関西9私大 情報・通信&ライフサイエンス 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2024年02月29日(木) 10:00~15:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、大阪工業大学、関西大学、関西学院大学、甲南大学、龍谷大学、近畿大学、大阪産業大学、京都産業大学、摂南大学
発表内容一覧
- 深層学習を用いた歯科パノラマX線写真からの動脈硬化検出 発表資料 プレゼン動画
- RTOS利用システムのフルハードウェア実装 発表資料 プレゼン動画
- 強誘電体薄膜アナログメムキャパシタを用いたニューロモーフィックシステム 発表資料
- 新規蛋白質立体構造可視化技術によるアロステリック創薬 発表資料 プレゼン動画
- エンジン音の音像変化による覚醒度向上手法の開発 発表資料 プレゼン動画
- 振とうせずに回すだけ、イオン液体は抽出を変える! 発表資料 プレゼン動画
- 高齢者の健康を目指した尿検査系の開発 発表資料
- 熱画像を利用した土壌有機物含有量の計測 発表資料 プレゼン動画
- デザイナブルな人工スプライシング制御RNAの開発 発表資料
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 情報
関西大学 システム理工学部 電気電子情報工学科 教授 棟安 実治
新技術の概要
歯科医で撮影される歯科パノラマX線写真から、重篤な病気に繋がる動脈硬化を示す石灰化を検出する手法である。セグメンテーションと識別を担当する各々の深層ネットワークを直列につないだモデルを用いて、骨やその他の組織を含む非常に複雑な画像から、多様な形状や大きさを持つ石灰化領域の検出を可能としている。
従来技術・競合技術との比較
従来の特徴量を用いた手法と比較して、格段に検出精度が高く、深層学習による物体検出器を用いた手法と比較しても15%程度検出精度が向上している。また、医用画像処理で問題となる学習用画像の不足についても、従来手法では困難である、種類の異なる画像の性質に対応した学習方法を用いることにより対応している。
新技術の特徴
・セグメンテーションと識別器を直列に組み合わせた新たな検出機構の提案
・異なるブロックを直列に組み合わせた機構に対するマルチタスク学習と事前学習を用いた新たな学習手法の提案
・複雑な画像から小さな物体の形状を検出できる新たなセマンティックセグメンテーション手法の提案
想定される用途
・レントゲン画像からの石灰化検出
・医用機器
・一般的な物体検出機器
- 10:30~10:55
- 電子
関西学院大学 工学部 情報工学課程 教授 石浦 菜岐佐
新技術の概要
リアルタイムOS (RTOS) を用いて実装された制御プログラムを、RTOSの機能も含めてハードウェア化する技術である。各タスクは高位合成技術により独立したモジュールとしてハードウェア化し、実行可能になれば他タスクと並列に実行することを許す。RTOSのサービス機能はハードウェアにより超高速に実行される。
従来技術・競合技術との比較
タスクが独立したモジュールで並列に実行されるため、CPU待ちやタスク切替えのオーバヘッドが生じない。RTOSスケジューラはタスクの実行/停止を制御する軽量なハードウェアに置き換えられる。例えばMUTEXのロック/アンロックが10クロック以内で実行できる等、RTOS各サービスの実行も桁違いに高速である。
新技術の特徴
・超高速リアルタイム制御
・制御プログラムのハードウェア化
想定される用途
・超高速レスポンスが要求されるリアルタイムシステム
・制御システムソフトウェアの解析・盗用からの保護
- 11:00~11:25
- 電子
3)強誘電体薄膜アナログメムキャパシタを用いたニューロモーフィックシステム
発表資料龍谷大学 先端理工学部 電子情報通信課程 教授 木村 睦
新技術の概要
強誘電体薄膜アナログメムキャパシタの研究開発を行う。まず、強誘電体材料・薄膜作製プロセスを探索する。次に、アナログメムキャパシタ特性を実現する。最後に、コンピューティングアーキテクチャを構築し、検証する。ニューロモーフィックシステムとして、高速・コンパクト化、低消費電力化が期待される。
従来技術・競合技術との比較
ノイマン型コンピュータでの従来人工知能システムの消費電力に対して、4万分の1。シリコンを使用したニューロモーフィックシステムに対して、1千分の1を実現(目標)。
新技術の特徴
・低消費電力
・高速
・小型
想定される用途
・エッジコンピューティング(ドローン等の自動運転)
・人工知能コンピューティング
関連情報
サンプルあり
展示品あり
- 11:30~11:55
- 情報
近畿大学 生物理工学部 食品安全工学科 准教授 白木 琢磨
新技術の概要
