関西大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2025年09月18日(木) 10:00~15:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、関西大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 医療・福祉
1)投影画像を見るだけでストレスへの耐性が推定できる技術
関西大学 システム理工学部 機械工学科 教授 小谷 賢太郎
新技術の概要
画像を見たときの視線の動きから心理的レジリエンス(ストレスへの耐性)を推定する技術を構築した。我々は視線情報をいくつかの特徴量(視線を移動させる速度など)に分解し分析することでアンケートと高い相関を得ることに成功している。現在はタブレットを用いているが最終目標はスマホで利用できるよう拡張させる。
従来技術・競合技術との比較
メンタル不調は、受けるストレスの大きさとストレス耐性の低さにより発症するといわれている。我々はストレス耐性を、アンケートによらずタブレットに投影する画像を見たときの視線の動きから推定できる技術を開発した。恣意的に回答することができず、継続的な計測に優れ、専用機器が不要という特長を有する。
新技術の特徴
・結果を恣意的に操作することが困難(客観的な結果が得られる)
・継続評価に使える(繰り返しても嫌気が起こらない)
・手軽に利用できる(専用機器不要)
想定される用途
・メンタル不調の予兆発見
・アンケートの確度向上(併用することによる詐病防止)
・メンタルの日常点検
関連情報
デモあり
- 10:30~10:55
- デバイス・装置
2)新規ビアラスト型シリコン貫通電極(TSV)及びその製造方法
関西大学 システム理工学部 機械工学科 特別契約教授 新宮原 正三
新技術の概要
半導体3次元実装貫通電極(TSV)ならびにその製造方法に関する。特に、TSV孔内部に均一膜厚のCoMn膜を堆積した構造、およびヒドラジンを用いたその無電解めっきの新規な成膜方法に関するもので、この方法により、従来技術のCVD法もしくはALD法などと比較して、低コストで性能が高いCoMnバリア膜形成を提供する事を可能とした。
従来技術・競合技術との比較
半導体の3次元実装におけるシリコン貫通電極製造方法として、様々な手法が提案されていた。本発明によるCu拡散バリアメタルは、アスペクト比の高い孔にも対応でき、Cu拡散バリア性や密着力などの特性に優れ、かつスパッタやCVD等に比べて低コストで作製できる為、本手法は、LSI多層基板の相互接続などに用いられる貫通電極として有用である。
新技術の特徴
良好なCu拡散バリア性
低電気抵抗率かつ高い密着性
スパッタやCVD等に比べて低コスト
想定される用途
・LSI多層基板の相互接続
・シリコンインターポーザ―への貫通電極製造方法
関連情報
サンプルあり
- 11:00~11:25
- デバイス・装置
3)環境発電による橋梁の構造健全性モニタリングシステム
関西大学 システム理工学部 機械工学科 教授 小金沢 新治
新技術の概要
システムの中核技術として、逆磁歪式振動センサを開発した。これは、橋脚と橋桁の間に設置することで、車両の通過による振動を受けて大きな電圧を発生する。センサを振動発電機として利用して、出力電圧を蓄電しておき一日に一回程度、センサ出力から構造健全性を分析し、その結果をワイヤレス通信で送信することができる。
従来技術・競合技術との比較
開発したセンサは、一般的な慣性力を利用した加速度センサよりも数百~数千倍大きい電力を発生させることができる。このセンサを使用することで、外部電源を必要としない簡易な工事で設置できる自立システムが実現できる。
新技術の特徴
・橋梁の構造健全性をモニタリング
・電源不要
・逆磁歪式センサ
想定される用途
・橋梁の構造健全性診断
・通過車両の軸重計測
・交通量調査
関連情報
展示品あり
- 11:30~11:55
- 材料
4)新規液晶エポキシ変性によるシアネートエステル樹脂の高放熱化・強靭化
関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 教授 原田 美由紀
新技術の概要
本技術は高耐熱性樹脂であるシアネートエステル樹脂の耐熱性を維持しながら、放熱性と強靭性を付与する技術である。変性剤である液晶性エポキシの骨格構造の最適化により、液晶化温度領域の拡大と低融点化が達成されている。シアネートエステル樹脂との複合化において、低添加量でも安定的に液晶配列相を形成し、耐熱性を損なわず優れた放熱性と強靭性を発現する。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では、液晶構造の形成によって一定の強靭化が達成されたものの、シアネートエステルおよび液晶性エポキシ樹脂が相溶し、両樹脂間の反応が生じることで耐熱性が損なわれた。本技術では、高配列性・低融点液晶エポキシにより、両樹脂を相分離させ、配列相を形成した。これにより、耐熱性の低下は最小限に押さえられ、強靭化さらには高放熱化が達成された。
新技術の特徴
・強靭性、放熱性、耐熱性を併せ持つ電気絶縁性シアネートエステル樹脂
・低融点化と分子配列性を持つ新規液晶性エポキシ樹脂
想定される用途
・プリント配線板
・半導体封止材
・放熱シート
- 13:00~13:25
- 環境
5)アリザリンレッドSを用いる電気化学的な過酸化水素製造法
関西大学 環境都市工学部 エネルギー環境・化学工学科 准教授 福 康二郎
新技術の概要
従来の過酸化水素の工業的な製造方法は、多段階の工程が必要であること、有害な有機溶媒や大量の水素ガスが必要であった為、環境に優しい過酸化水素製造法が望まれていた。本研究は、水溶性のアリザリンレッドSを用いた酸素を原料とする過酸化水素のクリーンかつ低コストな1段階製造法に関する技術である。
従来技術・競合技術との比較
