環境化学工学科 教授 山本 勝俊
新技術の概要
アルコールのような両親媒性低分子化合物を選択的に層間吸着する層状アルミノシリケート材料の開発に成功した。この材料は5%程度の希薄なエタノール水溶液からでもエタノールを選択的に吸着することができ、例えばバイオエタノールの濃縮や醸造酒の低アルコール化などの応用例が想定される。
従来技術・競合技術との比較
この吸着剤を使ったバイオエタノール濃縮プロセスは蒸留や分離膜による濃縮に比較して設備コストや運転コストを低く抑えることができ、少量の濃縮にも適用できる。さらにこの吸着剤は既存の蒸留酒を風味を損なうことなく低アルコール化することができる。
新技術の特徴
・希薄な水溶液中のエタノールを選択的に吸着できる
・吸着したエタノールは大気中に放置するだけで脱離する
想定される用途
・バイオエタノールの低コスト濃縮
・醸造酒の低アルコール化
・排水中のアルコール類除去
関連情報
・展示品あり
- 13:30~13:55
- 環境
7)マドラー型飲み物の栄養成分チェッカー
鹿児島大学 大学院理工学研究科(工学系) 化学生命工学プログラム 助教 満塩 勝
新技術の概要
本発明では、LEDとフォトダイオードと簡単な回路を組み合わせ、特定の成分を迅速に測定できる光学センサーシステムの開発に関わるものです。棒状のセンサーで液体試料の測定を得意としており、これまでの研究でお茶やコーヒーに含まれるくらいの濃度のカフェインやポリフェノールの検出に成功しています。
従来技術・競合技術との比較
競合技術として、近赤外の吸収スペクトルからカロリーや脂質、タンパク質、水分などを算出できる装置がある。本センサーはある程度栄養成分を絞って計測でき、また装置の構成が単純で少ない部品点数で構築できる点が特徴である。また、センサー部分のみを用途に合わせて交換することで複数成分の簡便な分析も可能である。
新技術の特徴
・棒状のセンサーを飲料や汁物などに挿入するだけで栄養素を測定できる
・システムを小型化、アッセンブリー化することで、持ち運びと測定が容易となる
・センサー部分の石英棒の形や大きさを変えることでセンサーの応答特性を変えたり、企業ロゴを入れることもできる
想定される用途
・手軽に栄養成分を測ることによる健康管理やダイエットのサポート
・河川や海洋などの環境の監視
・医療診断
関連情報
・展示品あり
- 14:00~14:25
- アグリ・バイオ
8)カスタマイズ型連結ノズルを用いたファインバブル発生器
鹿児島大学 大学院理工学研究科(工学系) 化学工学プログラム 准教授 五島 崇
新技術の概要
外気導入部が設置された絞り部を持つ第一ノズル、第一絞り部より大きな断面積の第二絞り部を持つ第二ノズル、第一絞り部と第二絞り部の間の中間部、から構成される管状部材であり、当該管状部材に気液混合流体を通過させることでファインバブルを発生させる気泡発生装置である。
従来技術・競合技術との比較
従来技術として代表的なファインバブル発生器は、加圧溶解式やエジェクター式が挙げられる。低圧操作の下で、前者は気泡密度を容易に高めるが気体溶存濃度の増加は難しく、後者はその逆である現状に対して、本技術は気泡密度と溶存気体濃度の増加と制御を可能とする気泡発生装置である。
新技術の特徴
・低圧操作の下で、ガス流量、液流量や連結ノズルの組み合わせにより、目的に応じた溶存気体濃度と気泡密度へ幅広く調整できる
・装置構造や操作方法がシンプルなため、高いスケールアップ適性が見込まれる
・流路が閉塞しにくく、懸濁物の解砕能も併せ持っている
想定される用途
・海洋生物や淡水植物の育成(陸上養殖、水耕栽培など)
・化合物合成(触媒反応の促進など)
・懸濁物の分離回収(凝集剤の分散・吸着の促進など)
- 14:30~14:55
- エネルギー
9)ミストを用いた高効率冷却~濡らさず蒸発潜熱を利用~
琉球大学 工学部 工学科 エネルギー環境工学コース 教授 瀬名波 出
新技術の概要
空気の流れに水をミストとして噴霧して蒸発させ、空気そのものを冷却することにより空冷の高効率化を図る。冷却対象物に直接ミストが付着しないため、腐食やショートを防ぐことができる。適用範囲が広く、バッテリーや電子機器、サーバールームにも適用可能である。気温・湿度に依存して3 ℃から7 ℃程度冷却できる。
従来技術・競合技術との比較
従来のミストを付加する技術ではミストが冷却対象物に直接接触することで冷却効率の向上を図っていた。この技術は空気の流れの中でミストを蒸発させるため、適用範囲が幅広いという特徴を持つ。また、すでに開発されている空冷技術に付加的に導入できる。ミストが完全蒸発する条件を明らかにすることでこれを可能にした。
新技術の特徴
・空冷技術への付加的導入
・環境温度と低温度差の物体の高効率冷却
・軽量、低コストな冷却
想定される用途
・HEVやEVのバッテリー冷却
・電子機器やサーバールームの冷却
・車載品の冷却
関連情報
・デモあり
・展示品あり
- 15:00~15:25
