物質・材料研究機構 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2024年06月18日(火) 13:30~15:55
会場:オンライン開催
参加費:無料
主催:科学技術振興機構、物質・材料研究機構
発表内容一覧
発表内容詳細
- 13:30~13:55
- 材料
物質・材料研究機構 マテリアル基盤研究センター 材料設計分野 材料モデリンググループ
主任研究員 桂 ゆかり
新技術の概要
Starrydata2 webシステムでは、材料科学の論文中のグラフから実験データを集めてデータベースを作ることができる。共同研究で雇用する1〜2名の専属データ収集者が論文中のグラフをトレースして数値データ化し、試料のプロセス情報などを記録する。この一連の作業を独自アプリとAIで補助して効率化している。データはオープンデータとして一括共有され、論文の引用のみで利用できる。
従来技術・競合技術との比較
人の目でチェックしながら収集するため、全自動収集よりもミスが少なく、結果的に効率的である。熱電特性については5万試料ほど収録されて作業内容が効率的で、試料の選別を行う必要がないため、試料間のばらつきを反映した大規模データセットが得られる。試料のプロセス情報などのデータベース入力項目はカスタマイズでき、データの一括ダウンロードも可能。
新技術の特徴
・論文中のグラフの数値データを丸ごとデータベース化
・材料科学の実験データを試料情報とともに効率的に収録
・各ユーザーが集めたデータをオープンデータベースとして共有
想定される用途
・マウスを乗せると情報が出る目標物性の散布図
・機械学習による目標物性の予測
・過去に合成された試料の化学組成の分布とそれらの物性値の分布
関連情報
・デモあり
・展示品あり
- 14:00~14:25
- エネルギー
物質・材料研究機構 磁性・スピントロニクス材料研究センター 磁気機能デバイスグループ
グループリーダー 桜庭 裕弥
新技術の概要
熱流センサは、熱エネルギーの流れる方向と大きさを高速かつ定量的に検知できるセンサである。磁性材料で発現する熱電現象を利用することで、元来の熱の流れを妨げない超低熱抵抗と、曲率の大きな曲面にも利用可能な高いフレキシビリティーを有する新規な熱流センサを実現した。
従来技術・競合技術との比較
従来型のゼーベック熱流センサは、その原理上、熱抵抗が大きく、フレキシビリティーが低い、コストが高いという致命的な課題が避けられず、用途は極めて限定的なものであった。新技術はこれらを一挙に打破し、高速な熱検知やエネルギー制御を必要とするあらゆる用途への応用展開が可能である。
新技術の特徴
・熱抵抗が極めて小さく、放熱や排熱も妨げず熱流検知が可能
・薄膜プロセスにより安価なセンサが実現可能
・1cm以下の曲率半径でも利用可能な高いフレキシビリティー
想定される用途
・温度計利用では間に合わない異常発熱の高速検知が求められる用途
・温度計では計測できない熱流の定量検知により、高効率エネルギー制御・精度の高い温度制御が求められる用途
・温度計では計測できない深部温度計測が求められる用途
関連情報
・サンプルあり
- 14:30~14:55
- 製造技術
3)プラズマを用いない酸化ガリウムの微細加工方法
発表資料物質・材料研究機構 電子・光機能材料研究センター
機能材料分野 超ワイドギャップ半導体グループ 主任研究員 大島 孝仁
新技術の概要
プラズマを用いない選択成長と選択ガスエッチングにより、酸化ガリウム表面に形成されたSiO2などのマスクの開口部から、結晶構造に由来する異方的な構造形成を促すことができる。特に(100)を側壁面とすることで、極めて平坦かつ垂直な側壁を持つ微細加工を実現できる。
従来技術・競合技術との比較
従来のプラズズマを用いたドライエッチングでは、プラズマによるダメージが加工面に導入され、また側壁面がやや傾斜し荒れている場合があるが、本技術ではそれらの問題が生じない。
新技術の特徴
・プラズマダメージの無い極めて平坦で垂直な側壁を持つ加工構造が得られる
・選択成長、選択ガスエッチングという新しい手法で微細加工を実現している
・新しい(-102)面方位基板も提案している
想定される用途
・酸化ガリウム半導体デバイス開発
関連情報
・サンプルあり
- 15:00~15:25
- エネルギー
4)放射冷却による暑さ対策と環境発電
発表資料物質・材料研究機構 ナノアーキテクトニクス材料研究センター
ナノ材料分野 光学ナノ構造チーム チームリーダー 石井 智
新技術の概要
屋外で熱放射により冷える日中放射冷却膜において、独自の多層構造により従来より冷却能力の高い膜を開発した。また、放射冷却で冷えることにより24時間熱電発電できる環境発電素子も開発した。
従来技術・競合技術との比較
日中放射冷却膜については、従来品より高い太陽光反射率と赤外放射率を実現したことで、高い冷却性能を実現した。環境発電素子に関しては、24時間発電できることが他の方法による従来品に対する大きな利点である。
新技術の特徴
・配電盤や基地局など屋外で放熱が必要な施設での放熱の補助
・屋外の倉庫等の暑さ対策
・屋外設置のセンターの自立給電
想定される用途
・日中の屋外での放熱・暑さ対策
・環境発電
関連情報
・展示品あり
- 15:30~15:55
- 計測
5)液体セル透過型電子顕微鏡による液中材料のナノスケール観察
発表資料物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究センター 電池材料分野
環境制御観察グループ 主席研究員 竹口 雅樹
新技術の概要
SiN膜液体セルからグラフェン液体セルなど、観察する目的に応じた各種液体セルを用いてナノ構造触媒、高分子、生体などの液中における形態やダイナミクスをTEM観察する技術について紹介する。
従来技術・競合技術との比較
TEMは従来、真空中にある試料を観察するものであった。昨今のナノ加工技術の進展に伴って液体セルが実用化され、液中の試料のTEM観察が可能となった。我々は各種液体セルを自作し、また、目的に応じてカスタマイズし、さらに観察条件を最適化することで様々な試料観察に対応している。
新技術の特徴
・液中材料の高分解能観察
・高分子や生体材料の液中観察
想定される用途
・ケミカルの液体状態での観察
・液中触媒観察
お問い合わせ
連携・ライセンスについて
物質・材料研究機構 外部連携部門 企業連携室
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Mail:technology-transfer nims.go.jp
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