東北大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2023年07月11日(火) 10:00~14:25
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、 東北大学
協力:株式会社東北テクノアーチ
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 機械
東北大学 大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 助教 宇野 健太朗
新技術の概要
対象物の形状が未知の複雑な凹凸形状であっても把持可能で、形状の推定も可能な、簡単な機構のグリッパを開発した。グリッパは、行列に配列した複数のピンと、ピン先端に爪を持つ。グリッパは、駆動により複数箇所で強固に対象物を把持することが可能である。なお、さらに新しい把持・移動機構も当日紹介予定である。
従来技術・競合技術との比較
従来のグリッパは対象物の形状や姿勢を考慮して把持するため、撮像装置などが必須な上、形状によっては、把持力が弱いか把持できなかった。本技術ではどのような形状(未知も含む)の対象物に対しても形状に沿った接触ができる。接触後、複数のピン先を動作させ、対象物を強固に把持することができる。構成が簡単なため、強靭で安価なグリッパを提供することができる。
新技術の特徴
・対象物が凸形状でも凹形状でもどちらも同じ動作原理でピン配列を動作させて接触把持するため、必要アクチュエータ数は1つだけである点
・ピン配列を水平方向に動作させてピン先の爪で対象物を保持する際に、すべてのピンの動きもロックされることでより安定した把持を実現している点
・対象物に接触させた時のピンの移動量を計測することで、対象物の3次元形状計測も可能である点
想定される用途
・不整地移動ロボット
・産業用ロボットアームグリッパ
・土木作業ロボットエンドエフェクタ
関連情報
・デモあり
- 10:30~10:55
- 創薬
東北大学 多元物質科学研究所 有機・生命科学研究部門 教授 和田 健彦
新技術の概要
約1000倍も過剰に存在する標的RNA機能を効率的に抑制するRNase Hを活用したRNA選択的消化に基づく触媒的核酸医薬戦略が注目されており、新技術は標的RNAの位置選択的消化機能を付与した次世代型核酸医薬・キメラ人工核酸医薬を用い、標的RNA消化効率を最高2000倍も向上させることに成功し核酸医薬効果の飛躍的な向上を実現し得る。
従来技術・競合技術との比較
従来核酸医薬では触媒回転数が低く薬効向上は限定的であったが、新技術は標的RNA消化効率を10〜2000倍も飛躍的に向上させ、低濃度でも効果的な核酸医薬効果を発現した。従来核酸医薬に比べ薬効力価向上とオフターゲット効果に起因する副作用低減の2課題を克服し得る魅力的な治療戦略となり得る。
新技術の特徴
・オフターゲットを起こさない低濃度でも高い活性(従来比20~100倍のnMオーダーで薬効が得られる高力価)が期待できる。キメラ分子の合理的設計に基づき、標的RNAの配列/位置選択的消化・切断を実現可能。
・本発明のキメラ分子自身は消化されず、標的RNAを消化/切断した後、体温下で速やかなリサイクル反応により触媒的に新たな標的消化/切断機能を有する。
・新興・再興感染症や癌、自己免疫性疾患、あるいは難治性疾患など、ターゲットアプローチを迅速に展開して新規次世代核酸医薬分野に参入可能。
想定される用途
・医薬品(アンチセンスやsiRNAによる既存開発品を当技術に置き換えた、より高い薬効で副作用の少ない核酸医薬の開発や標的検証。転写因子や細胞内シグナル分子などのundruggableな細胞内分子標的を対象とした次世代核酸医薬の新規創出。)
・研究用試薬
- 11:00~11:25
- 創薬
東北大学 大学院医工学研究科 医工学専攻 教授 小玉 哲也
新技術の概要
リンパ節に抗腫瘍分子などを直接投与する方法をリンパ行性薬物送達法という。この方法に用いる溶媒には浸透圧(及び粘度)で定まる最適な値の範囲が存在する(浸透圧900-2700kPa、粘度0.5‐20 mPa.s )。生理食塩水 (浸透圧733 kP、粘度1 mPa.s )に比べ浸透圧は高く、粘度は概ね高く設定できる。なお、抗がん剤の医薬組成物の特許も保有している。
従来技術・競合技術との比較
リンパ行性薬物送達法の溶媒特性として、浸透圧(及び粘度)で定まる最適な値の範囲を報告した例はない。
新技術の特徴
・リンパ節内の薬物の長期貯留性を実現
・薬物注入リンパ節とその下流のリンパネットワークへの選択的な薬物送達
・リンパ節内の免疫担当細胞および腫瘍細胞などへの薬物送達性の向上
想定される用途
・転移リンパ節の診断・治療から遠隔転移の制御に関わる製剤の開発
・免疫関連有害事象の発症と制御機構に関わる製剤の開発
・新規免疫機能調整剤の開発
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
- 11:30~11:55
- エネルギー
4)水で完全加水分解して水素を発生させるMg-Ca共晶合金
発表資料東北大学 大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻 准教授 安藤 大輔
新技術の概要
Mg‐Mg2Ca共晶相のラメラ組織からなる合金は、中性溶液下でも加水分解し、完全に加水分解するまで水素を発生させ続けるため水素発生合金として利用可能である。まず選択的にMg2Ca相が、続いてMg相が反応し、金属を構成する層が全て加水分解する。単位重量当たりの水素発生量が大きく、地球上に大量に存在し生態系に毒性の無いMgとCaのみから成る特徴を持つ。