- 環境
10)細菌、ウイルス、リン酸を吸着する火山灰土壌を用いた環境浄化への応用
宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター 感染症研究検査部門 特別教授 三澤 尚明
新技術の概要
アカホヤは、約7300年前に鬼界カルデラの大噴火に伴って噴出した火山灰で、九州南部において地下の比較的浅い場所に厚さ約1mの層をなしており、酸化アルミニウムと酸化鉄の組成比が高く、土壌の細孔分布が0.1μm以下の特徴を有する自然素材は、安価な微生物吸着剤としての利用価値が高く、従来技術の課題を解決しうる可能性を有している。
従来技術・競合技術との比較
家畜のふん尿処理には費用がかかり、畜産経営の圧迫要因となる。また、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザでは、殺処分を行なった家畜を埋却するが、地下水汚染等の問題が懸念される。さらに、家畜防疫には畜舎周囲に石灰などの薬剤散布が重要となるが、化学薬品による環境負荷とコスト面で課題がある。アカホヤはこれらの課題を解決し得うる技術となりうる。
新技術の特徴
・水系感染、食中毒を起こす病原性細菌やウイルスの吸着・不活化作用
・リン、色素、窒素酸化物の吸着作用
・細孔径分布および比表面積が大きい
想定される用途
・水および空気の浄化技術(細菌の吸着・殺菌作用、リンの吸着)
・畜産環境の浄化システムへの利用
・感染予防(腸管出血性大腸菌や鳥インフルエンザウイルス等の吸着作用)
関連情報
・サンプルあり
- 15:30~15:55
- 材料
11)温故知新~超分子と汎用性高分子が織りなす未来
山口大学 大学院創成科学研究科 物質工学系専攻 講師 山吹 一大
新技術の概要
クラウンエーテルと二級アンモニウム塩からなる包接化合物を汎用性ビニルモノマーと共重合することで柔軟性、自己修復性、耐圧縮性など様々な特性を有する汎用性ビニルポリマーの開発に成功した。一般的な汎用性ビニルポリマーのさらなる機能化を目指した開発戦略であり、電池材料、リサイクル材料、衝撃吸収材などの幅広い応用展開が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
クラウンエーテルと二級アンモニウム塩からなる包接化合物の合成戦略が従来方法と異なり、これにより汎用性ビニルモノマーとの共重合によって得られるポリマーに可逆的な分解-再生能力を付与することが可能となった。(従来の手法で得られるポリマーだと分解されると再び再生することができない。)
新技術の特徴
・様々な汎用性ビニルモノマーを主成分としたポリマー合成
・優れた自己修復性材料
・高い圧縮変形力
想定される用途
・電池材料(ゲル電解質/固体電解質、バインダー)
・衝撃吸収材(タイヤ、人工関節、シューズ、衣類、塗料など)
・リサイクル材料(アクリル樹脂、ABS樹脂、塩ビ樹脂など)
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
琉球大学 総合企画戦略部研究推進課産学連携推進係
TEL:098-895-8670
Mail:sangaku acs.u-ryukyu.ac.jp
URL:https://iicc.skr.u-ryukyu.ac.jp/
鹿児島大学 研究推進部 社会連携課 知的財産係
TEL:099-285-3878
Mail:tizai kuas.kagoshima-u.ac.jp
URL:https://www.krcc.kagoshima-u.ac.jp/
宮崎大学 研究・産学地域連携推進機構 知的財産・研究リスクマネジメント部門
TEL:0985-58-7592
Mail:chizai-s of.miyazaki-u.ac.jp
URL:https://www.miyazaki-u.ac.jp/kscrs/
大分大学 研究推進部産学連携課
TEL:097-554-8517
Mail:chizai oita-u.ac.jp
URL:https://www.oita-u.ac.jp/
佐賀大学 リージョナル・イノベーションセンター
TEL:0952-28-8961
Mail:ura-team mail.admin.saga-u.ac.jp
URL:https://www.suric.saga-u.ac.jp/
北九州市立大学 企画管理課 企画・研究支援係
TEL:093-695-3367
Mail:kikaku kitakyu-u.ac.jp
URL:https://www.kitakyu-u.ac.jp/
山口大学 学術研究部 産学連携課
TEL:0836-85-9961
Mail:yuic yamaguchi-u.ac.jp
URL:https://kenkyu.yamaguchi-u.ac.jp/
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp