福島大学 新技術説明会【対面開催】
日時:2024年06月06日(木) 13:30~15:55
会場:JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、福島大学
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:30~13:55
- 医療・福祉
1)見えない物を見るNano-PALDIイメージング質量分析
発表資料福島大学 食農学類 食品科学コース 教授 平 修
新技術の概要
ナノ微粒子を用いたNano-PALDIイメージング質量分析は、これまで不可能とされていた低分子~高分子を一度の測定で高空間分解能に標的物質の可視化が行える。
従来技術・競合技術との比較
そこに何があるのか?「見る」ことの科学的インパクトは大きく、異分野間での議論も迅速に、深く行える。主に質量分析技術をベースに、食品の新たな機能を発見、機序解明し、サプリメントや、新規薬剤として製品化を目指している。イメージング質量分析は、抗体、蛍光色素などを用いずに、一度の測定で複数物質の局在を視覚的に表すことができる。さらにこの技術を外部利用という形で広く、産学官の研究者へ供給する制度を設けている。
新技術の特徴
・グラフではなく「見える」形のデータ
・一度の測定でいくつもの分子を見ることができる
・特殊装置を必要としない、簡便かつ高度な技術
想定される用途
・薬物動態
・食の機能性成分可視化、ブランド化
・医療分野への応用(病理学、内科学)
- 14:00~14:25
- 材料
福島大学 共生システム理工学類 物質科学コース 物質・エネルギー科学分野
准教授 大橋 弘範
新技術の概要
放射性セシウムの最終処分材料として提案されているポルサイトと呼ばれる鉱物は、構成元素として含有したセシウムが雨水や地下水などにさらされる条件でも溶出することは無いといった特性を有する。本技術では、ポルサイトを合成する際に不純物が生成しないことから、放射性セシウムの溶出が無い形に濃縮することができる。
従来技術・競合技術との比較
これまでのナトリウム塩を用いたポルサイトの合成では、全てがポルサイト層にはならず、濃縮の点で問題があった。しかしカリウム塩を用いることにより不純物であるリューサイトは生成せず、より放射性セシウムを濃縮できるようになっている。
新技術の特徴
・カリウム塩を用いて、セシウムを含有しつつも溶け出さない材料であるポルサイトを合成できること
・セシウムの濃縮ができること
・粒子径が小さい(結晶子径が小さい)ポルサイトが合成できること
想定される用途
・放射性セシウムの最終処分に関する材料
・放射性セシウムの濃縮材料
関連情報
展示品あり
- 14:30~14:55
- アグリ・バイオ
福島大学 食農学類 農業生産学コース 教授 深山 陽子
新技術の概要
苗生産時に成育不良や生理障害の発生を起こさず健全な苗を作るための技術である。薬品などを使わずに水を吹きかけることのみで植物の水分状態をコントロールする方法である。近年、発生が問題となっている水疱症(葉こぶ症)に対して高い効果が認められている。
従来技術・競合技術との比較
現在検討されている方法は主に紫外線を含む人工光を照射して、生理障害発生を回避する方法であるが、本技術は水を吹きかける方法であるため低コストとなる。
新技術の特徴
・短時間で蒸発する程度の水を植物に吹きかけることで植物の水ポテンシャルを高める
・植物の水ポテンシャルの変動を抑えることにより、水ストレスを回避する
想定される用途
・植物生産
・苗生産
- 15:00~15:25
- 計測
福島大学 共生システム理工学類 数理・情報科学コース 数理・情報システム分野
准教授 笠井 博則
新技術の概要
放射線を測るときに遮蔽体などを配置して「非一様に」計測する。この状況を数理モデルで表現し、遮蔽体の位置と計測結果の組を十分多く集めることで方向ごとの放射線の向きと強さを「計測」(計算によって再構成)することができる。この「計測」は、非常に簡易な機構でできるので、相対的に安価にシステムを構成しうる。
従来技術・競合技術との比較
ガイガーカウンター・シンチレーションカウンターは放射線の「量の全体」を測るもので、向きごとの量を測ることができない。ガンマカメラは、一方向からの放射線だけを測るものでなおかつ重いために持ち運びが不便。コンプトンカメラは向きも量も測れるが、価格が高く個々人に持たせての観測は(予算的に)難しい。
新技術の特徴
・測り方を一様にしないことで、数理モデルを利用して「方向ごとの放射線量」を再構成できる
・放射線源の分布の推定に利用できる
・既存の線量計を利用することも可能で、安価な構成により「方向ごとの放射線量」を測ることができる
想定される用途
・原子力発電所の廃炉現場で作業ごとで、想定しない放射性物質の有無を確認でき安全の早期確認に利用できる
・病院、非破壊検査の現場などで、放置されたX線源がないかを容易に確認できる
・帰還困難区域など、あと少しの除染で生活可能になる地域での除染の効率化
- 15:30~15:55
- 医療・福祉
5)非接触計測も可能な体動を利用したカフレス血圧推定方法
発表資料福島大学 共生システム理工学類 物理・システム工学コース 物理・メカトロニクス分野
教授 田中 明
新技術の概要
手など末梢の脈波伝播速度が心臓からの高さの変化によって変わることを利用して脈波計測のみで拡張期血圧を推定する方法、さらに映像脈波を利用することで非接触で拡張期血圧が推定可能。
従来技術・競合技術との比較
血圧と脈波伝播速度との間に関連性があることは知られており、その関係を、キャリブレーションや、体重やBMIなどの追加の個人情報を利用して補正する方法が多いが、本法では末梢の高さ変化により生じる血圧と脈波の変化から個人差を排除して血圧を推定するため、事前のキャリブレーションや追加情報がいらない可能性がある。
新技術の特徴
・ カフや圧迫を必要としない血圧推定(拡張期血圧)
・ 原理上カメラのみで拡張期血圧を推定することができる
想定される用途
・ 健康管理
・ 他の簡易連続血圧推定法のキャリブレーション
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
福島大学 研究・地域連携課
TEL:024-548-5248
Mail:chizaiadb.fukushima-u.ac.jp
URL:https://www.fukushima-u.ac.jp/
新技術説明会について
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TEL:03-5214-7519
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