情報通信研究機構 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2024年10月24日(木) 10:00~13:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、情報通信研究機構
<お申込み方法・聴講方法>
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発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 情報
1)ノイズを利用した情報処理:超省エネAIを目指して
情報通信研究機構 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター 脳情報工学研究室
主任研究員 細田 一史
新技術の概要
生命はノイズを「ゆらぎ」として活用し、高いエネルギー効率で情報処理を行います。私たちは、情報処理として自己符号化に着目し、ゆらぎを活用する人工ニューラルネットワークのメカニズムを解明しました。この応用により、理想的には従来の1/100~1/100万という超低電力のAI用計算機が誕生する可能性があります。
従来技術・競合技術との比較
現在のAIの膨大な消費電力を抑える計算機の開発は人類喫緊の課題です。世界的に競争が激化していますが、生命のようにノイズを活用して超低電力を実現した例はありません。私達の人工ニューラルネットワークの応用はまだ挑戦的ですが、成功すれば現在のAIを超低消費電力計算機で代替できる大きなインパクトがあります。
新技術の特徴
・ノイズを活用した人工ニューラルネットワークである
・超低電力ハードウェア実装の可能性がある
・AI用の超低消費電力計算機として普及される可能性がある
想定される用途
・画像や音声の認識等いわゆるAIに期待される用途
・監視カメラなど家電やIoT用機器の組み込み計算機として
・シリアル通信などに代わるアナログ情報通信
- 10:30~10:55
- 情報
2)脳波を用いたメンタル状態の推定技術
情報通信研究機構 未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター 脳機能解析研究室
主任研究員 井原 綾
新技術の概要
情報の受け取り方はメンタルの状態によって異なり、普段ならば問題ないと感じる話題も、気が滅入っているときにはストレスと感じることがあります。この技術は、日常的な音声情報に対する脳の反応を解析し、情報に対する負荷の大きさをとらえることで、個人のメンタル状態を推定します。
従来技術・競合技術との比較
人はメンタル状態を正確に自覚できているとは限りません。従来のメンタルヘルスのアプリケーションでは、多くの質問に答える必要がありましたが、それには利用者の自己報告が必要です。脳の反応を用いることにより、客観的な情報に基づいて、自分のメンタルの状態を知ることが可能になります。
新技術の特徴
・音声をただ聞いているときの脳の反応からメンタル状態を評価できる
・情報に対する注意と意味処理を反映する脳活動を利用
・ウェアラブルの脳波計とスマートフォンなどのICTデバイスのみで実現可能
想定される用途
・スマートフォン等で利用するメンタルヘルスのアプリケーション
・個人のメンタルの状態に最適な情報提供サービス
・フェムテック開発、フレイル予防
- 11:00~11:25
- 計測
3)ドンピシャ!狙った場所にピタリと止める ーカメラのパン・チルト操作時によるズレの補償方法ー
情報通信研究機構 ソーシャルイノベーションユニット 総合テストベッド研究開発推進センター 嘱託 山崎 亮三
新技術の概要
一般に低価格なONVIF対応カメラでは、カメラのパンチルトの駆動方法も簡易な機構となることから、カメラを右側からパンした場合と左側からパンした場合で、ONVIFコマンドで同じ絶対値を指定してもカメラの止まる位置が左右にズレが生じてしまうため、カメラ画像を使った事前補正処理により、より正確な位置にカメラを停止させる技術を提供する。
従来技術・競合技術との比較
精密駆動機構をもった高価なカメラなら、絶対値指定により画面上のどんな位置でも画面の中心になるようにカメラが動くが、安価な機構のカメラでは、画面上の位置によって25倍ズーム倍率時でFHD画像の場合、およそ50~250ピクセルずれてしまうが、ソフトウェア事前補正によりいずれの場合も10ピクセル程度に抑えることができる。
新技術の特徴
・簡易な駆動機構のカメラのパン・チルト位置の正確性をソフトウェアで向上
・画像処理による補正技術をパンチルト操作に適用
・高度な監視や正確な監視用途に、安価なカメラの適用を可能とする
想定される用途
・地割れや河川の増水等の災害監視等
・火災や発煙などの地域の見守りや定点観測等
・工場内などの屋内での監視等
関連情報
デモあり
- 11:30~11:55
