岡山大学 新技術説明会【オンライン開催】
日時:2025年07月15日(火) 09:55~13:55
会場:オンライン
参加費:無料
主催:科学技術振興機構 、岡山大学
<お申込み方法・聴講方法>
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発表内容一覧
発表内容詳細
- 09:55~10:00
開会挨拶
岡山大学 副理事 窪木 拓男
- 10:00~10:25
- アグリ・バイオ
1)ゼブラフィッシュを用いた遺伝性疾患の発症リスクの判定法
岡山大学 学術研究院医歯薬学域(医) 薬理学 教授 細野 祥之
新技術の概要
本技術は、ゼブラフィッシュの受精卵に、色素斑に特異的なプロモーターmitfaの制御下に、メラノーマのドライバー遺伝子である変異型NRAS遺伝子と共に病的意義不明なVUSを含む遺伝性疾患の遺伝因子DNAを導入し、色素斑過形成/メラノーマ発生を定量評価する。VUSの遺伝性疾患の発症リスクの程度を生後5日でACMG/AMP分類にて評価できる。
従来技術・競合技術との比較
病的意義が不明なバリアントの判定にはACMG/AMP分類が用いられている。様々な基準で評価し、それらの組み合わせにより病原性を判定するが、マウスを使った動物実験では、時間、費用、労力がかかり、動物モデル活用の規制も進んでいる。本技術は、短期間、低コストで哺乳類個体使用を抑制したVUSの高度な評価法である。
新技術の特徴
・病原性の本来の意義である「その変異があるとがんになりやすいのか?そうでないのか?」を判定可能な動物モデルである
・ゼブラフィッシュの管理が容易で大規模な飼育スペースを必要としない
・欧米ではゼブラフィッシュは生後5日前後までは生物として扱われないため、試験機関の負担が軽減される
想定される用途
・遺伝性疾患の表現型をアウトプットとした評価系
- 10:30~10:55
- アグリ・バイオ
2)遺伝子組換えを用いずにアブラナ科植物の難開花性を開花性に変換できる技術
岡山大学 学術研究院環境生命自然科学学域(農) 助教 元木 航
新技術の概要
光照射条件を工夫することにより、アブラナ科植物の花成ホルモンを高発現させることができる技術。通常は開花促進が困難な植物を迅速に開花させることができ、育種・採種プロセスの効率化に利用することが可能になる。
従来技術・競合技術との比較
従来技術では、花成ホルモンを高発現させる場合に遺伝子組換えを用いていたのに対して、本技術では遺伝子組換えなしに花成ホルモンの合成量を約10倍と大幅に増加させることができる。そのため、使用できる場所や用途の制限が少ないだけでなく、自由自在な開花制御が可能となる。
新技術の特徴
・花成ホルモンを高発現させることが可能
・光照射技術の工夫
・植物の開花を促進することができる
想定される用途
・植物の育種および採種プロセスの高速化
・難開花性植物の育種および採種の効率化
・育種および採種適地の拡大
関連情報
・サンプルあり
- 11:00~11:25
- 材料
3)安価で安定な有機光触媒を利用した光触媒反応の開発
岡山大学 学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎) 新機能材料合成研究分野 助教 田中 健太
新技術の概要
近年、穏和な可視光をエネルギー源とすることのできる光触媒反応が注目されている。これまではルテニウムやイリジウムなどの金属光触媒が用いられてきたが、本研究では安価で安定な有機光触媒を新たに開発することにより、炭素-炭素結合形成反応をはじめとする種々の光触媒反応の開発に成功した。
従来技術・競合技術との比較
従来の金属光触媒は希少金属であるためコストが高いことや金属不純物を除去するための煩雑な操作が必要といった課題点があった。本触媒は安価に合成することのできる有機元素のみで構成された光触媒であり、光触媒反応に用いた際にも回収、再利用が可能な安定な光触媒である。
新技術の特徴
・安価に合成可能
・炭素-炭素結合形成反応をはじめとする多様な光触媒反応に利用可能
