福岡大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2021年05月20日(木) 09:55~15:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、福岡大学
発表内容一覧
- がん転移治療を可能にする生分解性高分子を素材としたがん指向性核酸搭載ミセル設計 発表資料 プレゼン動画
- 超高感度・高温度安定性ホール素子用InSb系半導体ウエハ 発表資料 プレゼン動画
- PET表面の革新的な化学的機能化手法 発表資料 プレゼン動画
- 癌特異的な細胞内小器官異常を制御する低毒性低分子抗癌剤 発表資料 プレゼン動画
- セルロースナノファイバー被覆カプセルの製造方法 発表資料 プレゼン動画
- ドラベ症候群の根治薬となりうるナトリウムチャネル結合剤 発表資料
- 心拍モニター解析による非侵襲的な運動強度の新規評価法 発表資料 プレゼン動画
- 母児の予後に重篤な子宮内感染の予知診断検査薬の開発 発表資料 プレゼン動画
- タンパク質に優しい熱ゆらぎ原子間力顕微鏡測定法 発表資料
発表内容詳細
- 創薬
福岡大学 薬学部 免疫・分子治療学 助教 櫨川 舞
新技術の概要
本技術は、がん転移治療を目的とした核酸を生体内で安定に、安全に、かつ高効率で、がん細胞特異的に送達することができる核酸デリバリーのための新規ミセル設計である。がん細胞を認識するユニットと核酸を含有するユニットを併せ持つハイブリッド構造を有することを特徴とする。
従来技術・競合技術との比較
市販徐放性製剤に使用される安全性が確保された生分解性高分子PLGAを素材とし、in vivoでも有効性が確認できた新規核酸医薬品設計である。市販siRNA医薬の脂質ナノ粒子と比較して素材の安全性が高く、ペプチドを用いた標的認識のため、各種がん細胞の標的分子に合わせたアミノ酸配列設計が可能なユニバーサル設計である。
新技術の特徴
・生体での核酸の細胞内送達が可能な粒子設計
・目的細胞への標的化が可能な粒子設計
・安全性の確保された生分解性高分子PLGAを素材とする粒子設計
想定される用途
・核酸医薬品
・生理活性ペプチド含有医薬品
・遺伝子導入試薬
- 材料
福岡大学 理学部 物理科学科 教授 眞砂 卓史
http://www.sp.fukuoka-u.ac.jp/section/solid1/manago/index.htm
新技術の概要
高感度用のホールセンサ材料として、InSbが用いられているが、温度安定性が悪く、低温や高温では使えなかった。本技術では、障壁層としてAlAsSb、活性層としてInAsSbとした量子井戸構造によって高感度かつ高温度安定性をもつ半導体ウエハ構造の最適組成をバンド計算によって明らかにした。
従来技術・競合技術との比較
これまでのホール素子は、高感度用が必要な場合はInSb、高温度安定性が必要な場合はGaAsが一般的に使われており、感度と温度安定性はトレードオフの関係であった。本提案の半導体積層体を用いれば、これらの特性を両立した高性能ホール素子の作製が可能となる。
新技術の特徴
・量子井戸構造
・ドーピングをせずに、ドーピング効果が得られる
・ホール素子の高感度と高温度安定性の両立
想定される用途
・低温用・高温用高感度ホール素子(磁気センサ)
・非接触高感度電流センサ
・車載用磁気センサおよび電流センサ
- 材料
福岡大学 工学部 化学システム工学科 教授 八尾 滋
新技術の概要
難改質性プラスチックであるPETの表面特性を、化学的な手法により任意の特性に改質できる機能性高分子ならびにその改質手法を見出した。
従来技術・競合技術との比較
