PickUP!新技術
新技術説明会の技術シーズの中からピックアップした新技術をご紹介します。
竹のチカラで紫外線を防ぐ
竹林面積の増加に伴う竹害は深刻であり、竹の有効活用は「生物の多様性と居住地の保護」「天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用」に繋がる。私共は竹抽出エキスに紫外線(UVA及びUVB)吸収効果があることを明らかにした。さらに、紫外線吸収成分として竹に含まれる2つの物質を特定することができた。
樹脂への塗布が可能な親水性シルセスキオキサンを用いた防曇ハードコート
本材料は、カルボキシ基を有するシルセスキオキサンとオリゴエチレングリコールがエステル結合した架橋型ポリマーをベースにした、防曇性、ハードコート性、耐水性(耐久性)および樹脂基板への密着性を併せ持つ防曇ハードコートである。
ナノバブル:生命科学とサステナブル農業への応用展開
ナノバブル技術には従来の洗浄と異なる革新的な機能が期待できる。純水に微量の無機イオンを加えることで、長期間安定したナノバブルの製造に成功した。ナノセルとも呼ぶことができる10nmレベルの分散微粒子である。新しいナノバブルについて、医療やバイオ、農業分野での応用の可能性を紹介する。
アンモニアを貯蔵するペロブスカイト化合物
ペロブスカイト化合物の化学変換特性を利用し、常温常圧でアンモニアを貯蔵する技術です。本技術の特徴は、腐食性のアンモニアを化学反応によって窒素化合物に変換した後で貯蔵するため、安全性の高い貯蔵方法です。また、窒素化合物を真空下 50 度で加熱すると逆反応が起こり、容易にアンモニアとして取り出すことができます。
〔2024/06/20 理化学研究所 新技術説明会【オンライン開催】〕 さらに詳しく放射冷却による暑さ対策と環境発電
屋外で熱放射により冷える日中放射冷却膜において、独自の多層構造により従来より冷却能力の高い膜を開発した。また、放射冷却で冷えることにより24時間熱電発電できる環境発電素子も開発した。
温度計を超える熱制御・熱検知を実現する超低熱抵抗な熱流センサ
熱流センサは、熱エネルギーの流れる方向と大きさを高速かつ定量的に検知できるセンサである。磁性材料で発現する熱電現象を利用することで、元来の熱の流れを妨げない超低熱抵抗と、曲率の大きな曲面にも利用可能な高いフレキシビリティーを有する新規な熱流センサを実現した。
触覚提示技術の新展開:痛み、疑似力覚、振動
人への触覚提示はバーチャルリアリティにおける没入感の向上や遠隔作業、情報通信端末のインタフェースとして重要な役割を果たす。本発表では化学薬品によって安全かつ継続的に痛みを提示する手法、指先への電気刺激によって疑似的に力を提示する手法などについて説明する。
非接触生体計測技術
人体に触れずにバイタルサインを計測する技術の研究・開発がにわかに活発になっている。例えば、マイクロ波レーダを用いることにより、体表面上に生ずる呼吸と心拍に伴う微細な動きを捉えることができる。また、赤外線サーモグラフィを利用して、体表面から放出される赤外線を測定し、体温を非接触で計測することができる。非接触バイタルサイン計測の利点は、患者への負担が極力少なく、しかも無拘束・無意識などが挙げられる。
超高密度量子ドットの結晶成長技術とその光電子デバイスへの応用
量子ドットのデバイス応用では、高品質な量子ドットを高密度で高均一に作製する技術が重要である。本技術より世界最高の面内超密度のIII-V族半導体量子ドットの作製が実現され、高効率の太陽電池や高利得の半導体レーザの試作開発が進められてきた。また、量子ドットの面内間での電子的強結合状態が実証され、新たな2次元デバイスへの応用も期待される。