- デバイス・装置
4)自然光デジタルホログラフィカメラと光学ユニット
情報通信研究機構 電磁波研究所 電磁波先進研究センター デジタル光学基盤研究室
主任研究員 田原 樹
新技術の概要
太陽光等の自然光源やLED等の一般照明光源を用いて単眼フルカラー3次元動画記録する、自然光デジタルホログラフィカメラを紹介します。また、LED等で3次元物体の定量位相動画記録を行う光学ユニットを紹介します。3次元空間に波長、偏光等の多次元情報を同時記録する光学システム構成や、実験結果を紹介します。
従来技術・競合技術との比較
従来に比べ、低ノイズで高速に自然光のフルカラー3次元動画記録可能です。また、片手で運べ、LED光源で、より高速に定量位相動画記録できます。自然光の様々な物理情報を、物理的なフィルタに頼らず、1台のセンサでホログラムとして同時動画センシング可能な光学システム構成です。
新技術の特徴
・自然光照明下のフルカラーホログラフィック3次元動画記録
・LED光源等でホログラフィック定量位相動画測定
・自然光の多次元(3次元、波長(フルカラー、分光)、偏光)情報を同時記録するセンサシステム
想定される用途
・フルカラー自然光ホログラフィ動画カメラ
・測距できる多次元動画センサ機器
・市販の光学顕微鏡に取り付けられる定量位相動画センサ機器
関連情報
展示品あり
- 13:00~13:25
- 通信
5)メタマテリアル電波散乱シート ー貼るだけで5G電波の不感地帯をなくすー
情報通信研究機構 電磁波研究所 電磁波標準研究センター 電磁環境研究室
協力研究員 村上 靖宜
新技術の概要
ミリ波帯の電波は直進性が強く、アクセスポイントから見通せない場所にある端末とは通信しづらいが、本技術は、シートに当たった電波を様々な方向へ散乱させることで通信を可能にする。さらに、メタマテリアル技術の採用により薄型化に成功、シート上に設けた保護層は、意匠性だけでなく散乱性能の向上も実現させている。
従来技術・競合技術との比較
電波が届きづらい場所を解消する代表的な方法としてレピーターを増設する方法があるが、設置場所・費用、電源を確保しなければならないといった制約がある。本シートは、これらの制約を受けずに通信領域を広げることを可能にする技術であり、また、保護層を設けて通信領域を更に広げることに成功している。
新技術の特徴
・電源不要で、電波が届きづらい場所における5G通信品質を改善
・アクセスポイントから見通せる場所に貼るだけで使用可能(電波に関する専門的な知識は不要)
・シート上に壁紙・塗料等の保護層を設けたことで意匠性・耐候性の向上だけでなく、電波散乱性能も向上
想定される用途
・不特定多数の利用者がおり移動端末がアクセスポイントから見通し外の位置にきたとしても、途切れず通信したい環境(オフィス・ホテル・学校・病院等)
・工場・物流センター等における移動端末(ロボット・AGV等)との無線通信
・アクセスポイントやレピーターの設置が困難な場所における通信品質の改善
関連情報
サンプルあり
展示品あり
- 13:30~13:55
- 通信
6)複数回線を活用して素早くしっかりコントロール ーMP-TCP制御パケット重複送受信方式ー
情報通信研究機構 ネットワーク研究所 ワイヤレスネットワーク研究センター
ワイヤレスシステム研究室 研究員 川崎 耀
新技術の概要
MP-TCPにおける複数パスを利用して制御パケットを重複送信することで、通信の冗長性を向上させ、高信頼及び低遅延の通信インフラを構築する。
従来技術・競合技術との比較
単一のパスのみで制御パケットを送信する従来技術と比較して、この技術は複数パスから制御パケットを送信するため、少なくとも1つのパスから正常にパケットが到着すれば処理を開始できるため、より高い信頼性を実現できる。また、複数パスのうち先着した制御パケットで処理を開始できるため、より高速な制御が可能となる。
新技術の特徴
・ランダムパケットロスが発生する移動体通信環境でも確実・高速な制御を可能に
・高速パスの需要が高く一時的な混雑によって速度が低下する場合に備えた低速パスの活用が可能
・端末・基地局のハードウェアを改造する必要がなく、ソフトウェアの改造で実装可能
想定される用途
・公衆網と自営網を束ねた高品質通信サービスへの即時切替などの異種網連携促進
・衛星通信のような低速であっても別の通信網を同時利用することによるユーザ数が多い地上網におけるサービス信頼性向上
・UAV、ロボット、自動運転、鉄道運行、船舶運行向けの高信頼・低遅延通信インフラ構築
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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Mail:ippoml.nict.go.jp
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