蛋白質は機能的なファミリーを形成しているため、活性部位に対する創薬では複数の蛋白質を標的としてしまう可能性がある。一方、活性部位以外を標的としたアロステリック創薬ではファミリー内の保存性が低いため、特異性を出すことが可能である。本技術を使うことで蛋白質の立体構造からアロステリック領域を見つけることが可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来の蛋白質立体構造表示法では原子座標を用いて表示するため、凹みを探索することしか出来なかった。一方、本技術では位置情報は捨て、つながりを解析することで連動する領域を見つけることができる。
新技術の特徴
・形の評価から動きの評価へ
・ゆらぎと状態遷移
・確率論的解析
想定される用途
・アロステリック作動薬の開発
・機能性食品の作用機構解明
・蛋白質工学
関連情報
デモあり
- 13:00~13:25
- 情報
大阪産業大学 工学部 交通機械工学科 准教授 伊藤 一也
新技術の概要
近年、死亡事故における漫然運転や過労運転の割合は漸減もしくは増加傾向にある。漫然運転や過労運転による事故を防ぐためには、ドライバーの覚醒度が低下した場合に適切な方法で覚醒度を向上させることが重要となるが、警報音を用いて覚醒度低下の警告を促す場合、煩わしさなどの影響を生じる懸念がある。そのため、ドライバーが運転中常に聴いているエンジン音に音像変化を付加してドライバーへ提示する手法を開発し、エンジン音の音像表現による覚醒度向上効果は警報音と同等であることが示された。
従来技術・競合技術との比較
従来技術は警告音を報知することで覚醒度向上させているが、聴取者にとっては耳障りで煩わしく感じやすい。また、聴取者を驚かせやすい。
新技術の特徴
・常に耳にしている音の音像を左右に変化させることで驚かせずに覚醒度を上げられる
・音像を左右に移動させることが可能な音響装置に適用できる
想定される用途
・電気自動車、ハイブリッド自動車のドライバーモニタリングシステムにおけるドライバーの注意喚起、予防安全技術としての活用
・店内のBGMの音像を動かすことによって、座席で居眠りしている顧客を覚醒させる技術としての活用
関連情報
デモあり
- 13:30~13:55
- アグリ・バイオ
甲南大学 理工学部 機能分子化学科 教授 茶山 健二
新技術の概要
有機溶媒を使用する2相間の液液抽出の常識を根底から覆すイオン液体生成を用いる化学物質の自動抽出・濃縮装置を開発した。この新規デバイスでは、①抽出には必須と考えられてきた振とうを必要とせず、②短時間の遠心分離の操作だけで、目的とする化学物質を③有機溶媒では使用できないプラスチックデバイスを用いて、抽出できる。
従来技術・競合技術との比較
液液抽出は、物質が界面を移動するために振とうする必要があったが、本技術では振とうを必要としない。また、溶媒抽出ではガラスの分液ロートなどを必要とするが、一枚のディスク内で、16セットの抽出が可能となる。
新技術の特徴
・イオン液体生成で高速抽出が可能となる
・樹脂製のディスクで、多サンプルの抽出を一度に行える
・ディスクのデザインを3DCADで自由に変更し、用途に合わせたシステムを開発できる
想定される用途
・大麻代謝物やドーピング検査を大量に処理、検出可能
・DNAの抽出が可能である
・全産業の抽出のシーンを変え、研究室に1台は必須の装置となる
関連情報
サンプルあり
デモあり
展示品あり
- 14:00~14:25
- 医療・福祉
7)高齢者の健康を目指した尿検査系の開発
発表資料京都産業大学 生命科学部 先端生命科学科 教授 加藤 啓子
新技術の概要
尿からうつ・不安症バイオマーカー(高齢者とマウス)と側頭葉てんかんバイオマーカー(マウス)を見つけてきた。尿中VOCs検査方法の拡大を進めていきたい。新規性、優位性は以下4点:(1)非侵襲性、(2)偽陰性なし、(4)代謝判定システム構築、(5)マウスで検証。
従来技術・競合技術との比較
尿中VOCは、採尿後容易に揮発し値が不安定になるため、本試験では難揮発性VOCに着目し、解析法も工夫した。このことから、従来の網羅的探索とは異なり、雑多な化合物のノイズに隠れることなくマーカー候補分子を検出することに成功した。従来のVOCマーカーとは特徴が全く異なり、新規性が高く、優位性も高い。
新技術の特徴
・非侵襲性尿中最終代謝産物の分析から、うつ、不安症を見つける
・ヒトとマウスの尿から、フレイルマーカーの代謝予測が可能である
・高齢者の健康管理に利用できる
想定される用途
・食品や医薬品メーカーを対象とした研究開発支援サービス
・コホート研究など大規模なフレイル研究を対象とした研究支援サービス
・企業を対象とした、従業員のヘルスケア健康管理サービス
関連情報
展示品あり
- 14:30~14:55
- アグリ・バイオ