・グラムスケール反応にも適応可能であり、光触媒の回収も可能
想定される用途
・機能性材料や医農薬品の合成
・化合物製造プロセスへの応用
・光触媒の販売
関連情報
・サンプルあり
- 11:30~11:55
- 創薬
4)がんによるミトコンドリアの「乗っ取り」による抗腫瘍免疫応答の抑制
岡山大学 学術研究院医歯薬学域(医) 腫瘍微小環境学 教授 冨樫 庸介
新技術の概要
mtDNA変異型ミトコンドリアががん細胞から腫瘍浸潤リンパ球に伝播し、ミトコンドリアを置換してしまうことで、老化などを促し抗腫瘍免疫応答を抑制していることを明らかにした。これらの特性を指標として、がん予防および治療に資する機能性食品や医薬品の開発を提案する。
従来技術・競合技術との比較
今までに報告のない免疫抑制機構で競合しにくい。代謝を標的にした創薬などはあるが、根本的なところで解決できる可能性があり、変異はわかりやすいバイオマーカーになる。
新技術の特徴
・伝播・置換という今までにはない標的に対するがん予防および治療開発を目指す
・mtDNA変異というわかりやすいバイオマーカーが存在する
・老化研究などにも応用できる可能性がある
想定される用途
・医薬品
・機能性食品
・体外用診断薬
- 13:00~13:25
- 材料
5)異物を加えず電界によりイオン伝導性セラミックスを強化
岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(工)工 応用化学コース
教授 岸本 昭
新技術の概要
燃料電池やセンサーなどに用いられるイオン伝導性セラミックスは運搬、組み立て時に突発的な外力を受ける一方、薄いほど伝導層の抵抗が下がり運転時のエネルギー効率が向上する。デバイス運転時の応力に耐えうる最低限の厚さのイオン伝導性セラミックスをデバイス組み立てまで一時的に強化する手法を提供する。
従来技術・競合技術との比較
通常セラミックスの強化では繊維状、板状、粒子状の異物を混入し複合体を形成する。異物のイオン伝導度は母体の伝導度より小さいため複合体の抵抗値は大きくなってしまう。本手法は電界印加という簡単な手法であり、異物を加えないため運転時のイオン伝導度は維持され、薄くできる分抵抗値が低減する。
新技術の特徴
・電界強化
・無添加強化
・イオン伝導度維持
想定される用途
・燃料電池の電解質
・センサーの電解質
・酸素ポンプの電解質
- 13:30~13:55
- アグリ・バイオ
6)アクアポリン:作物の成長促進や二酸化炭素回収への期待
岡山大学 学術研究院先鋭研究領域(資源植物) 准教授 森 泉
新技術の概要
本研究で同定したトマトのアクアポリンSlPIP2;6 v2は水輸送活性が低く、二酸化炭素の輸送活性が高い。この特性を活用すれば、昼間のような光呼吸による光合成低下が起きやすい条件下でも水損失を抑えつつCO2供給を促進し、光合成活性を維持することができるため、作物の収量増加が期待できる。
従来技術・競合技術との比較
[作物の成長促進]
CO2上昇は深刻な問題だが、植物は常にCO2飢餓にさらされ、生産低下を招いている。CO2施肥や気孔開口技術は、コストや乾燥耐性が課題だった。本技術は葉内CO2拡散を最大化し、作物生産性を向上させる。
[CO2回収]
従来のCO2分離膜はコストや選択性が課題だった。本技術は葉内CO2拡散を制御するタンパク質を活用し、安価で特異性の高い分離膜材料を提供する。
新技術の特徴
・二酸化炭素に対して極めて高い選択性を有する
・タンパク質であることから、生産コストが安い
(案)微生物などの活用で生産コストを安価にできる
・ゲノム編集技術を用いたタンパク質の部分欠損により、二酸化炭素・水両透過性のアクアポリンを二酸化炭素選択性に改変することが可能
想定される用途
・カーボンニュートラルを目指した、バイオマスの増加
・二酸化炭素分離膜
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連携・ライセンスについて
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