東京理科大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2023年11月09日(木) 10:00~14:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、東京理科大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 10:00~10:25
- 機械
東京理科大学 創域理工学部 機械航空宇宙工学科 教授 竹村 裕
新技術の概要
普段なかなか見ることのない足裏ですが、足裏を見れば健康状態や全ての不調がわかるとも言われているほど、足裏は重要な情報を示しています。今回の新技術は、異なる方法で足裏に照射した光によって得られた画像を解析することによって、足裏の状態(乾燥具合や硬さ)を容易に推定することができます。
従来技術・競合技術との比較
画像から皮膚の乾燥度合いを計測するには、近赤外光を利用した方法などがありますが、特殊な光とカメラが必要です。皮膚の硬さを計測するには、押し付け力に対する変形量から推定する方法がありますが、装置が複雑で計測が容易ではありません。新技術では、立位姿勢で足裏画像を取得するのみで、容易に足裏の状態を推定することができます。
新技術の特徴
・異なる光照射方法を用いて接触面画像を撮像する
・撮像した画像から、足裏の硬さを推定する
・撮像した画像から、足裏の皮膚の状態を推定する
想定される用途
・健康診断時に体重計測と同時に足裏の状態も計測する
・足底圧力分布、足裏のアーチ、扁平足、外反母趾などの測定と同時に利用する
・皮膚がんの診断に利用するカメラに本機能を付加する
関連情報
・サンプルあり
・デモあり
・展示品あり
- 10:30~10:55
- 製造技術
東京理科大学 先進工学部 電子システム工学科 教授 谷口 淳
https://www.tus.ac.jp/ridai/doc/ji/RIJIA01Detail.php?act=pos&kin=ken&diu=2420
新技術の概要
いろいろなものに塗布できるポリイミド膜に酸素イオンビームを照射することで、反射防止機能を持つモスアイ構造が形成されることが分かった。これにより様々な部分に反射防止構造を付与することが可能となる。また、作製されたモスアイ構造を金型としてナノインプリント技術で複製もできるため量産も可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来本研究室ではグラッシーカーボンという炭素系材料に酸素イオンビームを照射することでモスアイ構造ができることがわかった。ただ、この基板は加工性が乏しく平面での利用に限られていた。今回の樹脂材料を用いれば曲面への応用なども可能になると考えている。
新技術の特徴
・反射防止構造であるモスアイ構造が作れる
・モスアイ構造は殺菌作用のあるセミの羽構造とも似ている
・モスアイ構造を金型として転写技術により複製も可能である
想定される用途
・レンズ等への反射防止機能付与
・反射防止構造フィルムの作製
・ナノ表面構造を利用した接着強化面、殺菌シートなど
関連情報
・サンプルあり
- 11:00~11:25
- 建築・土木
東京理科大学 工学部 建築学科 教授 伊藤 拓海
新技術の概要
積雪状況をモニタリングし、建物の危険度診断と雪下ろしのタイミング判断のための評価システムである。地震や積雪などによる建物のひずみがサッシに集中するところに着目し、建物の異常をセンサにより検出する。さらに、電力は窓・サッシに発生する結露を活用して発電することで、省電力システムが実現可能である。
従来技術・競合技術との比較
従来は、積雪深・重量の計測と微動計測による振動性状の解析、雪質や天気より経験に基づく判断、巡回・観察による危険予知を行っていた。このため経験・勘によるところが多く、精度・誤差に問題があった。
新技術の特徴
・建具・サッシの歪に注目し構造体の状態と関係付けでデーター取得
・建物モニタリングセンサーに環境発電(水電池)を利用
・建物モニタリングのリモート化
想定される用途
・IoT機能を有する窓サッシ
・建物構造の負荷を検知するセンサー
・人の在室と生活の様子を検知するセンサー
- 11:30~11:55
- デバイス・装置
4)大面積なセンシング
発表資料東京理科大学 先進工学部 物理工学科 准教授 中嶋 宇史
新技術の概要
床がタッチパネルのような大面積センサになる技術を開発しました。圧電素子による高精度なセンサと機械学習による解析によって、低コストに広範囲をカバーできます。ヒトやロボットなど移動体個々に取り付けられていたセンサを床面で共通化することで、複数かつ異なる移動体を同時かつ効率的に制御することが可能です。
従来技術・競合技術との比較
本技術は圧電体の素子からの出力を機械学習を用いて解析することによって、人間やロボット等の位置を検出します。また、フレキシブルで薄い有機圧電素子を用いたマトリクスセンサ構造でも位置検出を実現できています。これらのセンサ方式は大面積化が可能なため、低コストな位置検出エリアを実現することが期待されます。
新技術の特徴
・機械学習を用いた位置検出により、高精度化と大面積化を実現
・人間や付帯物の移動情報を直接的に検出
・ロボットなどの移動体と人間の位置を同時に検出
想定される用途
・床面、壁のタッチパネル化
・路上、駅ホーム、工場内などにおける警報・警備システム
・利用者の状況に応じた照明、音声、冷暖房等設備の自動制御