過酸化水素の工業的な製造方法として、アントラセン誘導体を触媒に用いるアントラキノン法が最も広く採用されているが、アントラキノン法による過酸化水素の製造は、多段階の工程が必要で煩雑であることや、有害な有機溶媒や大量の水素ガスが必要であった為、環境に優しい過酸化水素製造法の開発が望まれていた。本研究は過酸化水素のクリーンかつ低コストな1段階の製造方法であり、従来法を刷新する製造方法となり得る。
新技術の特徴
・有害な有機溶媒や水素ガスが不要
・環境に優しい過酸化水素製造法
・水溶性のアリザリンレッドSを用いた酸素を原料とする過酸化水素のクリーンかつ低コストな1段階の製造方法
想定される用途
・過酸化水素のクリーンな製造方法
・過酸化水素の低コストな製造方法
・将来的な燃料電池用の燃料供給
- 13:30~13:55
- 情報
6)音情報編集のための音色を可視化するインタフェース
関西大学 総合情報学部 総合情報学科 教授 山西 良典
新技術の概要
本技術では、大量の音サンプルに対して音色の感性をノードの形状によって表現し、音色間の類似性や相違性をエッジによって表現するネットワーク状の可視化する。これにより、音色という感性的なメディアの検索を効率化・円滑化する。
従来技術・競合技術との比較
従来、映像に付与する効果音や音楽制作における音色の選択は、音色名を示すテキスト情報による検索・選択が一般的であった。音色名はその音源の名前やIDによって表現されており、音色に対する音響的な感性を理解することは難しく、また音色間の関係性はカテゴリなどの意味的な分類しかない。
新技術の特徴
・聴くための音色を視えるようにする
・音響的な類似性・相違性といった関係が容易に理解可能になる
・音色に対して感じる印象や視覚情報と音響のモデルをユーザごとにパーソナライズ
想定される用途
・音楽制作ソフト
・映像編集ソフト
・音や映像コンテンツの検索
関連情報
デモあり
- 14:00~14:25
- 建築・土木
7)長周期~短周期振動に対応できる新規制震技術
関西大学 環境都市工学部 建築学科 教授 池永 昌容
新技術の概要
水平方向に配置した可動重りとその動きを制御する油圧ダンパーを組み合わせることで、慣性力による制震と粘弾性力による制震を同時に実現。さらに回転慣性によって重量要素を制御することにより可逆的固有周期急変に成功。その結果、これまで困難とされてきた、長周期~短周期振動に対応できる制震技術の開発に成功した。
従来技術・競合技術との比較
短周期の地震においては、建物の加速度の低減が重視される。一方、長周期の地震においては、建物の変位の低減が重視される。従来のダンパーでは、建物の加速度の低減と変位の低減とを両立させることは困難であった。本技術は慣性力と粘弾性の連動と回転慣性の質量要素の制御により、この課題を克服した。
新技術の特徴
長周期~短周期振動に対応できる
回転慣性の性能を制御
想定される用途
・建造物の免震装置
・ダンパー
・重量機械の防振台
関連情報
デモあり
- 14:30~14:55
- 材料
8)アルギン酸で強靭化サステイナブルゴム材料の開発
関西大学 化学生命工学部 化学・物質工学科 准教授 曽川 洋光
新技術の概要
藻類(ワカメ、藻)に含まれるアルギン酸をゴムラテックスと複合化し、下記のアプローチにより力学特性・耐水性及び耐薬品に優れた複合ゴムを開発する。
1)アルギン酸にチオール基を導入し、ゴムと架橋する。
2)アルギン酸/天然ゴム複合体をCa2+イオンで処理し、アルギン酸架橋構造を導入する。
従来技術・競合技術との比較
これまでアルギン酸は医療・食品等の分野では実用化されてきたが、工業的な用途への展開は限定的であった。発表者らはアルギン酸を天然ゴムとラテックス状態で複合化することで、実用的な力学特性を有するサステイナブル複合ゴムが得られることを見出している。本発表では、得られた複合ゴムに対して、異なる2種類のアプローチにて、力学特性・耐水性及び耐薬品性を向上したゴムを新谷開発した。
新技術の特徴
・実用的な力学特性に加え、耐水性及び耐薬品性に優れた複合ゴムが得られる
・サステイナブルな条件で、分解性を示す複合ゴムが調製できる
・藻類バイオマスの利活用に繋がる
想定される用途
・タイヤ材料
・帯電防止ゴム材料
・生分解性プラスチック素材
関連情報
サンプルあり
展示品あり
- 15:00~15:25
- 創薬
9)機能性をもつ有用細菌の細胞外小胞を量産させる技術
関西大学 化学生命工学部 生命・生物工学科 教授 山崎 思乃
新技術の概要
動物・微生物を問わず、細胞はナノ粒子の細胞外小胞を産生する。有用細菌の乳酸菌の細胞外小胞は宿主に有益な作用をもたらすが、産生機構は明らかになっておらず、その産生量が少ないことが研究応用の足かせとなっている。本技術は乳酸菌と酵母を共培養することで細胞外小胞の産生増大に成功したものである。
従来技術・競合技術との比較
乳酸菌が産生する細胞外小胞には免疫調節作用など宿主への有益な作用があるが、産生量の少なさがネックとなっている。遺伝子改変技術による産生増大の報告はあるが、非組換え系での産生増大には課題が多い。本技術は食用でなじみの深い乳酸菌と酵母の共培養により細胞外小胞の産生増大に成功したもので、食品や化粧品用途への応用が可能である。
新技術の特徴
・細菌の細胞外小胞を多く得る技術である
・食品としてなじみの深い乳酸菌、酵母を用いた技術である
・従来より産生量を10倍程度向上できる
想定される用途
・免疫機能向上を目指した機能食品
・化粧品素材
・ドラッグデリバリーシステム(DDS)の担体
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
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Mail:sangakukan-mm
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