従来技術・競合技術との比較
加水分解法の材料として、Mg単体やMg合金から成る水素発生材が報告されているが、これらは反応が進むにつれMg(OH)2などの水と反応しない相が合金表面に形成され、途中で反応が止まってしまう。このため、Mg-Ni, Mg-Cuなどの共晶合金が開発されたが、既報の水素発生剤は、単位重量当たりの水素発生量が小さく、加水分解によって重金属を含む副産物が発生していた。
新技術の特徴
・水の電気分解と違い、加水分解ではクリーンな水素のみを発生させられるため、酸素を分離する工程が必要ない
・Mg-Ca合金としては難燃性で、軽量で持ち運びやすく、いつでもどこでも水素を取り出せる
・水素発生と同時に電池の負極材としての作用もある
想定される用途
・酸素が発生しない水素ガス製造法
・電池(燃料電池、空気電池、海水電池)の負極材
・酸性溶液を使用しない科学実験教材
関連情報
・サンプルあり
- 13:00~13:25
- 医療・福祉
東北大学 大学院薬学研究科 薬理学分野・先進脳創薬グループ 特任准教授 川畑 伊知郎
新技術の概要
我々が開発した診断技術は、軽度認知障害、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、パーキンソン病を検出可能であり、高精度に鑑別することができる。この技術の実用化により、高齢化社会の到来により増加するアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、パーキンソン病の早期治療介入を実現することが可能である。
従来技術・競合技術との比較
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、パーキンソン病をそれぞれ予測し、適切に早期治療介入をするための様々なスクリーニング検査が試みられているが、定量的な診断技術は存在せず正確な早期診断が難しい。またそれぞれの疾患を鑑別する技術は未だ存在しない。
新技術の特徴
・アルツハイマー病やレビー小体病を超高感度に検出可能
・これまで難しかった認知症とパーキンソン病の鑑別が可能
・治療薬による治療効果が定量データとして可視化可能
想定される用途
・医療機関におけるレビー小体型認知症とパーキンソン病の鑑別診断
・一般健康診断
・ゲームアプリと連携した認知症とパーキンソン病の超早期予測
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
- 13:30~13:55
- 製造技術
東北大学 大学院工学研究科 機械機能創成専攻 教授 小野 崇人
新技術の概要
室温における電解めっきにより、固体酸化物イオニクス膜を堆積する技術を開発した。これにより、LiやNaなどのイオンを含む、エネルギー密度の高く、高品質な酸化物正極活物質や酸化物固体電解質を低温で堆積した膜を安価に形成でき、また、固体イオン電池を集積化するなどの製造技術に利用できる。
従来技術・競合技術との比較
これまで、酸化物で構成される全固体電池などのイオニクスデバイスは、固体酸化物イオニクス膜を作成する際に、粉末焼結など、高温プロセスを必要とし、膜のひび割れや、エネルギー密度が低い等の問題があった。また、デバイスを作るには接合がなどのプロセスが必要であった。本技術は、固体酸化物イオニクス・デバイスを、低温、大面積堆積、微細集積化、接合が不要で安価に製造できる、新たな製造方法を提供する。
新技術の特徴
・固体酸化物イオニクス膜の低温堆積
・固体酸化物イオニクス・デバイスの集積化
・固体酸化物系の固体電解質膜の低温形成
想定される用途
・集積化固体イオン電池
・固体イオン電池の製造コスト低減・高強度化
・固体酸化物イオニクスデバイス
- 14:00~14:25
- 製造技術
東北大学 流体科学研究所 ナノ流動研究部門 生体ナノ反応流研究分野 教授 佐藤 岳彦
新技術の概要
水蒸気を混合した加圧ガスを噴射ノズルから噴出することにより、水蒸気を大気により冷却・凝縮(液化)させ、高速で噴射されるナノメートルスケールの液滴(高速ナノミスト)を生成することが可能です。本技術は、その方法と装置に関するものです。
従来技術・競合技術との比較
従来技術として液体と加圧ガスを噴出することで液滴を生成する、または過熱水蒸気と液体を噴出する手法もあるが、これらは液滴径が大きく、後者は必要水量が多く液滴温度も高い。本技術は、液滴径が小さいため、薬剤を用いずとも穿孔効果による殺菌が可能である。必要水量も少なくドライな、かつ低温での殺菌・洗浄処理が可能となる。
新技術の特徴
・高速でナノメートルスケールの液滴を噴出することが可能
・低温、超節水、薬剤フリー、濡れない、殺菌・洗浄が可能
・液滴径のサイズや数の制御が可能
想定される用途
・手洗い、シャワー(寝たきり、水インフラがない地域、災害、治療など)
・食品殺菌(食肉、農産物、魚介類、加工品、調理用具、身の回りの物品)
・半導体洗浄、耐熱性の低い材料や濡らさない必要のある材料の殺菌・洗浄
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
東北大学 産学連携機構
TEL:022-795-5275
Mail:sangaku-suishin grp.tohoku.ac.jp
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