- 13:00~13:25
- 計測
東京理科大学 理学部第二部 化学科 教授 佐々木 健夫
新技術の概要
振動する環境下でも被検体の内部欠陥、構造等の状態を高精度に計測することを可能とした。フレクソエレクトリック液晶組成物として、スメクチック液晶化合物を添加することで光散乱の抑制を可能とし、本発明のフレクソエレクトリック液晶のレーザ超音波計測装置への応用により、ハンドヘルド型やドローン搭載型のレーザ超音波計測装置等への展開が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術に比べて、高速・遠隔非接触検査が可能である。
測定面が曲面でも測定可能であり、振動の影響を受けにくい。
更には、装置の小型化が可能であるため、ハンドヘルド型やドローン等へ搭載可能である。
新技術の特徴
・パルス発振レーザと連続発振レーザとを同軸で同じ方向から被検体に照射し、被検体の性状を分析可能
・離れた場所にある鉄骨等の厚み測定、トンネル、橋梁等の内部探傷などを非接触で行うことができる
・レーザ検査システムを車体、移動する装置等に搭載した状態で、車体、移動する装置等を移動させながら被検体の性状を検査することができる
想定される用途
・製造現場での製品のインライン検査
・インフラの劣化検査
・ポータブル検査装置
- 13:30~13:55
- 材料
6)多糖系バイオマスを用いた環境にやさしい自己修復材料の創製
発表資料東京理科大学 理学部第一部 応用化学科 助教 岩田 直人
新技術の概要
本研究では、地球上で最も多く存在するバイオマスのセルロースを原料として、サステナブルな自己修復材料の創製に成功しました。可逆的に解離・再結合する特殊な共有結合を導入したセルロースの自己修復材料を加熱すると、切断・損傷した状態から簡単に復元できるため、SDGsの「つくる責任 つかう責任」に貢献できます。
従来技術・競合技術との比較
従来の自己修復材料は石油資源を原料としているほか、毒性のある原料や触媒が含まれていることが多いため、資源・環境問題の観点だけでなく安全性の面でも懸念があります。一方で、本研究で作製した自己修復材料はバイオマスであるセルロースを原料としているため、サステナブルで安全性が高いことが特長です。
新技術の特徴
・地球上に豊富に存在するセルロースを原料として、自己修復材料の作製に成功しました
・自己修復する際の加熱温度は、原材料の化学構造によりコントロールできるため、材料設計の自由度が多彩です
・1年以上放置した後でも、自己修復性を維持していることを発見しました
想定される用途
・社会インフラで使われる構造材料
・コーティング材料や接着材料
・パッケージ、容器、繊維などで使われる樹脂
関連情報
・デモあり
- 14:00~14:25
- アグリ・バイオ
東京理科大学 薬学部 生命創薬科学科 准教授 草森 浩輔
新技術の概要
機能性遺伝子を宿主細胞に組み込み、細胞数を制御する新たなシステムを開発しました。本システムによれば、高品質なタンパク質を安定して生産できます。
従来技術・競合技術との比較
培養細胞は時間の経過とともに増殖し、密度が高くなると機能が低下する。細胞機能の低下は産生タンパク質の変異を惹起するが、解決する方法がなかった。本技術によれば、過剰な細胞増殖を抑えることが可能であり、タンパク質の純度および生産量を向上できる。
新技術の特徴
スマートセルインダストリーを実現するコア技術に関し、宿主細胞の潜在能力(生産と増殖)を最大限引き出し・制御することができる
(1)増殖制御可能な生物細胞の開発と、
(2)その培養方法に関する。
・宿主細胞の細胞数を制御し、機能低下を抑えることができる。
・機能低下した宿主細胞が生産するタンパク質は構造等が変化し、目的タンパク質の純度を著しく低下させていた。本技術によれば、細胞を過密状態にせず一定の細胞数を維持するため、目的のタンパク質を高純度で生産することができる。
想定される用途
・バイオ医薬品の生産:抗がん剤等の抗体医薬品、ワクチン、酵素
・バイオ新素材の生産:ゴム原料、バイオプラスチック、食品添加物や栄養補助食品、化粧品用途
・バイオ燃料
- 14:30~14:55
- 計測
東京理科大学 工学部 機械工学科 教授 元祐 昌廣
新技術の概要
本技術では、分子からの蛍光発光の偏光情報を利用することで、マイクロ流体デバイスや固体接合部の狭い隙間など、薄い液体層内部の温度分布とその厚さ分布を同時に測定することができます。もちろんそれぞれ単体の計測も可能です。
従来技術・競合技術との比較
光吸収や従来の蛍光発光を用いた手法では、計測信号が液体層厚さと温度の影響を受けるため、どちらかが均一である必要がありました。本技術では、それらを分離して計測することが可能なため、例えば液体層厚さが不均一な場でも温度分布を得ることができます。また、蛍光分子の濃度が不均一でも問題なく計測することが可能で、消光(クエンチ)の影響も受けません。
新技術の特徴
・液体厚さや光照射強度、分子濃度が不均一で未知の場合でも液体内部の温度分布を取得可能です
・固体間の液体厚さを、温度分布が存在するような場でも面計測が可能です
・測定プローブが不要な非接触手法で、点計測でなく面計測が可能であり、市販装置にない特徴を有する製品化が可能です
想定される用途
・マイクロ熱交換器やバイオチップ内部の温度分布評価
・固体接合面間の液体厚さ分布の評価
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