これまでPETは難改質性プラスチックとされており、化学的な手法では良好な表面改質手法は見出されていなかった。そのため、プラズマ処理などの物理的な手法に頼っていたが、この種の手法では改質が不十分、経時的に改質効果が消失する、表面が荒れる、細孔内部は不可という制限があった。今回見出した発明はこれらの欠点を全て解決するものである。
新技術の特徴
・PETの表面を任意の特性に改質できる
・曲面や細孔内部までも均質に改質できる
・改質効果が長時間持続する
想定される用途
・PET同士あるいは異種高分子・金属などとの接着
・PETを用いたバイオマテリアルの創製(細胞培養基材など)
・PET繊維表面の親水化・染色
関連情報
・サンプルあり
- 創薬
福岡大学 医学部 医学科 准教授 角田 俊之
新技術の概要
癌の鍵分子である変異KRASを有する3次元癌モデルと野生型のKRASを有する正常モデルを樹立し、癌モデルにおいてのみ効果を示す低分子化合物STAR2-N1を取得。その標的は、ミトコンドリアに存在するVDACと小胞体に存在するKDELRであり、両者を標的とすることで、癌特異的に糖代謝関連の分子を抑制することで抗腫瘍効果を示すことが分かった。
従来技術・競合技術との比較
従来の抗癌剤は細胞の増殖を直接的に抑制するために、生体内においては毛根など細胞分裂の盛んな細胞にダメージを誘導し大きな副作用とつながっている。本発明では癌特異的な代謝経路(ワールブルグ効果)を標的とするために、毒性が低く、実際マウス投与においても高い抗腫瘍効果と低い毒性を示した。
新技術の特徴
・腫瘍選択性が高い
・HIF-1上昇が関連する、加齢、肥満、動脈硬化症、痴呆、骨粗鬆症にも効果を有する可能性。
・化合物なので、他の生物学的製剤に比べて安価である。
想定される用途
・既存の分子標的薬が効かない癌患者への投与
・薬剤抵抗性を示した患者
・癌切除後など予防的投与
関連情報
・サンプルあり
- 材料
福岡大学 工学部 化学システム工学科 教授 三島 健司
新技術の概要
天然有機高分子材料であるセルロースナノファイバーを被覆材としたカプセルは、生体適用型デバイスとして注目されている。本発明では、液体または超臨界状態の二酸化炭素を溶媒として利用し、水と二酸化炭素が形成する界面を超音波により直接攪乱する技術によって、セルロースナノファイバーカプセルの製造に成功した。
従来技術・競合技術との比較
従来、セルロースナノファイバーを利用したカプセルは、生体に有害な有機溶剤を用いて製造されてきたため、医薬・化粧品・食品等の分野での使用が困難とされてきた。本発明は、有機溶剤を一切使用しないセルロースナノファイバーカプセル形成技術であり、生体適用型デバイスとして実用化を可能とするものである。
新技術の特徴
・有機溶剤を用いないセルロースカプセルの製造方法
・有機無機複合カプセルの製造方法
・高圧容器内で内部超音波照射を用いるセルロースカプセルの製造方法
想定される用途
・医療・医薬品開発支援ツール
・化粧品
・機能性食品
関連情報
・サンプルあり
- 創薬
6)ドラベ症候群の根治薬となりうるナトリウムチャネル結合剤
発表資料福岡大学 てんかん分子病態研究所 ポスト・ドクター 田中 泰圭
新技術の概要
難治性てんかんの一種であるドラベ症候群(Dravet症候群)に対し、in silico ドッキングシミュレーションとドラベ症候群患者iPS細胞から分化誘導した神経細胞を用いて、選択的なNa+チャネルNav1.1アゴニストを見いだした。
従来技術・競合技術との比較
本発明と同様の、Na+チャネルNav1.1の選択的活性化を作用機序とする抗てんかん薬は存在しない。
新技術の特徴
・将来的にはNa+イオンチャネル以外のイオンチャネルを標的としたin silicoスクリーニングが可能
・疾患特異的iPS細胞を活用した薬効評価技術
想定される用途
・創薬シーズのスクリーニング
・創薬シーズのin vitro薬効評価
- 医療・福祉