大阪工業大学 工学部 環境工学科 特任講師 加賀田 翔
新技術の概要
アクティブサーモグラフィー法を用いて土壌中の有機物の混合割合を推定する技術である。具体的には、加熱ランプで土壌に熱量を加えた時の土壌の温度変化をサーモグラフィーで観測し、土と有機物の熱的性質の差異により生じる温度変化の差を解析する。
従来技術・競合技術との比較
土色の明度から有機物の含有量を判定する方法も用いられるが、定量性に欠け、現場での目視による手法なので評価作業に習熟を要するなどの問題がある。本技術では土壌中の有機物の混合割合を非破壊かつ簡便に,また経験や熟練を必要とせず定量的に推定することができる。
新技術の特徴
・対象物の表面状態、周囲の環境、測定条件に左右されにくい
・土壌中の有機物量を現場で非破壊で評価できる
・広範囲の計測が可能で、粒径が大きい有機物の量も評価できる
想定される用途
・土壌分析装置
- 15:00~15:25
- 創薬
9)デザイナブルな人工スプライシング制御RNAの開発
発表資料摂南大学 農学部 応用生物科学科 講師 芳本 玲
新技術の概要
核酸医薬品は、標的配列のスクリーニングに多くの時間と費用を要します。また半減期が短いために定期的な繰り返し投与を必要とし、経済的負担が大きくなります。ノンコーディングRNA分子4.5SHを改変した人工RNA分子を用いることで、プログラム可能なスプライシング調節因子を短期間で作製する新技術を見出しました。
従来技術・競合技術との比較
従来のアンチセンスオリゴ核酸(ASO)医薬品は、スプライシング調節に大規模なスクリーニングを要し、中枢への薬物移行や体内での早期クリアランスに課題がありました。本技術は、4.5SH RNAを基にした人工スプライシング制御RNA(srRNA)を使用することで、高効率でスキッピングを誘導できる上、簡便なスクリーニングと長期発現が可能です。この進歩は、スプライシング制御の技術革新を導き、遺伝病治療の実用性向上の可能性を秘めています。
新技術の特徴
・効率的なスプライシング制御: 4.5SH RNAに基づく人工スプライシング制御RNA (srRNA) を使用し、高効率で特定のエクソンのスキッピングを誘導します
・簡便なスクリーニングと長期発現可能: 従来のASOに比べ、この技術はより簡易なスクリーニングで可能であり、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を使用することで長期にわたる発現が実現できます
・広範な応用可能性: マウスモデルやヒトの特定遺伝子に対する適用性を示し、遺伝病治療の新たな方法として、幅広い応用が期待されます
想定される用途
・遺伝性神経疾患や筋疾患の治療: 特定の遺伝子のスプライシング異常が原因の神経疾患や筋疾患の治療に利用できます
・遺伝病治療のカスタマイズ: 患者特有の遺伝的変異に基づいた個別化医療への応用が可能です
・基礎生物学研究の進展: スプライシング制御のメカニズム解明や新しいスプライシング調節因子の同定に寄与し、生物学研究に新たな視点を提供します
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
大阪工業大学 学長室 研究支援社会連携推進課
TEL:06-6954-4140
Mail:oit.kenkyujosho.ac.jp
関西大学 研究支援・社会連携グループ
TEL:06-6368-1245
Mail:sangakukan-mmml.kandai.jp
関西学院大学 研究推進社会連携機構
TEL:079-565-9052
Mail:industry-academiakwansei.ac.jp
甲南大学 フロンティア研究推進機構
TEL:078-441-4547
Mail:sangakuml.konan-u.ac.jp
龍谷大学 知的財産センター
TEL:077-544-7270
Mail:chizaiad.ryukoku.ac.jp
近畿大学 リエゾンセンター
TEL:06-4307-3099
Mail:kenkyujoseiitp.kindai.ac.jp
大阪産業大学 社会連携・研究推進センター
TEL:072-875-3001
Mail:sangakucnt.osaka-sandai.ac.jp
京都産業大学 研究機構
TEL:075-705-3255
Mail:ksu-kenkyusuishinstar.kyoto-su.ac.jp
摂南大学 研究支援・社会連携センター
TEL:072-800-1160
Mail:SETSUNAN.Kenkyu.Shakaijosho.ac.jp
新技術説明会について
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
TEL:03-5214-7519
Mail:scettjst.go.jp