福岡大学 スポーツ科学部 教授 上原 吉就
新技術の概要
本発明は、交感神経活動状態と個々人の最適運動強度、自律神経活動を測定するための装置・方法に関するものである。運動中の心拍[HR]と心拍変動周波数解析[HF(高周波)、LF(低周波)]からHFを副交感神経、HR/LFを交感神経の活動指標とし、非侵襲的かつ低コストに最適運動強度、自律神経活動を測定可能とした。また、両者の交点を求めることにより、リアルタイムかつ簡便に最適運動強度の測定を可能とした。
従来技術・競合技術との比較
最適運動強度の決定には、LT(乳酸性作業閾値)又は VT(換気性作業閾値)の測定を要するが、運動中に血液採取が必要であることや、高価な機器を要する等の課題がある。心拍変動の周波数解析から簡易的に測定する技術もあるが、精度の点で課題がある。本技術では、既存の心拍モニターや心電計を利用可能であり、その心拍変動周波数解析に新規指標を用いることによって、低コストでかつ高精度に最適運動強度を決定可能とした。
新技術の特徴
・非侵襲的かつ簡便に交感神経活性化状態を把握可能となる
・非侵襲的かつ簡便に有酸素運動の限界点(持久能力=体力)を把握可能となる
・非侵襲的かつ低コストに運動強度を把握可能となる
想定される用途
・スマートフォン、スマートウォッチ、ウェアラブル端末への搭載
・フィットネスジム等の運動機器やリハビリテーション機器への搭載
・セルフトレーニング時の運動強度把握
関連情報
・サンプルあり(連携希望企業等からの要望があれば提供できる)
- 医療・福祉
福岡大学 医学部 医学科 教授 宮本 新吾
新技術の概要
我が国では、晩産化により子宮内感染に伴う早産が加速度的に増加している。子宮内感染のある早産児では、炎症性脳障害が誘起され発達障害が高頻度で発生する。しかし、発生した子宮内感染は抗菌剤による治療は困難である。したがって、子宮内感染の発生することを予測診断する検査薬の開発が急務となっている。本技術は絨毛膜羊膜炎の発症を高感度に予測することができる発症予測方法である。
従来技術・競合技術との比較
腟細菌叢の乱れが子宮内感染の原因であることから、培養やPCR方法で腟細菌叢解析がなされてきたが十分な研究成果には至っていない。発表者らは、次世代シークエンス法による網羅的・定量的解析で腟内細菌叢の乱れを検出することに成功した。また、その結果を活用して複数の菌をPCR法での解析で腟内細菌叢の乱れを検出している。
新技術の特徴
・高い汎用性
・高い信頼性(予知性)
・高い新規性
想定される用途
・子宮内感染の予知診断
・易感染性患者での肺疾患の予知診断
・不妊症の原因検索
- 計測
9)タンパク質に優しい熱ゆらぎ原子間力顕微鏡測定法
発表資料福岡大学 理学部 物理科学科 教授 山本 大輔
新技術の概要
本技術は、試料に針を近づけて試料の形を見る、原子間力顕微鏡測定法に関する技術である。カンチレバーの熱揺らぎの大きさを探針と試料との間の距離を制御するフィードバックに用いることで、非常に弱い力でタンパク質など非常に柔らかい試料の表面構造を観察することができる。
従来技術・競合技術との比較
従来の原子間力顕微鏡測定法に用いられる、探針を試料に常時接触させるコンタクトモードや、カンチレバーを強制振動させながら間欠接触させるタッピングモードと比較して、タンパク質試料に与えるダメージを大幅に低減することができる。
新技術の特徴
・探針との接触により試料に与えるダメージを低減することができる
・カンチレバーの熱揺らぎを距離制御に用いる
想定される用途
・生体試料の非破壊表面構造測定
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福岡大学 産学官連携センター
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